| 総合文化祭優勝という看板のおかげで、チケットは完売。 ただ、宮地が部長と友人ということもあって、席はないけど、会場、つまり体育館に入ることは良いといわれた。 そのままくっついて高尾と緑間も入れてもらう。 「ラッキーでしたね」 高尾が宮地を見上げていうと 「オレの人望だ」 と彼が返す。 「さんのおかげだろう」 部長がこっそり教えてくれたのだが、かなり必死にお願いしてくれたそうだ。 だから、部長も折れたのだという。 ちなみに、彼らも会場に入れるようになったことを聞いて、黄瀬は凄く面白くなさそうにしていた。 優勝した時に演奏した曲のほかに、この文化祭のコンサートのために練習した曲も演奏され、大盛況のうちにコンサートは終わった。 「ブラバンって意外と迫力ありますよね」 高尾が言う。 いつの間にかCDが増えていた宮地も同じことを思っていた。 生演奏は、彼女のクラリネットが初めてで。でも、それはアイドルの楽曲でしかも楽器はひとつ。 迫力は全然違う。 吹奏楽部の片づけが終わるまで黄瀬は学校にとどまった。 元々の客としてきていたので、こちらが追い出すのも、と思っていたのだが、結局女子に黄瀬ということがばれて軽いサイン会が始まり、帰れなくなったのだ。 それを遠巻きに見ていたらは「先に帰るね」と声に出さずに黄瀬に言って本当に彼を放って帰って行った。 「黄瀬、ちゃんに愛されてるねー」 からかい口調で高尾言ったら、黄瀬がぶすくれた。 そして、宮地に視線を向ける。 「あんたが、『宮地さん』スよね」 と視線を鋭くして言う。 「んだよ。轢くぞ」 (くそ生意気な表情しやがって) 「...別に。どんなもんか気になってただけっス。オレんがカッコいい」 黄瀬がいい、 「は?」 と宮地が声を漏らした。 「じゃあ、オレ帰るんで」 そう言って黄瀬は帰って行った。 「何だったんだ」 緑間にいうと 「わかりません。そして、俺に言わないでください」 と返された。 それもそうかと納得した。 文化祭が終わり、祭りの余韻というものが無くなった放課後。 吹奏楽部の部長が帰り支度をしている。 「帰るのか?部活は?」 「オレたち3年だろう?」 そう指摘されて、彼が引退したのだと気付いた 「ああ、そうか」 「バスケ部はまだなのか?」 からかうように彼が言う。 「あー、ウィンターカップあるからな」 がりがりと頭を掻く。 「そうか」 「...お前、音大とか狙ってんの?」 「総文で優勝できたから狙える圏内に入った」 ニヤッと笑って言う。 「ブラバンってみんなそうなのか?」 ふと思って聞くと 「そうでもない。高校でやめる奴もいるし、大学もサークルに入ったりだよ。バスケだってそうだろう?」 と肩を竦めて彼が言う。 「...そーいやそうだな」 「おんなじだよ」 そう言って彼は帰って行った。 塾というか、音楽教室があるのだそうだ。 「大変なー」 彼の背中を見送りながら宮地は呟いた。 |
桜風
13.12.9
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