| 合宿地は、海がすぐ近くの民宿だ。結構歴史のありそうな建物だった。 先に現地入りしたとリコは、リコの父親に手伝ってもらって食材を運び込む。 「皆は、そろそろですね」 が窓の外を見て言った。 「ん?ああ、そうね」 リコは時計を見て言う。 「合宿中の食事は、皆の体を作るのに凄く重要だからね。任せたわよ」 ぽんとの肩を叩いてリコはウィンクした。 「はい、任されました」 とは頷く。 外に出て彼らの到着を待っているとぞろぞろとやってきた。 荷物を置いてすぐに彼らは練習の場、浜辺に向かった。 はその間にドリンクを作り、リコが言っていた時間までにそれを持っていって一度民宿に戻り、夕食の下拵えをして、またお替りのドリンクを作って浜辺に向かい、空になった容器を洗って、夕方からの練習用のドリンクを作る。 ずっと台所に立っているような気がする。 夕食を作って皆に食べさせて、それが終わって自分の夕食。そして、明日の朝ごはんの下拵え。 意外と忙しい。 食事までまかなうのは、かなり重労働だと今頃気が付いた。 それでも、リコ曰く 「合宿中の楽しみなんて、美味しいご飯だけなんだし」 ということでの任務はかなり重要だった。 (てか、刑務所か...!) は心の中で突っ込みを入れる。 明日の準備を済ませて風呂に入り、髪を乾かす。 「髪が長いのってそういうのが面倒くさそうよね」 しみじみとを見ながらリコが言う。 「カントクは髪を伸ばしたことはないんですか?」 「うん、小さいときはあったけどね」 苦笑して彼女は返す。 「合宿、どうですか?」 「食事は好評よー」 「ではなくて。元々、この合宿の目的に置いていたそれぞれの課題って言うか...」 「...まあ、まだ初日だしね。ただ、こう..起爆剤のようなものがほしいのよねー」 (カントクの場合、欲しいと思ったら自らでっかいのを作りそうだよね...) は心の中で突っ込みを入れる。 「ちょっと考えてみるわ」 翌朝、が食事を作っていると窓の外を見たことのある集団が通った。 「あらら」 は苦笑した。起爆剤が来た。 (カントクのことだから、絶対に使うよね) 食べるのもトレーニングだということで、朝食はご飯を3杯が義務となっている。しかも、ご飯は大盛りだ。 「はいはい、人間計量器のがよそってくれるからね。きっちり同じ量で3杯ねー」 リコが皆に言う。 「人間計量器って初めて言われました」 「そうでしょうねー」 笑いながらリコが返す。 とりあえず、つまりはは皆の食事が済まなければ自分の食事を始められない。 そして、皆の食事が済んだら朝食を摂り、そのままドリンクを作って浜辺に行き、朝食の後片付けをしつつ昼食の準備をして... 昨日と同じことを繰り返す。 しかし、その日の夕方からは少し違っていた。 「、悪いけど、体育館のドリンク増やして。荷物持ちは火神君に頼んで良いから」 「いいですけど...どうしたんですか?」 昼食の片づけを済ませて午後からのドリンクの準備をしていると、リコが突然そう言ってきた。 「あと、ドリンク用の材料の買出しがいるわよね。これも火神君に頼んで良いから」 「...はあ」 夕方になると火神が台所に姿を見せた。 「ドリンクは?」 「あ、ちょっと待って」 そう言ってが作り始める。 「、全然練習見に来ないな」 「時間がないのよ。ご飯を作る量が多いし」 「そうか」 「はい、出来た。粉末のも一応ひとつ作って予備に持ってく?足りないかもしれないでしょ?」 そう言うに「あったほうが良いかもなー」と火神が言う。 「体育館って、もしかして秀徳と練習してるの?」 が問うと 「カントクから聞いてんのか?」 と火神がにわかに驚いた様子を見せた。 「ああ、ううん。朝、窓の外に緑間くんが見えたから。秀徳もここに泊まってるんでしょう?強豪だからお金ありそうなのにね」 笑ってが言うと 「だから、飯は民宿のを食ってるんだろう?」 と火神が返す。 「なるほど。食事代分しか裕福ではないのか、強豪も」 「知らねーけど」 「そりゃそうだ。ひとんちの台所事情なんて探るもんじゃなかったわね」 そう言って市販の粉末のスポーツドリンクを水で溶かしたドリンクも作った。 全部容器の蓋の色が違うから中身は分かる。 「1個持つよ」 「や、カントクが1個ずつ、俺が持ってくるようにって」 そう言って火神はが作ったドリンクが入ったタンクをひとつ持って台所を出て行った。 |
桜風
12.7.8
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