| 休日は、結局皆バスケをして過ごしたため、オフになっていない。 だが、スケジュール的にはオフだったので今日からまた練習だ。 は今日はずっと腫れ物扱いだった。 昨日、青峰と桃井がいたその場に、部員全員が揃ってしまっていたので、皆知っている。 「」 「はい?」 リコが意を決して声を掛けるとはいつものトーンで返事をする。 「気にすることないよ」 とか 「はウチに必要な子よ」 とか言うのもなんか混ぜ返すような気がして何も言えず、 「今日も暑いねー」 と不自然なまでに無難な言葉しかかけられなかった。 練習が終わって、ドリンクサーバーを洗っていると「さん」と名前を呼ばれた。 振り返ると黒子だった。 「昨日、すぐに家に帰らなかったんですか?」 「なんで?」 「桃井さんがちょっと待ってたけど家の電気が点かなかったって」 「青峰くん、桃井を探して彷徨ってたのに置いて帰ったの?何やってんの...」 呆れたようにが呟く。 「凄く今更なんですけど。僕」 「ストップ。いいよ、何か逆に恥ずかしい」 黒子が口にしようとしていたのは、おそらくへの感謝の言葉。 (そのズルは、もう昨晩やっちゃったから...) 「嫌です」 「...は?」 黒子が拒否した。何を拒否したのだろう... 「僕は、さんに感謝しています。いつも僕たち選手のことを考えて忙しいのに手間をかけてくれています。それは、中学のときも変わりません」 黒子が拒否したのは感謝の言葉を止められること。 は困ったように笑う。 「甘やかしてはダメですよー」 「いいんです。僕がさんを甘やかしたいんですから、甘えてください」 キッパリとそういわれては笑った。愉快そうに。 「黒子くんって、変なところ強情だよね」 「そうですか?」 きょとんと黒子が首を傾げる。 「うん、昔から」 そう言っては笑う。その笑顔に黒子の口元が綻ぶ。 「でもね、昨日の青峰くんにわたしはちょっと感謝してるの」 「...感謝、ですか?」 不愉快そうに黒子が表情を変える。 「うん、腹括った。括れた。吹っ切れた。言われっぱなしって性に合わないから、やるだけやって、言い返してやるんだ。『ガングロー』って。1回針を振り切ってやる!」 の言葉に黒子はきょとんとして苦笑した。 「ガングロって何ですか」 「桃井が青峰くんと口喧嘩したら高確率で出てくる単語なんだって」 笑ってが言う。 「仲がいいですよね、あの2人は」 黒子が言う。 (...桃井、頑張れー) は心の中で彼女を応援する。 「あ、そうだ。Tシャツ明日でいい?まだアイロン掛けてないの」 「いつでもいいですよ」 黒子が応じる。 「おっと、忘れてた」 呟いては体育館へと戻っていった。 黒子は昨晩、青峰の言葉に腹が立って眠れなかった。 それなのに、言われた本人は一晩で吹っ切れたようだった。 「強いな...」 ポツリと黒子は呟く。 思ってもないのに言葉を放ってしまった青峰もそれなりに後悔しているかもしれないが、そんなのは自業自得だ。 とことん後悔してしまえばいい。 「カントクー」 が体育館に戻ってリコに声を掛ける。 「なに?」 「明日、練習が終わったら帰っていいですか?」 の言葉にリコは苦笑した。 「元々、は自主練まで付き合う必要ないのよ。だって、これは選手達の『自主』練習なんだから。もし、がに用事があるなら毎日でも帰っていいのよ」 「「「え?!」」」 何人かが声を漏らした。 は振り返る。不思議そうに。 何故声が上がったのかはわからない。 「菓子は置いていけよ」 「紫原くんか!」 火神の言葉にが思わず突っ込みを入れる。 (お菓子お菓子って...わたしはバスケ部専属パティシエか!!) 心の中でそう毒づき、明日は練習が終わって即行帰らせてもらうことを宣言し、その日は自主練に付き合って遅くまで残っていた。 |
桜風
12.7.25
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