| 高校生活最後のIHの地区予選。 は、3回戦で敗退した。 部全体の練習量を考えれば快挙といえなくもない。 だが、納得のできる結果でもない。 「はぁ...」 昼休憩、屋上にぺたりと座って空を見上げる。 梅雨の晴れ間。また明日には雨が降るらしい。 「どーしよーかなー...」 零れた言葉。 此処最近の悩みは部活を続けるかどうか。 バスケは好きだが、おそらく自分がバスケ部に在籍し続ければバスケをしたくてこの学校のバスケ部に入った後輩たちに迷惑を掛ける。 先輩達にも迷惑を掛けた。 3回戦で負けてしまうようなチームにしてしまったのは、おそらく自分だ。 「はぁ...」 (我慢、するしかないか...) どの道、受験生だ。どこかから推薦が来る様なプレイヤーでもない。男子のように冬の選抜の可能性が残っているわけではない。 「エロい溜息っすねー」 からかうような声にこれ見よがしの溜息を返した。 「ははっ!」 笑った彼はストンとの隣に座った。 「緑間君は?」 「だから、真ちゃんと俺ってセットじゃねーすってば」 苦笑しての隣に座った高尾が返す。 「ボディガードは必要でしょ」 の言葉に高尾は肩を竦めた。 「んで、何でそんなエロい溜息吐いてたんすか?」 「高尾って、たまにぼこぼこにしたくなるね」 「ははっ。激しい愛情表現すねー。体が持たないんでパス」 軽く返されてはまた溜息を吐いた。 「部活」 「続けるんじゃないんすか?」 何となくそう思っていた。 「んー、そこで悩みが発生」 「好きなんでしょ?」 「うん、好き」 高尾の言葉には素直に頷いた。 「俺のことは?」 「...今、バスケの話をしていたような気がするんだけど?」 心底呆れたような表情を浮かべてが言う。 「ははっ、じょーだんすよ」 (どさまぎはダメかー) 「けど、それなら答えはひとつじゃないすか。『続ける』でしょ。成績、そんな拙いんですか?」 「部活続けてもそれなりの大学には進学できると思う」 「なら、何を悩んでるんすか」 呆れたように高尾が言う。 「本気でバスケをしたい子達に迷惑掛けるじゃない」 眉を顰めてが言う。 それはどこか痛みを堪えているような表情で。 だから、高尾は思わず手を伸ばしそうになって、そこは何とか思い留まった。 「...正直に言うと。女子部でセンパイ以上に本気でバスケをしたい選手、いるのか疑問なんすけど」 (...ん?) は首を傾げた。何だかどさくさに紛れて名前で呼ばれた気がした。 (ま、いっか) 「いるわよ。そのために、うちに進学した子たちもいるみたいよ」 全国区ではないものの、強豪だ。 「入るときはそうだったかもしれないけど、今はどうなんすかね」 「...やけに噛み付くね」 肩を竦めてが言う。 「だって、そうじゃん。練習試合の前の日も、センパイだけが残ってたし。この間のIH予選だって、センパイがいたからあそこまで競 れたんじゃないすか」 一緒に観戦したチームメイトは呆れていた。そして、に同情すらしていた。 彼女がいなければ初戦突破もまずムリだっただろう。その後の試合も、彼女が試合を上手く組み立てていたから、薄氷を踏むような勝利ではあったが何とか手にすることが出来た。 その誤魔化しが効かなくなる3回戦で敗退した。 2回も勝てたのは、正直に言えば奇跡だと思う。 「でも、練習環境を壊してるのって私でしょ」 「それは違う」 少し強めの口調で言われては口を噤む。 「環境を壊しているのは、センパイじゃない。あと、センパイ以外はその壊れた環境に甘えてるだけ。センパイのせいにしとけば、どんなに負けても自分たちは悪くないから。けど、それって違うっしょ?」 (...はぁ) は心の中で盛大に溜息を吐き、すっくと立ち上がる。 「高尾」 「はい?って...」 見上げるとスカートの裾が視線のすぐ先で。普通サイズの女子ならそんなことにはならない。そして、彼女のスカートが極端に短いわけでもない。 だからその高さの裾なのだ。 慌てて視線を外した高尾は、ここで『ラッキー』とならない自分が少し可愛いとも思った。 「ばーか」 そう言っては笑って屋上を後にした。 「へ?え、何??」 残された高尾は一人きょとんと彼女が出て行ったドアを眺めていた。 |
桜風
13.5.13
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