友達以上 1






 授業中、ふと窓の外を眺めた。

少し乱視が入っているため、授業中は眼鏡を掛ける。

ただ、やはりちょっと疲れるから休憩と思ってたまに窓の外を眺める。

今はグラウンドで体育の授業が行われている。

まだ4月の終わり。運動するにはいい気温だ。

(元気だねぇ...)

苦笑する。

今年の新入生は中々よ、というのが友人の言葉だった。

彼女が言う新入生というのは、つまりバスケ部のルーキーたちの事で。

「でも、まあ。6人..5人残ればいい方かな?」

とも言っていた。

中々厳しいということで有名なバスケ部に5人。

(バスケって何人だっけ)

授業を思い出して指を折る。

、次を日本語に訳してくれ」

教師に指されて立ち上がる。

窓の外をぼうっとしながら眺めていた彼女を見つけた教師は反省を促す意味でそう言ったが、彼女はすらすらと教科書に書かれた英文を和訳する。

「あ、ああ。ありがとう」

そう言って彼女に役目を終えたことを告げて座らせる。

そして、また窓の外を眺めた。

(そういや、あの子。バスケ部じゃん)

大きくて、声も大きい1年の姿を見てそう思った。


この学校は女が強い。

そう囁かれている。理由は、生徒会の会長及び副会長が女子生徒なのだ。

つまり、学校を牛耳っているのは女子ということだ。

!」

昼休憩、呼ばれて振り返る。

「ごめん、今日は放課後生徒会室行けない」

「いいよ。特に用事はないし」

の返事に「わかった」と言ってスカートを翻して彼女は去っていく。

彼女の去っていく先にはバスケ部員が揃っていた。

(昼も部活するんだっけ?)

確か、昨日は練習試合があったとかそんな話をしていたような気がするが...

「熱心ねー」

そう呟き、は学食に向かった。


学食で食事を摂ろうと思っていたが、どうも席が空いていない。

「そっか、新入生」

いつもは弁当で教室で食べているから忘れていた。

今更ながら新入生の存在に少しだけ眉をしかめる。

「こりゃ、毎日おべんとのが楽だね」

朝、少し早起きをしなくてはならない。

だが、昼にゆっくりできるほうがいい。昼寝ができるし。

仕方なくパンを買いに売店へ向かってみるとここも人が多い。

(なんてこった...)

呆然と眺めているとバスケ部の1年がやってきた。

これが全員なのかそうではないのかはわからない。

だが、おっきいのがやってきた。彼がバスケ部というのは聞いたことがあるし、さっきも教室の窓から目に入った。

結構目立つ。

(これだけ大きいんだから当然か)

同学年に同じくらいの背の高いバスケ部員がいるのは知っている。

ただ、ちょっと事情があって今は学校に来ていない。

ほへーと眺めていると彼らはどうやら目的があり、それを入手しようと思ってやってきたらしい。

奮闘する彼らを眺めていると

(お昼ご飯、いっか...)

何かどうでもよくなる。

そして、何を考えたのか一番大きな彼が押し合いへし合いの生徒たちの上にダイブした。

要は、ロックバンドとかそいういうライブハウスで見られるといわれるその現象に乗ろうと思ったのだろう。

だが、波に乗った彼は波に押し戻されてきた。

「This is Japanese lunchtime rush!!!!!」

驚愕の表情で彼が言う。

(流暢だね)

感心しながら眺めていると「あの」と声をかけられて首をめぐらせる。

「あら、黒子クン?」

彼の事は知っている。図書委員なのだ。

暇があれば時間まで図書室で時間を潰している自分は彼とは顔見知りだ。

と言っても、存在感が薄いのか、声を掛けられなければ気づけない。

そんな自分に彼は気分を害す様子はなかった。

先輩は、いいんですか?」

「ん?」

「パンを買いに来たんじゃないですか?」

「来たんですが...これ、見たらやる気が衰えて。もうお昼ご飯いいかなって」

肩を竦めてが言うと

「僕、買ってきましょうか?先輩達にも指定されているものがありますし」

「そうなの?じゃあ、お願いしてもいいかな?」

「はい。何がいいですか?残ってるかどうかわかりませんけど」

「じゃあ。メロンパンとカレーパン」

「わかりました」

「あ、お金先に渡しておくね」

「いいです。買えないかもしれませんから」

「あ、そか。それがなかったら、黒子くんのセンスで」

「コッペパンですね」

「...それでもいいけど」

出来ればご勘弁、と思いながら言うと黒子は微かに笑って

「大丈夫です。まだきっと残ってますよ」

そう言って人込みにするりと溶けて行った。

(凄い...!)

素直に感心していると彼はふらっと戻ってくる。

「メロンパンは売り切れでしたから、あんぱんにしましたよ」

「ありがとう」

そんな会話と精算を済ませてその場で別れる。

振り返ると彼はチームメイトに声をかけているところだった。

「あ、イベリコ」

今日がその日だと今やっと思い出したのだった。









桜風
14.7.21


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