| 本合宿はまた別の機会にあるとして、3連休を利用しての合宿のプレ合宿が開かれた。 「全国大会なくてよかったよねー」 この時期、全国大会の予選などはない。ただし、地区大会、関東大会はこれからだ。 だから、主力が抜けるのは避けたいと各校の監督は思っていたかもしれないが、目的が世界であるため、首肯する羽目になっていたのだ。 プレ合宿の会場は、東京だった。 日本全国から選手が集まるのでなるべく交通の便がいいところ、と言うことで東京になったらしい。 「さんのお母さんは、ご飯大丈夫なんですか?」 「さあ?まあ、最近はコンビニエンスなストアがあるから大丈夫なんじゃないの?2泊3日だし。一応、おかずを作って冷凍庫に入れておいたから。電子レンジは使えるし、使ってもいいって話してるから」 苦笑してが返す。 「何だ、おばさんメシつくれねぇの?」 「うん、台所に立たせない。破壊活動を始めるから」 これまでの破壊活動を口にすると 「まあ、なんだ。それは、たしかに...」 火神がもごもごとコメントしづらい雰囲気を出す。 「あ!ちゃん!!」 「わー...」 が遠い目をした。 そうか、揃うんだ。 ダッシュして黄瀬がやってきたが、「ちゃんみっけ!」と背後から抱きしめられた。 「玲央さん?!」 が声を上げ、黒子は驚いて彼を見上げた。黄瀬は思わず足を止めてしまった。 「、実渕とも知り合いだったのかよ」 呆れたように火神が言う。 「あら、先輩に敬語も使えないのー?やだやだ。礼儀ってのを身につけられていない子って」 ふう、やれやれと実渕が首を振る。 「な!」 実渕の指摘に火神は返す言葉がなかった。 「玲央」 「...征ちゃん、台無し」 自チームのキャプテンの出現に実渕は溜息を吐いた。 「?とにかく、君を離せ」 「はいはい、ヤキモチね。じゃあね、後でまたぎゅってさせてね、ちゃん」 そう言って実渕は彼女の頬にキスをしていなくなる。 ギロリと実渕の背を睨んで赤司はに向き直った。 「大丈夫か?」 「お宅のSGさん、スキンシップが過ぎます」 「言っておく」 赤司が苦々しく返した。 「ちゃん!実渕に何かイヤなことされなかったスか!」 「概ね、普段黄瀬くんにされるようなことをされただけだから」 ぎゅっと抱きしめられただけだ。ほっぺにちゅーはさすがに黄瀬でもやらないが... 「モテモテだなー」 笑い声が聞こえた。 振り返ると青峰が立っていた。 その隣には桃井と桜井。 (やっぱ、桜井くんも召集ですかー...) SGの競争率がずいぶんと高い気がする。 「おっぱいちっせーから色気の欠片もないのに、何でだろーなー」 「青峰さん!」 桜井が蒼くなって窘める。 桃井がおもむろに青峰の腕にしがみついた。 「、どーぞー」 「さつき!裏切んのかよ!」 「ありがとう、さつき」 彼女に礼を言っては青峰の頭をポカリとした。 「いてぇ...」 頭を押さえてうずくまる青峰に拳の痛みに堪える。 「テツ!お前んとこのマネージャー、凶暴すぎだろ!!」 「桐皇学園のエースのデリカシーのなさに比べれば...正当な抗議だと思います」 半眼になって黒子が答える。 「今日は、お前の乙女座の運勢は最悪だったのだよ、青峰」 「発言の方が最悪だと思う」 が冷静につっこみを入れる。 「よー、ちゃん。なんで居るの?」 秀徳の2人がやってきた。 高尾は近くにいた赤司を睨む。WCの準決勝のことは忘れない。 高尾の視線を感じつつも、赤司はそれに関心がない。 「ちん見つけたー」 ひょいと持ち上げられた。 「紫原くん、降ろそうか」 「やだー」 「アツシ、さんが困っているじゃないか」 「高いところから失礼します。お久しぶりです、氷室さん。あと、紫原くんにもっと言ってやってください」 が言うと彼は挨拶を返して、苦笑した。 「辰也!」 火神が若干うれしそうな声を上げた。 (あらあら...) 一応、バランス良く召集されているはずなのだが、どうにもこうにも偏りがあるような気がする... 「おー、。早いな!」 結局、木吉も召集に応じることにした。こんな機会、もうないかもしれないと言って。 「時間ぎりぎりですよ」 紫原に持ち上げられたままが返す。 紫原はむっとしたようで、木吉と話をしているを小脇に抱えてその場から去っていく。 「紫原っち!ちゃんをどこに連れて行くんスか!」 黄瀬が追いかけていった。 キセキの世代、そして、無冠の五将の彼らはさほど気にしていない。 彼らと親交のある者たちも、さほど気にならない様子。 だが、それ以外の者たちは選手ではない高校生の召集を不思議に思っていた。 「監督、どういうことですか」 スタッフが声をかけた。 遊びではない。 「...キャプテンが言い出した。彼の選抜する選手の召集及び、スタッフの採用。これが、彼がキャプテンを引き受ける条件だったんだ」 監督としても少し違和感はある。 選手の方は、彼が選んだ者たちに異論はない。そして、自分が気になっている選手もさらに呼んでいる。 だが、スタッフにと推してきた女子2人は納得できない。 一度彼に聞いてみた。なぜ、彼女たちを呼ぶのかと。 彼は答えた。 「僕は役に立たない人形を側に置いておく趣味はありません」 つまり、役に立つと言いたいのだろう。 だが... 桐皇学園のマネージャー、桃井さつきは、帝光中学時代も今も優秀なブレーンとしてチームに役立っているという情報を耳にした。だから、一応は納得した。 では、もう一人。 赤司がわざわざ召集を告げるために足を運んだ彼女、は何の役に立つ? 創立3年目の新設校のバスケ部のマネージャーという情報以外なにもない。 帝光中学出身でバスケ部マネージャー経験があるという情報は得ている。 中学でも桃井のようなブレーン役だったのかと問えばそうではないと、当時の監督は答えていた。 役に立つなどとはどうしても思えない。 ふと、自分の背中に受けている視線に気づいていた赤司はため息をついた。 その視線は猜疑心をはらんでいる。 「そういや、よくの召集を認められたなー。あいつ、あまりにフツーだろ?」 青峰が言った。 「ああ、今、彼女の能力がすごく疑われているところだよ」 (僕に逆らうな...) 背中に感じる視線に再びため息を吐いた。 |
桜風
12.12.16
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