グラデーション 111





3学期に入って間もなくの頃、校内放送で校長室へ呼び出された。

クラスメイトが奇異の目を向けている中、は首を傾げながら校長室へと向かう。

さん」

名前を呼ばれて振り返ると、同じく校長室に呼び出された黒子と火神がいた。

「黒子くん、火神くん」

「お前、何かしたのか?」

火神にそういわれた。非常に心外である。

「火神君じゃないんですから、さんに失礼ですよ」

黒子がを庇い

「お前は俺に失礼だよ」

と火神が噛み付く。


校長室のドアをノックするとドアが開いた。

中にいた人物を見て火神は臨戦態勢をとった。

「大丈夫大丈夫。基本、噛み付かない」

「普段は大人しいですからね」

「猛獣みたいに言わないでくれないか。君、テツヤ」

校長室の中にいた人物、赤司征十郎は溜息交じりにそう抗議する。

部屋の中には、リコと日向そして木吉もいた。

赤司の隣には知らないおじさん。

「お待たせいたしまして、申し訳ありません。揃いました」

もみ手で校長がいう。

「カントク、何が起こるんですか?」

「私も知らないの」

こそっと会話をする。

赤司の隣にいた人物が説明を始めた。

どうやら、今回ジュニア選抜でバスケの世界大会をすることになったそうだ。

と言っても、今回が初回と言うことで、大会側が出場国を選定し、その国の代表が試合をすると言うものだ。

これが軌道に乗ればもっと大規模にしていこうという考えらしい。

「それで、何でオレ達が校長室に呼び出されて、赤司がここにいるんだよ」

火神が言う。

赤司は目を眇めて火神を見上げたあと、盛大な溜息を吐いた。

「まず、相田さんと日向さんはバスケ部の監督とキャプテンと言うことで、選手を借りるのに一言言っておいたほうがいいだろうと思ってのことだ」

そう言って赤司が2人を見た。日向は自嘲気味に笑う。少しだけ期待した。自分が代表に呼ばれたのではないかと。

そして、赤司は黒子と火神を見る。

「テツヤと火神は選手として召集だ。そして、木吉さん」

少し驚いたように彼は眉を上げる。

「選手兼コーチで召集だ。ちなみに、選手としてコートに立てる確率は限りなく低い。それでもよければ」

「少し考えさせてくれ」

木吉の言葉に赤司は頷く。

そして、を見た。

君はスタッフとしての召集だ」

「それは、誰の要請?」

が問うと愉快そうに赤司は口元を歪めて

「もちろん、キャプテンである僕の要請だけど?」

と答えた。

「来年度いっぱい、洛山へのスカウトをしないことと引き換えに受けましょう」

「来年度いっぱいでいいのかい?」

赤司が問う。

「ホントは2年間と言いたいけど、これ以上は確実に交渉決裂するでしょ?」

の言葉に彼は声を上げて笑った。

「ああ、本当に君はさすがだね。いいよ、交渉成立だ」

「オッケ。合宿とかあるのよね。いつ?」

「スケジュールは追って知らせることになる」

赤司の言葉には頷く。

「赤司くんはこれから他の学校も行くの?具体的に、東京だと秀徳と桐皇。桃井も召集でしょ?」

「ああ。だが、もう何処にも顔を出す気はないよ」

「そうなの?」

「桃井は僕に交換条件を出さない。僕は、君のためにここにいるんだ」

「それはどーもー。ご足労頂きまして、有難き幸せでございますー」

適当に返すを喉の奥で笑い、

「ではね、君。テツヤと火神も」

と言ってソファから立ち上がる。

「僕達は物凄く序でなんですね」

「そうだよ」

「ところで、キセキの皆は確実だろうけど。無冠の五将も全員を集めるの?具体的には、花宮さんにも声を掛けるの?」

が言うと、赤司から凄く冷え冷えとした視線を向けられた。

「は?」

心底不愉快だったらしい。赤司がに殺気を向けることなど滅多に無い。

「あー、うん。言ってみただけ」

両手を挙げて降参ポーズをとる。

君、気をつけてくれ」

「はーい」

の返事を聞いた後、赤司は校長に軽く挨拶をして校長室を後にした。


「そういえば、赤司くんと一緒にいたおじさんって誰だったのかな?」

ポツリと呟いたにリコが教えてくれえる。

前の全日本の監督だそうだ。

「へー、監督さんか」

「今、心底あの人がいる前でが聞いてこなかったことを良かったと思ってるわよ...」

リコがげっそりして言う。

「あー、そうですか?すみません」

あまり心が籠もっていない謝罪をするにリコは梅干をする。

「ごめんなさい〜!」

の言葉は、心からの謝罪へと変わった。









桜風
12.12.14


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