友達以上 6






 (時差、きっつ...)

渡米した時も思ったが、帰国した今も思っている。

自宅の隣のインターホンを押してみたが、反応がない。

(部活かな?)

帰るついでのインターホンだった。しかし、急がないし、とは自宅の鍵を開けた。

「換気...」

淀んだ空気にうんざりしながらそう呟き、家中の窓を開けた。


『ピンポーン』とインターホンが聞こえて顔を上げた。

というか、体を起こした。

「あれ?」

もう一度同じような長さでインターホンが鳴る。

重い体を起こしてインターホン受話器を取った。

『先輩?』

「あー、火神くん。なんでわかったの?」

『窓、全開』

(ああ、そうか。もう夜なのか...)

室内の明かりが漏れているから確認に来てくれたらしい。

何とも心強い。

「ちょっと待って、開ける」

『疲れてんだったら明日でもいいぜ』

「...じゃあ、そうさせて」

『明日は部活、午前中で終わるから。午後からな』

「よろしくー」

顔を見せることなく会話が終わった。



翌日、昼過ぎにインターホンが鳴った。

「はいはい」と応じると火神が立ってる。

「おー。背伸びた?」

「...いや、全然」

呆れたように火神がを見下ろす。

としては、久々に会った火神はやっぱり背が高くて、こんなに背が高かったかな、と思ったのでそう聞いたのだが...

「あ、引き取りに行かなきゃね」

そう言ってサンダルをつっかけて玄関を出る。

「飯食った?」

「ううん。さっきまで寝てたし」

「何か作ってやろうか?どうせ何も置いてないんだろう?」

「お世話になりますねー」

遠慮せず、その厚意を受け取ることにした。

家の鍵を掛けて火神の家に向かう。

「おっじゃましまーす」

「眠いっつっても昼間寝てたら全然時差とかとれねぇだろ」

「お説教来たー」

笑ながらが言う。

「うっせ」

火神は面倒くさそうにそう言ってエプロンを着ながら台所に立つ。

「何作るの?」

「昨日の残りもん適当に炒める」

「チャーハン」

「の、ようなもん。嫌いなもんは?」

「ない!」

「んじゃ、ちょっと待ってろ」

そう言われてはリビングをグルリと見渡した。

預かってもらっている観葉植物は枯れた様子はなく、世話をしてもらえたのがよくわかった。

「火神くん」

「もうちょい待ってろって」

催促と受け取った火神が振り返らずに言う。

「うちの子、ありがとうね」

「あ?ああ、そっち。おう、別に。先輩よりも手がかからなかったぜ」

にやりと笑って火神が言う。

「私だって手はかかってないでしょ?」

つんと澄ましていうに苦笑して「そーかもな」と返す。

実際、彼女は面倒見のいい方で、どちらかと言えばお裾分けをもらっていたのは火神の方だ。

世話を焼くのは、長期不在になるからと彼女の観葉植物を預かったくらい。あとは、今現在食事を作っているだけだ。


「先輩」

置いてあったバスケ雑誌に視線を落として大人しく待っていたの耳に火神の声が届く。

「はーい」

そう言って雑誌を元の場所に戻してテーブルについた。

「わー、美味しそう」

「カントクのよりは断然美味い」

自信を持ってそう言う。

「リコにご飯作ってもらったの?何の修行?」

彼女の腕前はも知っている。

青くなった友人に聞かされたのだ。見るだけなら楽しそうだなと思っていたのだが。今回はそれが披露されたのだろう。

合宿とはいろんなものを鍛えるのだな、と思っていると

「先輩たちが全力で止めたし、オレが特訓した」

という。

「合宿所ってご飯出ないの?」

「いただきます」と手を合わせてレンゲでチャーハンを掬いながらが問う。

「予算的にそこまで回らなかったんだと」

「...あー、まあ。確かにそうなるか」

各部の予算、概算くらいだがある程度頭に入っているは頷いた。

たまに部長が直談判しに来るので、そういうのはある程度頭に入れている。

生徒会長に直談判していい結果がもたらされるとは思えないが、必死なのだろう。

「お、いしい!!

何気なく食べていたが、不意に意識を戻された。

思わず素直に感想が口からこぼれる。

「そうか?」

「びっくりしたー」

「まあ、当分メシ食ってねぇんだろう?腹が減ってたんじゃねぇの?」

満更でもないという表情を浮かべて火神が言う。

「かもしれないけど。えー、何。これ美味しいよ」

そう言って忙しなくレンゲを口に運ぶを眺めながら火神は「まあ、ゆっくり食えって」と苦笑した。









桜風
14.8.25


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