| 実力テストの1週間後、補習が行われた。 補習でくたくたになった火神が練習に合流してきた。 「おつかれー」 笑いながらが声を掛ける。 火神は盛大な溜息を吐いた。 「今回はほら、試合のない日だったからよかったけど。次は試合があるかもしれないし、もう少し例えば授業中に起きておくとかしたら?少しはテストのとき楽なんじゃないの?」 のその言葉に火神は彼女を見下ろし、 「選手って、マネージャーみたいに楽じゃねぇし」 と言った。 が笑顔になった。 したくもない勉強を強制的にさせられてイラついていた火神は、自分の発した言葉を聞いて浮かべたの笑顔の意味がわからない。 「ふふふー」 珍しくそんな笑い方をする。 「?」 「ふふふー」 翌日からは部活に来なくなった。 誰も彼女に会えなくなったのだ。 クラス編成の関係で、2クラス合同となる体育も被る人がいない。 勿論、同じクラスの人がいないので彼女のクラスに行って、彼女が出席しているかを確認するという方法でしか、彼女の存在を知ることが出来ない。 しかし、実は1人だけバスケ部の中に彼女と毎日顔を合わせている人物がいる。 「ねえ、何で部活に来ないのに毎日ウチには来てるの?」 リコが問う。 「だって、メニューを組んでいただいているのに、サボるのは失礼じゃないですか」 「よし、質問を変えよう。何で部活に来ないの?」 「ただ拗ねてるだけです」 がさらりと返す。 「何に?」 「...秘密です」 「ふざけないで。凄く困ってるのよ?」 リコが言う。 「大丈夫ですよ、マネージャーって楽らしいですから」 にこりと笑う。 (あ...) この笑顔はひと月くらい前に見た。 そして考える。 (バカガミかぁーーー...!) 「よし、わかった。とことん拗ねなさい」 はきょとんとした。 「カントクの私が許す!」 リコがギリギリBの胸を張って言う。 「いいんですか?」 「しわ寄せさせるからいいわよ。アミノ酸ドリンクの粉末を水で溶かすくらいできるでしょうし」 リコの許しを得ては心置きなくサボった。 がサボり始めてそろそろ1週間だ。 「なあ、カントク。と全然会えないって1年が言ってるんだけど...」 またあのストーカー行為をしなくてはならないのだろうか、と日向が声を掛ける。 『あのストーカー行為』とは、授業間の休みのたびに彼女のクラスを訪れることだ。 「うん、今回はどうやらバカガミがを怒らせたみたいだから。サボリを許してるの」 がいなければがやっていた雑務は1年がすることになる。 今回はリコは手を出すつもりはない。がマネージャーになる前まではリコがその仕事も引き受けていたが、今回はそんな義理がないと踏んでいる。 「えーと、カントクはと会ったの?」 「ええ、そうよ?」 「どうやって?」 「ヒミツ」 そう言ってリコが笑う。 部活前の更衣室の中、火神は先輩達に囲まれていた。 「何だよ..です」 日向が代表して言ってみた。 「お前、怒らせた?」 「え?や、記憶にないす...」 その様子を黒子はじっと見ていた。 が本気になれば逃げ切ることもできる。つまり、バスケ部を辞めることもありえるのだ。 (カントクが余り騒いでいないと言うことは、さんが部活にきていないことについて納得できる何かを知っているんだと思うけど...) リコに聞いてもきっと教えてくれない。 「あれじゃね?」 不意に河原が言う。 「何だ、何か知ってるのか?」 木吉が振り返る。 「火神。補習が終わった後、に言っただろう?マネージャーが楽だって。選手の方が大変だみたいな感じのこと」 「「「それだ!!」」」 ビシッと指差して2年が声を上げる。 「はぁ...」 日向が盛大な溜息をつく。 「お前、目の前で青峰がやった失敗を態々繰り返すか?」 心から呆れたようにいう。 「青峰..の失敗?」 「あ、ダメだ。こいつ本気分かってない」 土田が困ったように言う。 火神は助けを求めるように黒子を探した。 目があった。凄く怒っているのがわかった。 (何なんだよ...) 「よし、まずは。今日、火神は全体練習なしな」 木吉が言う。 「はあ?!何だよ、それ...!!」 敬語を忘れて火神が言う。 「で、いつもがやってたことをやってみろ。リコには俺が言っておく。んで、リコはが普段どういうことをしているか知ってるから、聞けよ」 「ああ、それがいいな」 火神を除く全員が納得し、体育館へと向かった。 「くそっ!」 火神は憤りに任せてロッカーを蹴っ飛ばした。 |
桜風
12.8.18
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