| 「犬?」 食事を終えて少し休むついでに火神に最近の学校の様子を聞いてみた。 ほぼ毎日学校に行っているならそれなりに耳に入るかもしれないと思ったのだ。 だが、彼は周囲にさほど興味が無いらしく大した情報はなかった。 が、彼にとっての大きな情報はあった。 黒子が犬を拾ったという。 「バスケ部で飼おうって話になってんだ」 少しだけ嫌そうに火神が言う。 「そうなんだ?」 「学校で犬を飼うとか、ダメだよな?」 期待した眼差しを向けられた。 (あれ?) ふと浮かんだその可能性。心の中でほくそ笑み、 「リコが何とかするんじゃないの?」 「何とかって?」 「さあ?」 「せ、生徒会的にはどうなんだよ」 「別に。生徒会的に、という話よりも学校的にの話だろうし。そして、学校側をリコが説得したらもう何も言うことないわ」 肩を竦めてが言う。 「仮に、学校がダメだった場合。誰かの家に連れて帰らなきゃならなくなるよね?捨て犬を拾って、また捨てるってそれは選択肢にないでしょ?」 それについては火神も賛成らしくて頷いた。 「だったら、誰が飼えるかって話になる。ちなみに、火神くんはこのマンションが動物大丈夫なの知ってるよね?」 その指摘を受けてぐっと詰まった火神はぎこちなく頷く。 「ある意味、誰にも迷惑を掛けず、しかも動物を飼うのに十分な環境が整っているここは絶好の預け先になると思うよ」 の指摘に火神は眉間にしわを寄せる。 「と、いうわけで。リコに頑張ってもらった方がいいんじゃないの?」 がニコリとほほ笑んだ。 「かもなー」 同意してはたと気づいた。 「え、ちょっと待て」 「犬が苦手なんだねー。拾ったのって子犬でしょ?小さいよね。というか、火神くんなら多分大抵のサイズの犬は小さいよね?」 「小さかろうと、犬だろう」 苦々しくそう返す火神には笑った。 「いやー、意外だねー。火神くんって犬と一緒に暑苦しくロスの街を走ってるイメージだったわ。大型犬ね」 「どんなイメージだよ」 拗ねたように返す火神に、は「ごめんごめん」と軽く返した。 食器を洗って、「さて、と」とは火神を振り返る。 「ああ、帰るのか」 「うん。いい加減、昨日からさぼった家事をしなきゃだし。主に洗濯」 「んじゃ。木、運ぶわ」 そう言って窓際に置いているから預かった観葉植物を抱える。 「悪いね」 そう言って持ってきたときのようには先導して火神の歩きやすいようにドアを開けたまま抑えながら移動した。 「そういえば、火神くんって」 の家のリビングに観葉植物を置いた火神にが問う。 「ん?」 「英語話せるんだっけ?」 「向こうにそこそこ長い間住んでたしな。つか、日本の英語の教え方はおかしいって」 「まあ、日本の教育方針にそう楯突いてもねぇ...そうかー、凄いね」 しみじみと言われ、火神は少し構えた。今度は何を言われるのだろうか、と。 「褒めてんのよ、純粋に。言葉が通じないと疲れるよねー」 苦笑してがいい、火神は肩の力を抜く。 「あ、そういうこと。まあ、そうだなー。何なら、教えてやろうか?」 にやりと笑って火神が言うが 「まあ、あと1回行くかどうかだから。むしろ、火神くん。英語のテスト勉強見てあげようか?」 とがカウンターを返した。 長居をすると碌なことになりそうにないと悟った火神は「んじゃ」とあいさつを済ませてそそくさと去って行った。 |
桜風
14.9.1
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