| 此処最近は時間を持て余していた。 中学のときも高校に上がってからも部活があった。 放課後は部活をして家に帰って夕飯を作って食べて寝る。 そういう生活だったのだが、此処最近、リコに拗ねることを許可されてからというもの、時間が余って仕方ない。 拗ねるならとことん拗ねなさい、みたいなことになり、リコの家のジムにも通っていない。 その代わり、と家で出来るメニューを組んでくれた。 (あー、暇) ちなみに、部活をサボり始めてからは自転車通学をやめた。 自転車だと逃げるのに意外と邪魔だということを知っているから。 何より、自転車の有無で自分が校内にいるかどうかの情報が知られるのも嫌だったし、と本格的に逃げている。 (帰ってスカウティングでもしようかなー...) 以前リコから借りたDVDで見ていないものもある。 「君」 名前を呼ばれては驚いた。 「赤司くん?!」 居るとは思っていない人物が自分の行く先に立っていたのだ。 「わー、久しぶり。半年振りくらい?」 「何でまだ東京に居るんだい?」 笑顔で返された。 (わー、どーしよー...) 困ったな、とは赤司に向けた足を止めた。その代わり赤司が向かってくる。 「いつ、ウチに編入するのか、と聞いているんだが?」 「や、その予定はないから」 あはははー、と笑いながらは赤司の様子を探る。色々と難しい人なのだ。 「ふーん...」 冷ややかな視線を向けられた。 「ところで、赤司くんは何で東京に?学校は??」 「試験休み。部活も禁止されているからね。まあ、一度実家に顔を見せてもいいかと思って」 赤司がそんなことを言うなんて思っていなかったは心底驚く。 「と、言っても。今日戻るよ」 「そうかー。あ、I・H優勝おめでとう」 が言うと全く興味なさそうに視線を向けられた。 「おめでとう?」 彼にとって勝利は当たり前で、祝福されるのも少し心外だったのかもしれない。 「まあ、いい。君は、何処の学校?前に聞くのを忘れたよ」 「誠凛」 「...テツヤと同じ学校か」 はにわかに驚く。まさか、彼が興味を持っていたとは思っていなかったのだ。 「うん。よく知ってるね」 「...そうだな。今の時間フラフラしていると言うことは、部活には入ってないってことか」 「や、サボってるところ。中学のときと同じで、マネージャーやってる」 「サボる?君が??」 意外だと言わんばかりに彼が言う。 「うん、まあ。ちょっと拗ねちゃって」 「へー、君が拗ねてるのか」 愉快そうに赤司が言う。 赤司はそのままの腕を引いて駅までの道のりをスタスタと歩く。 「転校しないよ」 先に念を押す。 その言葉に赤司は振り返って、少し不愉快な表情を浮かべた。 「君。僕に逆らうつもりか?」 はコクリと頷いた。 赤司は口角を上げる。少し意地悪な笑みだ。 「まあ、いい。君は僕の生き別れの妹だからね」 (同じ年の兄弟はいないらしいけどねー) 両親に確認した結果を心の中で呟く。 「じゃあ、時間はあるんだな?」 「うん、あるよ」 「なら、少し付き合ってもらおう」 そう言って駅までの道を外れた。 の存在の大きさを痛感したというか、マネージャーが楽だと言ったことに反省の色を見せた火神はの家へと向かった。 謝罪して、明日から部活に出てもらうためだ。 明日も部活が出来ないのは辛い。 火神はの家を知らないので、黒子に案内を頼んだ。 信号待ちの際、黒子が「あ、」と声を漏らした。 信号近くのファミレスに赤司の姿を見つけた。 しかし、彼は京都の高校に進学しているから、平日のこの時間にいるはずがない。 (赤司君じゃない..はずない。でも、何で...) 「黒子?」 信号が変わって歩き出しても黒子がついてきていない。火神が声を掛けると 「すみません」と言って彼も信号を渡り始める。 「テツヤか...」 窓の外に黒子の姿を見つけて赤司が呟く。 「大変失礼しました」 トイレに立っていた が戻ってきた。 「本当にね」 赤司が意地悪くクスリと笑う。 はグッと言葉に詰まった。 大変失礼したお詫びに、とドリンクバーから赤司のドリンクを取ってきた。彼の好きなものは把握している。 もちろん、他のキセキの世代の彼らの好みも変わってなければ知っている。 「さっき、テツヤを見たよ」 「黒子くん?」 は窓の外を見た。 「ああ、信号を渡っていってしまったからもう見えないと思う」 「そうなんだ?」 (うちに来るのかな?) 何となくそんな気がした。 というか、そろそろ戻ってもいいのだが拗ねすぎて戻るきっかけがないと戻れない状態になっている。 声を掛けてもらえるとありがたい。何より、逃げようのない自宅を訪ねられると言い訳が利く。誰に対してというわけではなく、自分に対しての。 駅まで赤司を見送る。 連れて行かれそうになったら全力で逃げることを心に決めての行動だ。 赤司はクスクスと笑う。 「僕は、僕に逆らうやつは排除する」 (いきなり過激だなぁ...) は表情を変えずにそんなことを思っていた。 「まあ、今日は見逃してあげるよ。君はトクベツだから」 「...ありがとう」 「けど。次はどうなるか保証しないけどね」 赤司の言葉には困って笑った。人は困ると笑うのだ。 「じゃあ、君。また」 「またね」 手を振るに手を振り返した赤司は改札を通ってホームに向かっていった。 |
桜風
12.8.19
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