| 着替え終わって正門に向かっていると、先を歩く人影を見て火神は少しだけ歩調を早めた。 隣を歩く黒子がそれに気づかないわけがなく、肩を竦めてみせる。 「じゃあね」と正門前でリコと別れて歩き出すと「先輩」と声が聞こえ振り返る。 「あら、火神くんと黒子くん」 「うす」「どうも」 2人はそれぞれ挨拶をする。 「何、同じ方向なの?」 「駅までですね」 黒子が応じ、 「これからマジバ行こうって話してんだけど。先輩もどうだ?」 「マジバ?」 「バニラシェイクがお勧めです」 キリッとして黒子が言う。 「じゃあ、ご一緒しましょう」 笑ってが応じる。 暫く歩いて駅前のマジバに入る。 隣のレジで凄い注文を耳にしつつオーソドックスなハンバーガーと黒子おススメのバニラシェイクを注文した。 一番最初に会計が終わったが席を確保して黒子が続き、火神がやってくる。 「何それ...」 こんな山盛りなハンバーガー群見たことがない。 「あ?普通だって」 「そうかなぁ?!」 思わず突っ込む。 「部活終わった後だし、腹減ってんだよ」 火神の言葉を受けて黒子に視線を向ける。 彼はバニラシェイクとポテトだけだった。 「黒子は食わなさすぎんだよ」 「火神君は食べすぎだと思います」 黒子がいい、「私もそう思う」とも同意した。 2人の意見が同じということが面白くない火神は憮然としながら目の前のハンバーガーのタワーを攻略し始めた。 その様子を見てるだけで、ちょっとお腹いっぱいになりつつある2人は火神の姿を視界に入れるのを避ける。 「ねえ、黒子くん。バニラシェイクにポテトをつけて食べるとおいしいらしいよ」 先日仕入れた情報を彼に伝えると 「邪道です」 と真顔で、ともすればむっとしたようにも見える表情で言われ「ごめん」と思わず謝罪した。 「ところで、先輩」 「何?」 返事をしてハンバーガーに齧り付く。 「火神君と先輩ってどういう関係ですか?」 聞かれて火神は吹き出し、は首を傾げる。 「先輩と後輩?」 「それだけですか?」 黒子が問う。 「うん。何?」 じっと見つめるが、はそれに動じる様子がない。 「そうですか」 「ですよ。何かありそう?」 「だって、ほら」 そう言って黒子の誘導に従って火神を見ると分かりやすい感じに動揺している。 「本当だねぇ」 感心したようには唸る。 「だから、何かあるかなって」 「そうねぇ...お隣さん?」 「隣?」 の言葉を繰り返して黒子は首を傾げる。 「うん。同じマンションでお隣さんなの」 「ああ、そういうことですか」 「です」と頷き、「ね?」と火神に振ると「おう」と彼が頷く。 (何だ、それだけかー) ちょっとだけ下世話なことも考えていた黒子は少しだけ落胆した。 が、片方はアリなんだろうと勝手に思う。 が食事を終えたと同時に火神も終わった。 「ちゃんと噛んで食べてる?」 「おう」 咀嚼速度が半端なく速いということか?と思いながら「ごちそうさまでした」とが手を合わせる。 「じゃあ、帰りましょう」 黒子が言う。 「そうねー」 異論はなく、と火神が席を立った。 「貸してください」と黒子がと火神のトレイをまとめて片づける。 「おお。お気遣い男子」 感心したようにが呟き、「ふーん」と火神は気のない相槌を打っていた。 店の前で黒子と別れてと火神はともに帰宅の途につく。 「そういえば。今日はありがとうね」 の言葉の元になっている出来事がわからず、「何が」と火神が問い返すと「体育館」と単語が返ってきた。 「ああ、いいって。ただ、ボール当たったらいてぇから気をつけろよ」 「もう当分行かないから大丈夫」 「え、来ないの?」 の返事に火神が問い返す。 「ん?うん。だって、今日は2号君に会いに行ったんだし。遊べたし、もう満足」 が言うと「あ、そ」と火神が面白くなさそうに声を漏らした。 「どうかした?」 「別に」 そう返した火神に首を傾げたは肩を竦めた。 考えても仕方ない。何か不機嫌そうだが、わからないのだから。 「そういえば、冬にも大会があるの?」 聞かれて火神はを見下ろす。 「ああ、ウィンターカップな?」 そう言われて「まんまの名前ねぇ」とはしみじみと呟いた。 |
桜風
14.9.22
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