| 屋上で作戦会議と言う名の昼食会をする2年は、1年を呼び出す。 「黒子君は?」 「ここにいます」 にゅっと出てきてまた誰かが驚きの声を上げる。 「あのさん、どういう子なの?」 「バスケ部マネージャー、やりたくないんでしょうね」 (やったらあの人たちにまた会うだろうし...) 「何とか、話だけでもしたいんだけど。どうやったら捕獲できるかしら?」 (捕獲とか言っているから逃げられてんじゃねーの?!) 周囲は心の中で突っ込みを入れる。 「今、屋上にいますよ」 「「「はあ?!」」」 何人かが声を上げた。最も大きな声はリコだ。 「いるの?」 「たぶん...」 黒子がコクリと頷く。 「全員、を捜索!」 リコの号令に合わせてバスケ部全員がその場を散開する。 しかし、の姿は見えない。 「いないじゃない」 「いいえ」と言って上を指差す。 「階段の上も見たぜ」と日向が言う。 あそこは意外と死角になりやすいからチェックはしている。 「その上は見ましたか?」 「その上..って給水塔?!」 さすがにそこまでは見ていない。 「黒子くん、元チームメイトを売るなんて酷いじゃない」 給水塔の上に黒い影が出てきた。 「すみません、さん」 「全力で逃げてるんだから、横槍入れないでよー」 笑いながら彼女が言う。 「さん?!」 「どうもー。熱烈ストーカー行為、そろそろやめてください。それでなくても、クラスで浮いてるんですからー」 笑いながら彼女が言う。 「私の話を聞いてくれないからでしょう?」 「昨日、けんもほろろに断ったじゃないですかー」 自分で『けんもほろろ』と彼女は表現して返す。 自覚はあるらしい。 「どうやったらバスケ部のマネージャーになってくれるのかしら?」 「話を聞くだけじゃないんですか?」 からかうようにが返す。 「そりゃ、聞いてもらったら次は入ってもらわないと」 「強引ですね」 クスクスと笑いながらが言う。 彼女は立ち上がり、給水塔から降りてきた。 屋上まで降りてくると「話を聞いてくれる気になった?」とリコの声が弾む。 「いいえ、そろそろ予鈴なので」 彼女は肩を竦めて腕時計を嵌めている自分の左手を軽く掲げる。 「タイムアップですよ?」 「あら、ブザービーターにはまだ早いわよ」 は溜息を吐いた。 「じゃあ、次でケリをつけましょう」 「ケリ?何をするの??」 「15分『かくれんぼ鬼ごっこ』。そちらは、バスケ部員とカントクさんでわたしを追いかけて捕まえる。そんなに時間を掛けないのは、バスケ部の皆様も全国制覇に向けて練習に打ち込む時間が必要でしょうから。何でしたら、30分でもいいですよ?」 挑発するように、が言う。 「バスケ部、全員?」 日向が問い返す。 「ええ、全員。100人超えなら考えますけど、全員ベンチ入りでしょう?」 の言葉に全員が頷く。 「じゃあ、放課後。何時スタートにしますか?」 「16時。ところで、『かくれんぼ鬼ごっこ』って?」 「わたしが隠れているところからスタートと言うことで。一緒に走ったら、体力的に絶対に勝てません」 「それもそうね。いいわ。その『かくれんぼ鬼ごっこ』で勝負しましょう。15分でいいわ」 の言葉に、リコは頷いた。 「では、ルールの確認。16時から16時15分までわたしはバスケ部の皆さんから逃げ切れば、わたしの勝ち。バスケ部の皆さんは、16時15分時点で捕獲していたら勝ちと言うことで。賭けるものは、バスケ部のマネージャー」 「16時15分時点で、ってどういうこと?」 リコが確認する。 「掴まっても、逃げる気満々ですから」 の言葉に「ハンデはいらないのね?」とリコが言う。 「時間内に何度でも逃げられるなら、ハンデにならないですか?」 「そっちがそれでいいなら、そういうことでいいわよ。じゃ、今日の放課後ね。入部届を準備して待ってるからー」 そう言ってリコは上機嫌に屋上を後にする。 それに続いてバスケ部員達は屋上を出て行くが、黒子はの隣で足を止めた。 「ハンデどころのルールじゃないですよね」 「黙っててくれてありがとう」 「元チームメイトを売るわけにはいきませんから」 黒子はそう言って屋上を後にする。 「ありがとー」 軽い口調で黒子の背中に言葉を向けたはゆったりと屋上を後にした。 |
桜風
12.6.10
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