| インターハイ予選が始まった。 初戦の新協学園には留学生の加入により、苦戦すると思われたが、火神がその留学生のプレイを抑えて勝利した。 その後も順調に勝ちを重ねていき、4回戦を迎えた。 「何で1日2試合とか馬鹿な日程を組むんでしょうねー」 荷物が増えるじゃないか、とはブツブツと文句を零す。 「仕方ないでしょう、学校が多いんだから」 「今年いきなり増えたなら納得しますけど、毎年のことでしょう?実行委員会もいい加減前年踏襲を辞めてくれてもいいじゃないですか」 そういいながらベンチで準備をする。 この日の試合会場は、都内のとある学校の体育館だが、都内有数のマンモス校であるために体育館が広い。 二面取れるため、普通は他校でやるシード校が隣のコートで試合をすると言うのだ。 「秀徳がですか?」 「うん、来るよ」 リコが頷きの様子をじっと見る。 「面白いものは出てきませんよ。って、カントクって意外と鬼ですよね」 が言うとリコは愉快そうに笑う。 「いいじゃない。人の不幸は蜜の味ってね」 「酷い...!」 そんな会話をしていると秀徳がやってきた。 ルーキー同士挨拶でも、と火神が言って緑間に近付いた。 「よう」と火神が挨拶をし「誰なのだよ」と緑間は問い返す。 火神は緑間の掌に自分の名を油性ペンで書いた。 普通に自己紹介をしただけではいかにも「覚えていない」と言いそうだから、と。 それが聞こえたはクスリと笑う。 何より、緑間がこれまで試合をチェックしに来ていたのは知っていた。 だから、知らないと言うことはありえないのだ。 そして、火神がリベンジを口にすると無謀なことを言うと彼は言う。昨年の誠凛の決勝リーグでは全ての学校にトリプルスコアで負けたことを話し、実力差は歴然としていると言う。 そして、緑間はベンチに視線を移し、足を進める。 「」 名前を呼ばれて振り返る。 「久しぶりね、緑間くん」 ヒラヒラと手を振る。 「何故誠凛にいるのだよ」 「合格したから。あと、学ランとセーラーがよかったから」 「うちの学校も学ランとセーラーなのだよ。だったら、秀徳で良かっただろう。俺が進学することをお前は知っていただろう」 「うん、まあ。あと、家から自転車若しくは徒歩圏内の学校しか通わせてくれないって言う家庭の事情?」 がいうと、学校のことはそれなら仕方ないと諦めた様子を見せた。 「...何故、勝てるかどうかも分からないこんなチームのマネージャーなんてやっていのだよ。さっき、言ったとおり、この学校とうちの実力差は歴然としているのだよ」 「いやぁ、黒子くんのせいで」 「僕ですか?」 と緑間の会話に黒子が入る。 「黒子、これはどういうことなのだよ」 「うちにさんがいたのを知ったので、是非ともバスケ部のマネージャーをしてもらいたくてお願いしました」 (あれってお願いか??) ストーカー行為を『お願い』というのは少々好意的に見すぎだろうと思ったが、黙っておくことにした。 「おい、ガン無視かよ」 そう言って声を掛けてきたのは火神だ。 緑間は面倒くさそうに振り返った。 「邪魔をしないでもらえるか」 「はうちのマネージャーだ」 火神が言う。 何だかバスケと関係ないところの火花が散っているようでリコはわくわくしている。 「は俺の嫁なのだよ」 「「「はあ?!」」」 とりあえず、緑間の発言が聞こえた全員が声を上げる。その傍らでは盛大な溜息を吐いた。 「黄瀬君じゃないの?」 リコが誠凛バスケ部を代表してに問う。 「あっちもこっちも違います」 がハッキリとそう言うが緑間の耳には、その自分に都合の悪い彼女の発言は届かないらしい。 「おい、いつまでしゃべっている!いくぞ!!」 秀徳のキャプテンがそういい、緑間は回れ右をした。 「あ、緑間くん」 が呼び止めて彼は足を止める。 「何なのだよ」 「ちょっと失礼」 そう言っては緑間の腕を掴み、ジャージの袖をぎゅっと上げる。 「な、何をするのだよ。そういうことは二人きりのときに...」 「ああ、うん。もういいや」 あたふたしている緑間にそう言い放っては秀徳バスケ部を指差す。 「先輩、呼んでるよ」 こめかみに青筋を立てているキャプテンを見て「あ、ああ」と緑間は頷き、「ではな」とに挨拶をしてその場を去っていく。 「今の何?」 最後のの行動に対してリコは驚いて声をかける。 「ちょっと、今の筋肉の付き方を見たかったので」 「へ?」 「緑間くん、また一段としなやかな筋肉をつけてましたよ」 「ん?」 首を傾げるリコに「まあ、まずは目の前の試合ですよね」と言ってはベンチの準備をする。 4回戦を終了し、秀徳の試合を見学する。 緑間のシュートの正確さに皆が驚きの声を漏らす。 「緑間は随分と調子がいいみてーだな」 火神が言うと 「そうなんですか?さん」 と黒子が問う。 「わたしに聞かないでよ。シュートフォームを崩されていない緑間くんがシュート外したことなんて見たことないでしょ。調子どうこう聞かれても困る」 とが応じた。 「は?本当に??」 「ええ。緑間くんのシュート成功率は脅威ですよ。自陣は全て彼の射程範囲です。そして、」 は黙り込む。 「さん?」 「え?」 「そして、何ですか?」 黒子が問うと 「何だっけ?」 とは首を傾げた。 あはは、と笑って自分の抱いた予想を誤魔化した。 おそらく、その射程距離はまた伸びている... |
桜風
12.6.22
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