| インターハイ予選があと2週間に迫ったゴールデンウィーク。 はカントクの指示でこの先当たるであろう他校のデータを取りに都内をウロウロしていた。 「よう」 肩をポンと叩かれる。 振り返ると逆光で顔は見えないが、その頭の位置で誰かが分かる。 「久しぶり、青峰くん」 「久しぶりだな」 と彼も返す。 丁度昼食時ということもあり、近くのハンバーガーショップに入った。 「奢ってやるぞ」 「いい。そういうの、嫌い」 そう返したに「相変わらずだな」と返して青峰は自分の腹に収めるものを頼んだ。 それに続いてが頼み、 「持ってってやるから席とっておけ」 と言う。 「じゃ、よろしく」 そう言っては2階に向かった。 青峰は自分との注文した品を手に、2階に上がり、すぐにフロアの端っこを見た。 思ったとおり、彼女はそこにいた。 「相変わらず端なんだな」 そう言ってテーブルにトレイを置いた。 「ありがとう」とは礼を口にする。 「お前、結局どこに行ったんだ?」 「誠凛。桃井に聞いてない?」 「...テツと同じ学校か?」 「あ、チェック済みだ」 笑ってが指摘した。 「あいつは、バスケ部かもしれないが..お前も?」 「うん、黒子くんのお陰で巻き込まれた」 そう言って笑う。 「さつきがうるさいなー」 苦笑して青峰が言う。 「桃井は元気?」 「おう。あいつ、最近すげー文句たらたらだぞ」 パクリとハンバーガーにかぶりついた。一口が大きい。 「文句たらたら?桃井が??」 が言うと青峰は笑う。 「や、あいつの持って帰ってたデータって中学ん時はお前が結構整理してただろう?だから、分析とかすげー楽だったんだろうな。今、それができるマネージャーがいないから時間が掛かってるんだと」 「わたしがデータを整理しても文句垂れてたよ?」 呆れたようにが言うと 「あれは、認めつつの文句。今のは、本気の心からの文句」 と青峰が言う。 「ふーん...幼馴染ゆえに分かっちゃう本音ですか」 「違う。『腐れ縁』っていうんだ」 そう言って青峰が肩を竦める。 「誠凛って、海常と練習試合したって噂聞いたけど。本当か?」 「うん、神奈川に行ってきたよ。黄瀬くん、上手くなってたよ」 「あんま興味ねー」 本当に興味なさそうに言う。 「そういや、決勝まで行けば緑間と当たるな」 「あら、他トーナメントもチェック済み?」 「からかうな。一応、緑間の行った秀徳はI・H常連校だろう。うちの部員達が騒いでたんだよ」 「青峰くんって、桐皇学園だったよね?最近物凄くスカウトに力を入れてる学校って聞いたけど」 「否定はしないな」 「ま、一番欲しかった青峰くんを獲得したんだから、スカウトの苦労は報われたのねー。漏れなく桃井も付いて来たし」 が呟く。 「お前らって、仲良くない割りに、お互いを認めてるよな。似たもの同士だな」 「あら、そうかしら?仲良くないとも思ってないけど」 そう返すに青峰が苦笑している。 「今日の部活は午後から?」 「サボりの最中」 の言葉に青峰はあっさりそう返す。 「桃井、怒ってるんじゃない?」 「ちょっと口うるさいぜ」 「幼馴染設定が生きてるじゃない」 とがからかい、 「設定って何だよ」 と青峰も笑う。 「そうだ。春先に赤司くんに会ったよ」 が話題を変えた。 「あいつ、京都だろう」 驚いたように青峰が声を漏らす。 「うん。春先に学校サボって京都旅行したから。そのときになんか、偶然会ってしまって。中々解放してくれなかった...」 「は、生き別れの妹だからな」 クツクツと笑って青峰が言う。 「一応、両親に確認したんだけど。同じ年の兄弟はいないらしいのよ?」 真顔でが返す。 「けど、そのお陰で赤司がそこそこ大人しくしてたじゃないか」 「まあ、そうだけど...や、大人しかった?」 はなぜか、キセキの世代の赤司征十郎から『生き別れの妹のような感じがする』という理由で気に入られていた。 色々と性格に問題のあるキセキの世代の中で最も面倒なのが彼だった。だから、彼に気に入られていたは彼のほんの少しブレーキになることが出来たこともあり、帝光中学バスケ部のメンタルを支えていたといわれていた所以だ。 お互い食事が終わり、店を出る。 「じゃあ、決勝リーグで」 当たり前のようにが言う。 「緑間がいるだろう」 「あら、また会える方が楽しそうじゃない。青峰くんは思わないの?」 そう言い放ったに青峰は片眉を上げた。 少しだけ驚いたように。 「じゃあ、な。」 「またねー」 軽く手を振っては駅に向かって駆け出す。 その背中を見送った青峰は溜息を吐いた。 |
桜風
12.6.20
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