グラデーション 18





秀徳戦翌日にリコから司令があった。

中間テストの結果を全教科もってこいというものだった。

昨日2連戦をしたので今日は部活が休みだったのに、放課後、体育館に向かっていると同学年のバスケ部全員と合流する。

「何で中間が関係あるんだろ。あさっての実力テストっていってもアレは成績に反映されないって言うものだったよな?」

集団の1人が言う。

「というか、何でみんなテストの解答用紙を家に持って帰ってないの?」

が問う。

だって」

「わたしは、昼休憩に自転車飛ばして取りに帰ったわよ」

はそう返し、体育館へと足を進めた。


リコの話によると、実力テストは成績に反映されないが、下位100名は来週土曜日に補習があると言うのだ。

しかし、来週土曜日は決勝リーグがある。そこが問題なのだと伊月が言った。

結果が思わしくない者は、リコの家で勉強特訓となるそうだ。

一瞬何かに期待をした彼らにリコは

「補習で試合に出れんかもしれん馬鹿にウフフな展開があると思うなよ」

と何か黒いものを背負って言う。

とりあえず、火神と黒子を除くみなの成績はまあまあだった。焦るほどでもないと彼女は判断した。

そして、黒子の結果。

フツーだった。ただし、国語は結果がいい。皆が胸を撫で下ろす。

そして、火神。

普通に0点があり、そのことに声を上げるものもいれば、帰国子女なのに英語が酷いことに声を上げる者もいた。

そんな彼らに火神は問う。自分たちの成績はどうなのか、と。

リコは学年2位で、他の者も上位100名に入っていた。

「そういえば、は?」

「マネージャー1人いなくても試合は出来ますよ」

と言う。物凄く見せたくなさそうだ。

火神の後ならどんな成績でも良く見えるに決まっているのに...

「何言ってんのよ。いいから見せなさい」

そう言ったリコは、一応持ってきたの中間テストの結果を取り上げ、皆で覗き込む。

「ね、ねえ...」

「はい」

「これ、何で全部95点なの?」

「ぶっちゃけ英語は賭けでした」

は深く頷く。

英語だけ、問題用紙に配点が書かれていなかったのだ。

「てか、この解答用紙。書いてある箇所は全部丸が付いてるぞ?!」

土田が声を上げた。

「ちょ、待って。まさか、狙って?」

「はい」

は何でもないことのように頷いた。

「これって、もしかして満点いけたんじゃないか?」

日向が恐る恐る問う。

「たぶん」

とやはり何でもないことのようにが頷く。

「じゃあ、。バカガミの勉強特訓チームに加わって!凄く希望が見えてきたぁ!!」

リコが声を弾ませて言うが

「無理です」

が返す。

「あ、親御さんの許可?私が頼み込んであげる」

「違います」

「じゃあ、何...」

眉間に皺を寄せてリコが問う。

「わたし、一度見たものを忘れないんです。だから、テスト勉強の仕方が分からないんです」

「...へ?」

きょとんとしてリコが首を傾げる。

「つまり、わたしにとって、全部どの教科も所謂暗記科目なんです」

「国語は?古文、漢文は確かに暗記科目っていう印象あるけど、現国って、『作者が言いたかったことは何か』って内容の問題もあるわよね?」

「だから、国語は少し苦手なんですけど。それでも、学校のテストは基本授業の内容に沿って作られます。だから、授業を聞いていたら、先生がその作品にどんな傾向の思いを持っているか、わかりませんか?」

(((な、なるほど...)))

周囲は納得したが、全く何の解決にも結びつかないことに気がついた。

「なので、無理です」

「まさか、ここにもトンデモな子がいたとは...いや、何となくそんな気もしてたけど」

リコは肩を落とす。確かに、全部記憶してそれを記入しているだけなら、答えをその場で言えても勉強は教えられない。

「いいわ、仕方ない。じゃあ、火神君。特訓するからね」

リコのその言葉が解散の合図となり、火神はリコに連れて行かれた。



夜になり、リコの部屋のドアがノックされた。

「なに!?」

この部屋をノックするのは父親しかいない。邪魔をしにきたのかと思い、少し強く返してドアを開ける。

「さっき、これを持って来た子がいたぞ。夜食に食べてくださいって」

そう言って渡されたのはずっしりと重い重箱。

こんなことをするのは、否、できるのは1人だけ。

リコは頬を緩める。なりにできることを考えて、それをやってくれているのだ。

「ねえ、少し早いけど夜食にしましょう。飛び切り美味しい差し入れが来たわよ」

開けてもいないが、美味しいことはもう分かっている。

彼女としては物凄くたくさん、多めに作ったつもりだったかもしれないが、あっという間にそれは綺麗に平らげられた。

「ハイエナか!」

リコが思わず突っ込む。

「やっぱ美味かったー」

腹を擦りながら皆が満足そうに一息ついていた。

「さ、必要カロリーも摂取したことだし、次行くわよ、次!」

相田リコ総指揮官の指揮の下、睡眠時間ゼロで火神の特訓は続いた。


翌日も夜食の差し入れがあり、実力テストの日を迎えた。


そして、その翌日。

火神の元へ学力アップチームの講師が結果を聞きに集まった。

彼はその結果を見せる。

捨てたはずの国語が98点。黒子から貰った緑間特製のコロコロ鉛筆の効力だとか。

その日の放課後、日向と火神の2人を除いて皆は安心して部活に励んだ。

日向は順位が火神よりも下だったことに傷つき、火神は緑間の力を借りてしまったことに落ち込んだのだった。









桜風
12.6.29


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