グラデーション 43





?」

(何かまた増えた...)

が振り返ると、緑間がいた。隣には高尾で「ちゃん」と手を振っている。

から離れるのだよ、黄瀬。あと、高尾。何度言えばわかる。を名前で呼ぶなと言っているのだよ」

「えー。ちゃん、だめー?」

「別にいいけど...」

苦笑しながら高尾に返すと

「ほーら、ちゃんも良いって言ってる」

と高尾が勝ち誇ったように言う。

「黄瀬はなんでこんな往来でにしがみついているのだ」

何とか黄瀬をから引き剥がした緑間が問う。

「黄瀬君たちは、ナンパに来たそうです」

黒子が状況を話すと

「ナンパだと?!、不埒なことをされなかったか?」

ガシッと彼女の肩を掴んで真剣な眼差しで緑間が言う。

「あ、うん」

呆気に取られながらもは頷いた。

「オレがいるのにそんなことをさせるはずがないっス」

「だが、お前はナンパをしに態々神奈川から東京にやってきたんだろう?」

緑間の指摘に黄瀬はグッと詰まる。

「へー、ちゃん。海常さんにナンパされたんだ?」

高尾が愉快そうに言った。

「うん、中の中代表で」

笑顔でが言う。

((((根に持ってる...!!))))

海常スタメンはゴクリと唾を飲んだ。

「中の中?黄瀬、これはどういうことなのだよ」

緑間は黄瀬に説明を求めた。

黄瀬は、まず自分の居ないところでナンパターゲットが決まったことだと念を押して今回のナンパのコンセプトを話した。

「何なのだよ」

呆れたように緑間は溜息混じりにそう零した。

「全く、見る目が無いのだよ」

そう言って緑間は海常スタメンを向き直った。

そして、がいかに素晴らしい女の子かを滔滔と語り始める。さらに、それに負けじと黄瀬が加わった。

「ふわぁ〜...」

その背後でが欠伸をする。

「あ、ちゃん。飴食べる?」

「うん、頂戴」

「黒子もどう?」

「いただきます」

と黒子、そして高尾は緑間と黄瀬の背後で彼らの熱弁を聞く。

ちゃん、愛されてるねー」

高尾がからかうと

「あんまり言われていると真実味がないんだよねー」

が返す。

「あー、今度真ちゃんに伝えておいて良い?」

「ああ、うん。寧ろ今から伝えてくれる?」

(そろそろ恥ずかしいぞー)

「いやいや、だって。面白いもん」

さん。そろそろ行きませんか?」

腕時計を見ながら黒子が言う。

「あ、そうだね。そろそろ行こうか」

「あれ、もう行っちゃうの?」

黒子との会話を聞いて高尾が驚く。

(散らかり放題なんだけど?!)

心の中でそう突っ込むが

「じゃあねー、黄瀬くん。明日で夏休みが終わりなんだから、宿題ちゃんと済ませるのよ。緑間くんも、またねー」

と彼女はその場から立ち去ろうとした。

「え、ちょっと。ちゃん!」

「黒子と一緒にどこに行くのだよ」

黄瀬と緑間の2人はピタリと止まって、振り返った。

(猛獣使い、ここに現る!)

高尾が心底感心した。

「え?火神くんち」

「火神だと?!」

緑間が声を上げる。

「何で黒子っちと一緒に...や、ちゃん1人で行く方が問題っスけど」

黄瀬も問う。

「火神君、夏休みの宿題を殆ど済ませていないって聞いたので。だったら、バスケ部1年揃って火神君の家で協力しながら済ませようって話になったんです。火神君はひとり暮らしらしいので、都合がよかったです」

黒子が答えた。

「え、ちゃんは終わってるんでしょ?」

「うん。9割夏休み前に終わらせてたし、お盆には読書感想文も終わらせたよ。わたしは夜食部隊。夜食作って帰るだけ」

「オレも行くっス!」

黄瀬が手を挙げた。

「は?」

が声を上げた。

「火神君に聞いてみます」

「いやいや、黒子くん?!」

携帯を取り出して黒子が電話を始める。

「俺も行くのだよ」

「はい?!」

緑間も加わると言う。

「緑間くん、宿題終わってるでしょ?」

「当然だ。だが、黄瀬が行くなら俺も行く」

「じゃあ、俺もー」

高尾も加わった。

「ダメだそうです」

「そりゃそうだ」

が頷いて納得する。

「何でっスか!黒子っち代わってほしいっス!」

黒子の携帯を取って黄瀬が説得を始めた。

「黄瀬、お前では無理なのだよ。俺が論理的に説得するのだよ」

緑間が黄瀬から携帯を受け取ろうとした。

「ねえ、学校が違うんだから課題も違うし。一緒にすることの意味がわかんないよ」

が尤もなことを口にした。

「オレもちゃんのご飯が食べたいっス!」

「同じく」

彼らの目的はただそれだけだった。

は溜息をつき、黄瀬に携帯を寄越せとジェスチャーをする。

黄瀬は大人しくそれに従った。

「火神くん」

?つか、黄瀬ウゼェ...」

「うん、わからなくもない。だから、とっととお暇してもらうために、夕飯を火神くんちで食べてもらって、夜食は別にわたしが作って帰るってので手を打たない?」

「はあ?何であいつらをウチに招かなきゃなんないんだよ」

「ご尤も。けど、今の彼らは全く理屈が通じる状況じゃない」

「火神君。さんの提案が一番面倒を避けられると思います」

が話している横から黒子が言った。


結果。

火神は折れ、黄瀬と緑間は火神の家での作った食事にありつくことが出来ることとなった。









桜風
12.8.10


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