グラデーション 14




控え室に戻るとリコがマッサージを始める。

その傍らでがミキサーをガーガー鳴らしていた。

、それ五月蝿い」

「ミキサーに言ってください」

リコの抗議を軽く流しては1人分のドリンクを作って火神に渡した。

「寝るなら先に飲んで」

「ああ?」

「寝るなら、先に飲んで」

聞こえなかったわけではない。ただ、意味が分からなかっただけ。

だが、彼女は何かを解説する気がないらしく、そのまままたミキサーの元へと向かった。

また一人分作る。

彼女は1人分のドリンクを作っていた。

微妙に分量が違うらしく、そのため、ひとりひとり違うものを作っているらしい。

「一気にガーッってやっちゃわないの?」

マッサージをしながらリコが問う。

「ひとりひとりの運動量が違うのに?」

問い返されてリコは驚く。

「え、だから??」

「練習のときまで面倒を見る気はしませんけどね」

そう言って、またミキサーのスイッチを入れた。またミキサーがガーガー鳴るが、もうリコは文句を口にしない。

しかし、は計量スプーンなど道具を使って分量を量っている訳ではないようだ。

「それ、正確なの?」

「見ただけで分量はわかるもんじゃないんですか?」

「分かるわけないでしょ!」

リコが驚きの声を上げる。

「...え、。つまりお前見ただけで分量正確に測れてるのか?」

「コンマ1、2の違いはあるかもしれませんけど。ちなみに、体重とかも大体当たります」

そう言ってリコを見る。

「言うな」

唸るようにリコがいい

「まあ、言いませんけどね」

と肩を竦めて返した。


先ほどの正邦の試合に出た選手達のドリンクを作り終わったはマッサージに合流する。リコが言うところの大量にガーッと作ったものもあるので、試合にでていない選手はそれを飲めばいい。

、すげー上手い。どっかで習ったの?」

驚きの声を上げる小金井に

「いいえ」

と返す。

「まさか、それも取扱説明書的な?」

水戸部のマッサージをしていたリコがハッとして言う。

「そうです」

「何それ。万能じゃん」

リコが呟き

「そうでもないですよ」

は返した。

小金井のマッサージを終えたは黒子の元へと向かう。

「緑間くん、レンジ伸びてると思う。ちょっと警戒しておいたほうがいいかも」

「...わかりました」

「桃井みたいに気持ち悪いくらいの情報収集できたら良いんだけどね」

苦笑してが言った。

「いいえ、充分です。それと、さっきのドリンク、美味しかったです」

「そりゃ、愛情が入ってますから」

そう言っては笑い、黒子は困ったように睫を伏せた。

さん」

「なに?」

「何で火神くんが一番だったんですか?」

何の話だろう、とは首を傾げたが黒子がミキサーを指差したため、何のことかがわかった。

「うん、一番体力回復してもらわなきゃ困るでしょう?不貞寝しそうだったし」

確かに、不貞寝かもしれない。

「マッサージは寝てる間にできるけど、さすがに寝てるところにドリンク流し込むと器官に入ったりして危ないでしょう?」

の言葉に「そうですね」と黒子が頷く。

「...正邦みたいに、特殊な動きのあるチームだったら取説読んで過去の試合を見て研究すれば何とか突破口が見えたかもしれないけど、秀徳は違うからね」

足元のマッサージをしているのだからが俯いているのは当然で。だけど、黒子は彼女の頭を撫でる。

さんは、マネージャーとして僕たち選手がプレイに集中できるようにいつも環境を整えてくれています。だから、僕たち選手はプレイに集中して、秀徳に..緑間くんに勝ちます」

「ん、」とは短く声を漏らす。

マッサージが終わって彼女が顔を上げた。

「ね、あの験担ぎの緑間くんだからさ」

そう言ってはイタズラっぽく笑って黒子にあることを提案してみる。

「いいですよ」

黒子は頷き、彼女が笑顔であることに胸を撫で下ろした。









桜風
12.6.24


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