| 翌朝、食堂に行くと、はさつきと一緒に食事を摂っていた。 少し寝坊してしまったと反省しつつも、朝食の乗っているトレイを取りに行く。 何処に座るか、と振り返ったところでさつきが席を立った。 のコップも持っている。水でも取りにいくところなのかもしれない。 目の前にコトンとトレイが置かれては見上げた。 「おはよ」 何事も無かったかのように彼女は挨拶をする。 無かったことにしてくれているのかもしれない。そうしたいのかもしれない。 でも、それに甘えるのは気持ち悪い。 「昨日は、悪かった...」 ポツリと呟くような謝罪はにギリギリ聞こえるくらいの音量だった。 は苦笑する。 「青峰くんのそういうところ、凄いよね」 「は?」 「ちゃんと謝れるところ。夏の事だって、何ヶ月も経って...無かったことにすれば良かったのに態々謝るし」 「仕方ねーだろ。アレはテツにも言われてたし...」 拗ねたように言う。 お陰で酷い目に遭ったが、確かに自分の中でスッキリしたものまた事実だった。 黒子がチクチクと責めてくれなかったら逃げていた。負い目を感じながら彼女と接していただろう。 逃げたことを後悔しながら... (あれ?そういや...) 「お待たせー。あれ、大ちゃん、おはよ」 桃井が戻ってきた。 「ありがとう」 とは桃井の持ってきた水を受け取る。 「おー。オレにも水とって来い」 「なによ!もー、大ちゃんってば横暴ね!!」 そういいながらも桃井は水を取りに行く。 「どこの亭主関白さんですか。ウチでお父さんがやったら、それこそ大変な目に遭うと言うのに...」 呆れながらが言う。 彼女の母親の言動を思い出して「だろうなー」と呟いた。 「つか、おっちゃんは喜んでおばちゃんの世話焼くんだろ?」 「うん。甲斐甲斐しいと言うか...」 苦笑してが頷く。 会話をしているといつものメンバーが固まってしまった。 は色々とそう言うのが面倒だから、と基本的に端の席に座る。つまり、彼女の隣の席はただひとつで、今回は桃井が座っている。 黄瀬が代わってほしいと言うが、桃井が断った。 今日の練習メニューについてちょっと打ち合わせしておきたいと言うのだ。 「じゃあ、ひとつずれて欲しいっス」 黄瀬はめげない。メンタルの強さだとキセキの世代一かもしれないと青峰は時々思っていた。 ただ、今はちょっと面白くない。 「黄瀬、うぜぇ」 「酷っ!ちゃん、青峰っちが酷いっス!!」 「まあ、だいたいこんなもんじゃない?」 は苦笑した。 でも、席をずれようとしない。 黄瀬はどうやら諦めたようだった。 それを確認しては桃井と話を始めた。 昨日、スタッフミーティングがあったらしいが、は出られなかったとか。 そのため、今の時間を使って本日のスタッフの動きについて連絡をしていると言うことだ。 「部屋でやりゃいいだろ」 青峰が言うと 「時間がないもの。ご飯食べながらの方が両方一度に済んで時間短縮になっていいでしょ」 と桃井が返す。 「、箸進んでねーけどな」 呆れたように青峰が言った。 「は、食べるかしゃべるかのどっちかしかしないからな」 緑間が頷く。 「聞くだけなら食べながらすればいいのにー」 紫原が言うと 「一生懸命話してるし、聞き逃すと何があるか分からないから...」 とが返した。 「あれ?オレが話してるときって何で食べながら聞いてるんスか?」 「確実に長い話だから」 が真顔で返すと、黄瀬はしょんぼりした。 全体練習が終わり、個人の自主練をしている。 自主練に入ると、必ず黄瀬が1on1を挑んでくる。 拒む理由も無いので受けているのだが、ふと思い出した。 「そういや、黄瀬」 「何スか」 今は黄瀬のオフェンスの番だ。 「お前、中学のときにさつきとが崖から落ちそうだったらっていう話したの覚えてるか?」 「青峰っちは桃っちなんでしょ」 黄瀬が返す。 あの時、青峰はそう答えた。 「五分五分なら答えは違うかもしれねーな」 「は?って..あ!」 黄瀬は思わず腰を上げてしまった。 その隙に青峰がボールを奪った。 「ズルイっス!」 黄瀬がわめく。 「あーあー、うっせ。腰を上げたの、お前じゃん」 「そうっスけど...てか、青峰っちってちゃんの事が好きってことっスか?」 「あー、それはわかんね」 そう言って青峰がオフェンス側となる。 あっという間に決着がついた。 「ちょ!もう1回!」 黄瀬が言うと 「1日3本勝負って決めてるだろーが」 と青峰が素っ気無く返す。 「えー...」 黄瀬はまだぶーたれていたが、青峰は無視して別メニューで練習を始めた。 |
桜風
13.1.11
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