グラデーション 123





合宿が終了して数日後には学年が上がって新学期だ。

大会は4月の終わりにあるので、次はその時期に開催国に乗り込んでの調整となる。

選抜に残った選手は、その召集で分かるとか。


通常のクラブ活動に合流した日、合宿で不在だったたちにリコが重大発表をした。

「楽しそうだな」「はい?」「へ?」「えー...」

木吉、黒子、火神、がそれぞれ反応を示す。

、気持ちは分かるけどね?」

リコの発表は、新学期早々練習試合を組んだという話だ。他の部員達はもう知っている。不在にしていた4人だけが初耳だった。

リコは、この練習試合は新入生の勧誘に丁度いいと思ったらしい。

「地道に勧誘しましょうよ。チラシ作り、頑張りますから」

「最初からこちらの実力を見せて、ふるい落とす数を減らすのよー。楽じゃない?チラシも作る。よろしくー」

リコが上機嫌に言う。

確かに、WCで優勝したからバスケ部への入部を希望する新入生は少なくないと思う。

だが、

「わたし、去年見てないからどんなもんか知らないんですけど。今年も屋上するんですよね?そこでもう逃げる子が結構出ると思うんですけど...」

が指摘した。

「さ、練習試合といえども負けられないからね!みんな、気合を入れて!!」

黙殺された。



新学期が始まって最初の土曜日。

海常高校バスケットボール部がやってきた。

『あの』黄瀬涼太が来ることを耳にした女子達がギャラリーを占拠する。

勿論、海常高校の女子もやってきたので、体育館内の女子率の高さと言ったらこれまで見たことがないというのが最高学年に上がった日向達の談だ。

「黄瀬くーん!」と黄色い声が上がり、彼は苦笑しながらそれに応えていた。

ムカ...

はおなかを擦る。

「どうしたの、。調子悪い?」

「いえ、何でもないです」

「しかし、黄瀬の雰囲気。何かちょっと変わってね?」

日向がチラと彼を見て言う。

「あー、合宿の終わりの方、いきなり雰囲気が変わったなー、です」

火神が言う。

「そうなの?」

リコがに問う。

「そうですねー、IHの桐皇戦の雰囲気だねってさつきと話をしました」

「そーなのよねー」

不意に現れた新しい声、桃井に皆が驚きの声を上げる。

「さつき、来てたの...」

「テツ君!」

「無視か」

の問いに答えず、桃井は黒子に抱きついていた。

(そういや、此処最近平和だったなー...)

海常ベンチを振り返った。

黄瀬と目があっては慌てて視線を戻す。

「まあ、ほら。笠松さんなき後、エースとしてチームを引っ張っていかなきゃって言う自覚が芽生えてきたんじゃないんですか?」

が言うと

。その言い方だと、笠松さんが死んだみたいだからやめろ...」

溜息混じりに日向に突っ込まれた。

は首を竦めて「すみません」と謝った。

「桃井さんだけで来ているんですか?」

黒子が問うと、

「ううん、大ちゃんはもうギャラリーに居るよ」

と桃井が返す。

振り仰ぐと確かに居た。

「何でまた...」

「私が誘ったの。来るとは思わなかったけど」

随分と、彼もバスケが楽しくなってきたようだ。

の視線に気付いた青峰は軽く手を上げ、も手を上げた。

「じゃ、じっくりデータを取らせてもらうからね!」

そう言って桃井はギャラリーに向かっていった。

「あー、やな子が見てるのねー」

リコは遠い目をして呟いた。


試合は引き分けで終わった。

公式戦ではないので、延長戦はなしと両校でルールを決めていた。

昨年練習試合とWCで2度の敗北を喫してリベンジを誓っていた海常は何とも腑に落ちない結果になり、対して誠凛は海常の力に焦りを覚えたし、課題もまた新たに見えてきた。

両校とも、得るものはあった試合だった。









桜風
13.1.4


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