| 放課後、学校に戻ってきた団体を見て息をのんだ。 ここにいたんだ... 「でね、びっくりしちゃった」 「すごいね」 幼馴染の黄瀬に電話で本日の出来事を話すと、彼も同じように驚いてくれた。 昨年の夏。あれからまだ1年も経っていない。。 が高校生に絡まれていた。 高校生とわかったのは、すべてが収まってからだった。 どうしていいかわからずに半泣きになっていると、助けてくれた人がいた。 名前は、一緒にいた人が呼んだから知っている。 「宮地」 下の名前は知らない。 ただ、に絡んでいたのが彼の通っている学校の下級生、1年生だったらしい。 「悪いな」 と心底そう思っているような声音でに声をかけ、彼女に絡んでいた後輩を連れてその場を去って行った。 男子の制服は、夏服になると意外とわからない。 ワイシャツにパンツ。制服のデザインが凝っている学校ならそれでもわかるだろうが、黒いパンツに白いシャツなんてほとんどノーヒント だ。 また会ったときにお礼を言いたいと思っていたが、この広い東京でそんな偶然は期待できない。 結局、いつか会えたらお礼を言いたい、と思いながら高校に入学したらそこに彼がいたのだ。 お礼を言おうと思っていたら、後輩をどやしつけていた。 怖くて逃げてしまった。 こんなつもりではなかったのに、と思いつつも、ただ、まだチャンスがあると前向きに考えることにした。 「それで、その宮地先輩って何部だったの?」 「たぶん、バスケ」 「バスケ部?!」 電話の向こうで黄瀬が頓狂な声を上げた。 「え、なに?」 「いや、秀徳のバスケ部なら、緑間っちが行ってるはすだなって」 「緑間っち?帝光のお友達?」 「まあ、友達..だよね。ちょっと抵抗あるけど。見たことない?背が高くて眼鏡。目立つとは思うんだけどね」 目立たないはずがない。 「あ、もしかして同じクラスの緑間くんかも。今日、セロハンテープ持ち歩いてた」 「あー、確か今日のかに座のラッキーアイテムってそれだった気もするね。じゃあ、それだよ」 呆れたような声音で黄瀬が応じる。 「“ラッキーアイテム”?」 「緑間っちって、おは朝占いの信者だから」 「男の子が占いに傾倒するって珍しいね。で、かに座なんだ?」 「かに座のBだよ」 「詳しい!」 笑いながらが言うと 「だから、緑間っちがやたらと占いを出してくるから知ってるだけだって」 と少し嫌そうに黄瀬が返した。 ピピッと部屋の時計が鳴った。 「あ、ごめん。また遅くなっちゃった」 「いいよ」 慌てるに黄瀬は苦笑して応じる。 「いつもありがとね、涼ちゃん」 「ちゃんの話、聞くのはオレの特権だから」 おどけたように彼が返す。 「いつもその言葉に甘えてるなー。でも、本当にありがとうね」 「うん」 「じゃあ、おやすみ」 「おやすみ」 そう言って電話を切った。 |
桜風
13.9.9
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