| 火神の家に戻ってが調理を始める。 高尾は宿題組に合流した。 「ちゃん、手伝うっス!」 「いいから。普段慣れてない人が包丁持つとか怖くて勧められない」 「じゃあ、ここで見てるっス!」 そう言ってカウンターテーブルに腰を下ろした。 「ここって、ひとり暮らし用のマンションじゃないっスよね...」 家の中をキョロキョロと眺めながら黄瀬が言う。 「そうね。けど、キッチンが広いから料理しやすくていいよ」 手を動かしながら口も動かしてが答えた。 「キッチンの広い家っスね。わかったっスよ」 「...何が?」 「オレと ちゃんの新居のことっス」 「黄瀬くんは器用だねー。目を明けたまま寝られるんだねー」 「ちゃんは照れ屋っスよね」 ニコニコと笑顔で交わされる会話。 「、すげーな...」 火神が呟く。 「中学のときからあんな感じでしたよ。火神君、公式が違います」 黒子がさらっと答えて彼の手元を注意する。 それから少しして食事が出来たと声をかけられる。 炊飯器は大きくないから、とは2回ご飯を炊いた上に、土鍋も使っている。 炊飯器の第一陣はおにぎりにしてお皿の上に載せてテーブルに並べた。 「は食べないのか?」 「うん、つまみ食いしまくってたし」 緑間に声を掛けられてはそう返した。 そして、次は夜食を作るためにキッチンに立つ。 「疲れてないスか?」 黄瀬が心配するが 「今年の夏に鍛えられましたからー」 と彼女は笑った。 「どういうことスか?」 黄瀬は黒子に問うた。 「夏休みの合宿は最初と最後にありました。2回も合宿を組むと言うことで予算の問題から食事はつけられなかったので、さんが全部賄ってくれたんです」 「夏休みの半分くらい、ずっとご飯作ってたからね。結構力仕事もあったから筋肉も付いちゃったよ」 そう言っては力こぶを作ってみせる。 「ということは、黒子は夏休みの半分くらいの作った食事を口にしていたと言うのか。火神も!」 信じられない、という風に緑間が声をあげた。 「おー、美味かったぜー。つか、食事しか楽しみがなかったしな」 ガツガツと食べながら火神が言う。 「がいなかったらカントクが作る予定だったって言うから。本気、がいて良かったって言うか...」 河原も頷く。 食事はあっという間に終わった。 黄瀬が食器を持って流しに置き、スポンジを泡立て始める。 「ああ、いいよ。置いといて」 「いいっスよ。オレ、今回は何もしてないスから。あの緑間っちですら食事代をああして払ってるんスから」 そう言って勉強組に視線を向けた。 は苦笑する。 やっぱり居丈高ではあるが、緑間はきちんと教えてくれているのだ。 「オレも宿題を持ってきとけばよかったって思ってるところっス」 「ナンパに必要のないものだものね」 「それはもう..忘れてほしいっス...」 黄瀬がうな垂れてそういい、は笑う。 「で、宿題を持ってきていたとして、緑間くんに教えてもらうの?」 が言うと黄瀬は沈黙する。 「ちゃんがいいっス」 「わたしは勉強を教えるのが苦手。ああ、じゃあ。高尾くんは?」 「...戻って大人しく自力でやるっス」 肩を落として黄瀬が言う。 「緑間くん、教えるのは下手じゃないと思うよ」 「んー、それは思うんスけどねー...」 (やっぱ、何か嫌なんスよねー。やっぱり、ちゃんを巡るライバルだからっスかね...) そんなことを思いながら大量の食器を洗い続けた黄瀬だった。 山のような食器と格闘している黄瀬の隣で汗だくになりながら揚げ物をしていたの手が止まる。 全部揚げ終わったのだ。 「あっつー...」 「凄い汗っスよ...」 黄瀬が声を掛ける。 「うん、暑い。火神くん、水貰うよー」 そう言って冷蔵庫を開けてミネラルウォーターをコップに注ぎ、カウンターテーブルの椅子を引いた。 「福田くん、その問題の答え違う。2行目から間違ってる」 視界に入った同級生のノートに指摘をした。 「って、中学のときからああだったのか?」 こそっと福田が緑間に問う。 「ああ。面倒見もよかったのだよ」 「緑間くんも意外と面倒見良いもんね」 笑ってが言う。 照れたように緑間は眼鏡のブリッジを押し上げた。 「キセキの世代とかって皆に持ち上げられているけど、結局はバスケが上手くて天狗になってるフツーの高校生だもんね」 の言葉に 「トゲが痛いっス...」 と黄瀬が苦笑する。 「ヘンテコな人ばっかだけど、根は良い人よ」 そう言って黄瀬を振り返ってにこりと微笑む。 その笑顔に素直に喜べない黄瀬は複雑な表情を浮かべて緑間を見た。 「青峰もか」 はゆっくりと、問いを発した緑間を振り返った。 「うん、青峰くんも。彼は、口で失敗する人だよね。脳みそ通さずに何かを言って後悔するタイプ。だから、この間も桃井と喧嘩して探す羽目に陥ってたんだよ」 そう言ってからからと笑った。 (何か変っスね...) 誠凛のメンバーに一瞬緊張が走ったように感じた。そして、突然青峰を引き合いに出した緑間もどこかピリピリしている。 (青峰っちに負けたオレや誠凛さんがピリピリするなら分かるっスけど...) は、コップの中のミネラルウォーターを一気飲みし、バッグから財布を取り出す。 「どこか行くんスか?もう夜だし、危ないから付いていくっスよ」 黄瀬が蛇口の湯を止めながら言うが、 「さっきと同じ理由で、いや」 とに振られた。 しょんぼりしながら洗い物の続きを始める。 「暑いからアイス買って来る」 「今度は俺が行く」 そう言って緑間が腰を浮かせたが、 「同じく、さっきの理由で、ごめんけど」 とが止めた。 |
桜風
12.8.12
ブラウザバックでお戻りください