| 練習試合の日、高尾と緑間がバスケ部専用の体育館に向かった。 ついでに女子部の練習試合でも見ようと思ったのだ。 「あ、先輩方。ちす。早いっすねー」 「おう、おまえ等も来たのか」 「ま、せっかくなんで」 高尾が応じる。 「けど...」 そう言って彼は自分の周囲をみた。 驚くほどの女子率だ。 「何スか、これ」 「目当ての女子たち」 宮地がいう。 「へ?センパイって...」 「女子にすげーもてるぞ。去年のバレンタイン、見てるこっちが気の毒になった。うちは女子校か?」 そこいらのもてるといわれている男子より、遙かに多くチョコレートをもらったらしい。 もちろん、義理がほとんどだがどうも本命も混ざっていたとかいなかったとか... 「まあ、昔からだがな」 大坪が苦笑した。 「キャプテンは、センパイと昔から知り合いだったんすか?」 「中学が同じだ」 「んで、高校3年間クラスメイトだよな」 木村が言う。 「そうなんだー。へー...」 試合が終了し、秀徳が辛勝した。 「女子部って都内では強豪...て...」 高尾が呟く。 「去年まではな。新人戦の時も思ったが、こりゃ、相当苦労するな...」 宮地が呟く。 今回の試合も、彼女のプレイで何とか勝ちを手にしたようなものだ。 「さあ、みんな!男子部が練習するからはやく片づけて!」 彼女の言葉に返事の声があがる。 「大坪君!」 が声をかけてきた。 「おう」 「ありがとう、助かったわ」 手を合わせて彼女が言う。 「ああ。大変だろうが」 彼はそこまでいって言葉を飲んだ。 「頑張れ」なんて言葉は彼女には重いかもしれない。もうずいぶんと頑張っているのだから。 「が入部してから、あいつのファンっていうのか?そういうのが入部したり、ほかの部員の邪魔をしたりで女子部は結構痛手を被って たりしたらしいんだ」 これは本人から聞いたことではない。前に自分たちの先輩が聞いた話として聞いた。 実際、部のレベルはガクリと落ちた。 だが、それを補うように彼女は一生懸命練習していたし、それを認める先輩たちがいたから、彼女はバスケ部をやめなくてすんだのだ。 「迷惑な話っすねー」 「ま、あいつの取り巻きの前でそんなこと言うなよ」 「言いませんよ。女子の集団、超こえーっすもん」 そう言って高尾は肩を竦めた。 彼女自身はバスケにすごく真摯なのに、周囲がそれを台無しにしているようだ。 「もったいねー...」 高尾は思わずそうこぼした。 |
桜風
13.4.22
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