| ふと、窓の外を眺めているとのクラスが体育のようだ。 秋とはいえ、まだ昼間の日差しはキツイ。 「元気ねー...」 授業なのだから選択権は無いのだが、思わずリコはそう呟いた。 そして、ふと気付いた。 はひとりだ。 他の女子は群れている。 自分もそこまでベタベタするのは得意ではないが、付かず離れずの関係を得意としている。 「ねー、日向君」 昼休憩、学食に向かいながらリコが同じクラスの日向に声を掛ける。彼も学食に用事があるらしい。 「んー?」 「ってどんな子なのかな」 リコの言葉に日向が足を止めた。 数歩歩いたリコも足を止める。 「おまえ、すげー今更じゃん」 心底呆れたように彼が言う。 「な!ちょ..!そうじゃなくて!!」 一頻り慌てて膨れる。 「何か、って自分のことあんまり話さないって言うか...」 「カントクに話してないことを俺らに話すかよ」 日向の言葉に納得した。 「おー、お前らもこれから学食?」 小金井が声をかけてきた。 「コガもか?」 「さっき授業終わってさー。延長やめて欲しいよなー」 ぶつくさと文句を言う。 「コガ、ってどんな子だ?」 「犬好き!」 間髪入れずに小金井が答えた。 「へ?」 「基本的に、テツヤ2号の餌とかが見てるだろう?」 「うん、いつの間にかそうなっちゃったわね...」 散歩は部員達のロードワークに着いてくるので問題なく、あとは水や餌の問題だ。 餌代は部員達が出し合って確保している。は部活の買出しのついでに餌も買ってきているようで、実質彼女が面倒を見ているようなものだ。 お陰で、テツヤ2号の懐きようが他の部員とは全然違う。 拾ってきた黒子以上にに懐いているのだ。 「オレも結構2号に構ってやってるんだけどな。全然反応が違うの」 「へー...」 (面倒見がいいのは知ってっけど...) 「あと、こんな厚みの犬の躾の本を2号の前で読んでた」 そう言って小金井が親指と人差し指で本の厚さを表現する。3センチくらいはあるだろうか。 「またマニアックな...」 リコが呆れる。 学食で席を確保した。窓際が残っていたのは、今は暑い季節だからかもしれない。 何と言っても、窓際は日差しの照り返しがきつい。 ふと窓の外を見た。 1年教室棟の屋上が見えた。 「また、あの子は...」 苦笑が漏れる。 屋上の給水塔の上に影が見えた。それだけでと分かる。 「何見てんだ?ああ、か」 「えー?ホントだ。あんなトコに登って怖くないのかねー」 「あれ?」 リコはふと付いた。 「何だよ、カントク」 「ねえ、日向君。あそこに居る子、顔見える?」 「俺のメガネ舐めんなよ。あんなの、みえるわけねぇだろ!」 日向が言う。 「小金井君は?」 「見えないに決まってるじゃん。あそこにいるの顔が見えるのってアフリカの奥地に住んでる何たら族の人くらいだろう?」 つまり、皆あの子の顔が見えていない。 だが、間違いなくあの給水塔に登っているのをだと確信している。 「ふふふ」とリコが笑う。 「な、なんだ...?」 「カントク?」 日向と小金井が顔を見合わせて気味悪そうにリコを見た。 「ねえ、」 放課後、部活前の準備をしているとリコに声を掛けられた。 「はい?」 「夏に給水塔の上は辛くない?」 イタズラっぽく笑って言う。 は目を丸くして苦笑した。 「でも、静かなんです。景色もいいですよ?今度ご一緒します?」 「ムリよ。だって、私忍者の末裔じゃないもの」 「それは残念です」 リコの返事には笑ってそう返した。 |
桜風
12.9.12
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