グラデーション 22





決勝リーグが終了して2週間が経った。

怪我が完治した火神が練習に復帰し、そしてバスケ部の創設者であり、誠凛高校バスケ部のエースの木吉が復帰した。

彼は昨年の夏から手術とリハビリのために不在だったといった。


久しぶりに練習に復帰してきた火神は鬼気迫るものがあり、周囲が言うには入部したてのときに戻ったような自己中心的なプレイになっていると言う。

(確かに、少し変だなー...)

練習の様子を眺めていたも頷く。

しかし、もっと変なのは...

(木吉さん、バッシュは?)

復帰したばかりの木吉がなぜか上履きのままなのだ。

誰も指摘しない。

は、

(これは、彼なりの練習方法なのよね、きっと)

と思い、とりあえず静観することにしていた。

そして、そんな木吉が火神に1on1を持ちかける。賭けるものは、スタメン。

試合の結果、火神が勝利し、木吉は約束どおりスタメンは火神だと言う。

「木吉さん」

が堪らず声を掛ける。

その間に火神は先に上がるといって体育館を後にした。

「何だい?」

「バッシュは履かない主義ですか?」

の問いに、皆は彼の足元を見る。

「馬鹿ぁーーーー!」

リコが声を上げる。

「いっけね」

「素かい!」

日向とリコが容赦なく突っ込みを入れる。

「気付いてたの?」

伊月に声を掛けられた。

「ええ。ただ、誰も言わないし、木吉さんの独特な練習方法なのかなって思って。すみません、もっと早く言えばよかったですね」

が答えると

「まあ、普通はバッシュを履くことを忘れてるなんて思わないだろうからね」

と彼は苦笑した。

「変なヤツだろう?」

日向とリコの説教を受けている木吉に視線を向けて伊月が言う。2人の説教を説教と受け取っていないようで、彼は笑っていた。

「まあ、バスケ部の変人ってのは結構見慣れていますから」

がそういうと彼は愉快そうに笑う。

「確かに。帝光中はそういうの、多そうだよね」

「何とかと天才は紙一重ってやつです」

「なるほど」

その後、練習を再開し、時間が来ると解散となる。


その数日後、リコが練習試合の話を持ってきた。

「明日から3日練習試合を組んだわ」

リコの宣言に驚きの声を上げる部員達。そんな彼らにリコはみなの課題を明確にするためだと言う。

そして、いつもの『いい笑顔』で「そして、夏休みは楽しくみっちり猛特訓ってワケよ」と言う。

青ざめる彼らを眺め、「課題、ねぇ...」とは呟く。

初日の試合は、スタメンを1年とした。

みなの動きは悪くなかった。悪くなかったが、スコアが思いの外伸びなかった。

結局、火神が点を取りにいって勝つことは出来たが、少しだけ違和感があった。

そして、その翌日。黒子と火神は元通りに戻っていた。

「いいねぇ、男子のそういうところ」

は苦笑してそう呟いた。



期末テストも無事に終えて、夏休みを迎えた。

今年は夏休みの初めと終わりに合宿を組むと言う。

、家の都合とか大丈夫?」

は部員達よりも先にリコから話を聞いていた。

は女子で、男子部の合宿参加に親の許しが出ないかもしれないと考えての配慮だ。事前に家に確認し、難しそうだったらリコが説得しに行く予定だった。

「ああ、大丈夫でした」

「よかった。なら、安心だねー。合宿の楽しみなんて食事くらいしかないし。献立も任せて大丈夫?」

「一応、献立表を作ってみましたので、あとで見ていただけますか?」

「オッケ。食材とかそういうのも持ち込みだから、は私と一緒に現地入りね。パパが車を出してくれるから」

「助かります」

誠凛高校バスケ部の暑い夏が始まる。









桜風
12.7.4


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