| 黒子の通う誠凛高校との練習試合が終わり、黄瀬は体育館裏の水場にいた。 顔を洗ってタオルに手を伸ばすと声をかけられた。 顔を上げるとタオルを投げられる。 緑間だ。 懐かしむほどの過去にはなっていないチームメイト。 「あ!」 一通り話をして黄瀬が不意に声を上げる。 「何なのだよ」 「宮地サンってどんな人っスか?」 ずいと迫られて思わずのけぞる。 「は?敵情視察ということか」 「違うっス!良いから!!良い人?悪い人??」 「ふつう、人間はどのどちらかにきっちり分けることはできな「いいから!どっちっスか!!」 緑間の言葉を遮って黄瀬が言う。 むっとした緑間だが、いつもと様子が違う黄瀬に多少の戸惑いがあったことも否めない。 「『いい人』の方だと思うのだよ」 「女の子が怖い思い、しないっスか?」 「それは、わからん。俺は女の子じゃないのだよ」 「知ってるっスよ!緑間っちみたいな女の子、正直勘弁してほしいっス!!」 どさくさに紛れてなんだか酷いことを言われている。 こめかみに青筋を立てながら緑間は黄瀬を睨んだ。 「それで。なぜ宮地さんのことを聞いてきたのだよ」 「ああ、オレの幼馴染が宮地さんと話がしたいって言ってて。ただ、怖い思いをするようなら何とか思い止まるように説得しようと思ってるんス」 「別に、何もしてない人を怒鳴るような理不尽な人でもないと思うのだよ」 「男の緑間っちが感じている宮地さんと女の子のちゃんが感じる宮地さんは別物じゃないっスか。緑間っちは結構図太いからそういうの気にならなくても、女の子は繊細なんスよー」 「お前のファンにはまったくそんな様子は見られないのだよ」 迷惑をこうむっているのに、なんと酷い...! 緑間は頬をひきつらせてそう言った。 「あー...その節ではお世話になってるっスね」 さらっと流された。 怒鳴りかけてふと冷めた。 (いちいち熱くなっていたら面倒なだけなのだよ) 「では。俺はもう行くのだよ」 「あ、うん。ちゃん、いじめたらダメっすからね」 相手をするのももう面倒で、その『』が何者かを確認することなく緑間はその場を去った。 「試合どうだった?」 途中、渋滞に引っかかり、リアカーの荷台に乗っていた緑間に置いて行かれた高尾は試合が見れなかった。 今着いたばかりだというのに、もう戻るというのだ。 「つまらない内容だったのだよ」 不機嫌な緑間に首を傾げ、 「んじゃ、じゃんけん」 と勝負を持ちかける。 「行きと結果は変わらないのだよ」 そう言いながらじゃんけんに応じた緑間はチョキ、高尾はパーで運転は高尾がすることになる。 「うわっ」 自分の出した手をじっと見つめていた高尾は気を取り直したようにため息を吐いて、「んじゃ、帰るか」とペダルを強く踏んだ。 「...高尾」 「なーにー。てか、坂、を..上ってる時に声...かけないで」 「そうか」 取り敢えず、大変そうなのはわかった緑間は、口を閉じた。 くだりに差し掛かった時、 「、という人物を知っているか?」 と聞いてみた。 「?あー、ちゃんの下の名前はちゃんじゃなかったっけ??」 「。そうか」 「何?」 「黄瀬の知り合いかもしれないのだよ」 「黄瀬?って、キセキの一人だよな。そうなんだー?」 (意外と顔が広いんだねー) そんなことを思っていると信号待ち。 「よっし、真ちゃん。今度こそ負けねーぞ」 「何度やっても変わらないのだよ」 そう言いながら緑間は高尾の挑戦を受けて立つ。 結果は、緑間がパーで、高尾がグー。 「くっそー。なんかおかしくねーのー?」 「じゃんけんは公平だ」 文句を垂れる運転手にそう言い放った緑間は流れる景色に視線を移した。 |
桜風
13.9.30
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