| マンションを見上げた。 「ここが火神っちの住んでるマンションっスか?」 黄瀬が問う。 「わたしは知らない。初めましてだから」 が答え、 「住所は合ってます」 と黒子が答える。 「火神ってボンボンだったんだなー」 高尾もマンションを見上げながら呟き、緑間は無言で眼鏡のブリッジを上げた。 エントランスのインターホンを押すと火神が応じる。 「開けたぞ」 オートロックを解除してそういった。 エレベーターで上階に向かい、彼の住んでいる部屋の前で足を止める。 黒子がインターホンを押すと中から火神が出てきた。 玄関の靴を見ると、たちが最後のようである。 「ホントに来たのかよ」 面倒くさそうに火神が言う。 「ちゃんのご飯のためっス!」 「...まあ、いい。あがれよ」 そう言って火神が家の中に入っていき、黒子が続いた。 高尾、黄瀬、緑間と続き、最後にが入っていく。 「、この状況..何?」 火神から何も聞いていなかったらしい降旗たちが困惑している。 黒子が手短に説明した。 「ねえ、火神くん。油使っても大丈夫?」 家に置いてある調味料を確認してから調理したかったため、はまだ献立を決めていなかった。 「油?」 「揚げ物とか。ちゃんと綺麗に使うつもりだけど、絶対に跳ねる」 「ああ、別に気にしねー」 の言葉に火神はそう答えた。 自分の携帯で近くのスーパーを検索しては火神に声を掛けて買い物に出ようとした。 「荷物持ちするか?」 火神が腰を上げようとしたが 「火神君が一番宿題が出来ていないんです。手を休める暇はありません」 と黒子が止める。 「じゃ、オレが行くっス!オレは人に教えられるほど勉強は出来ないっスから!」 全く自慢にならないのに、誇らしげに黄瀬が立候補したが、 「いや」 とに一刀両断される。 「何でっスか...」 「目立つでしょ。走ったりするのはいや。疲れる」 「では、俺が...」 緑間が腰を浮かせたが 「悪いけど、緑間くんはせっかくだから皆に勉強を教えてもらえると嬉しいかなー...」 と断られた。 中学の頃から緑間の成績は優秀だった。 教えるのも下手ではない。ちょっと居丈高だが。 教えられる人数は、多いほうがいい。 「しかし...」 「まあ、食事代と思って」 とに言われると仕方ないという風に溜息を吐いた。 「んじゃ、俺が行こうか」 高尾が立ち上がる。 「この人数を賄うなら、食材はたくさん買うっしょ?やっぱ、ちゃんひとりだとキツイって。真ちゃんが勉強教えて、俺が荷物持ち。これで食事代ってことでどう?」 高尾の提案には頷き、2人は出て行った。 「くそ、高尾め。に変なことを吹き込まなければいいのだが...」 「あー、何でオレこんなにかっこよく生まれたんだろー」 緑間と黄瀬はそんなことを呟いている。 「、本当に大変だったんだろうな...」 福田がそういい、降旗と河原は同時に頷いた。 「ちゃんって勉強できそうなイメージがあったけどね」 てくてくと先ほど検索した最寄のスーパーに向かって歩きながら高尾が言う。 「成績は悪くないよ」 「ああ、教えるのが苦手なんだ?」 「そーゆーこと」 そんな会話をしながらスーパーに入る。 「涼しー!」 カートを押しながら高尾が呟く。 「けど、外と中の気温差は体にあまり良くないから考えものよね」 は食材を眺めながらそう返した。 「今日は何にすんの?」 「中華かな。油をたくさん使うからお腹一杯になるのが早いだろうし、ご飯をたくさん炊いて食べてもらえば、料理は楽かな、と」 の言葉に 「なるほどー」 と高尾が呟く。 帰りながらは高尾をそっと見た。 (たくさん持ってもらって助かっているけど...) 「手とか、負荷大丈夫?」 そこが気になる。 「ああ、大丈夫。ちゃんと無理のないように持ってるから。ちゃん、ライバル校の選手の心配もするなんて、やさしーねー」 からかうように彼が言った。 「優しいとかそう言うんじゃなくて」 が言うと 「分かってるって。これが原因で、俺が手を痛めたりして後ろめたさみたいなのも持ちたくないんでしょ?」 と高尾が笑う。 |
桜風
12.8.12
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