| 「文化祭か...」 先日高尾が『朗報』と言ったのは誠凛高校の文化祭の日程だった。 高尾の知り合いがこの学校の行事を知っていたらしい。 「やっぱ、学校の特色出るよなー。つか、さすがまだ2年目の学校。ちょっと敷地狭いけど、校舎とか綺麗だなー」 高尾と共に誠凛高校の正門を潜った。 がこの学校に進学したと聞いてから初めてきた。 話によると、黄瀬はしょっちゅう顔を出しているのだとか。 (あいつも、の迷惑を考えるべきなのだよ...) はあ、と溜息をつく。 「真ちゃん?」 「ああ、何でもないのだよ」 「んで、ちゃんって何組?」 「さあ?」 緑間の返事に高尾が固まる。 「は?」 「だから、知らないのだよ」 「何で!」 「聞く必要が無いからなのだよ」 (まあ、確かにそうかもしれないけど...!) 「文化祭に行くから教えてって言えば良いじゃん。何、遠慮してんだよ。真ちゃん、遠慮してたら黄瀬に負けちゃうよ」 「高尾には関係ないだろう!」 思わず語気を強めて言ってしまった。 「けどさー」 緑間のその反応をさほど気にせず、高尾は続けようとした。 「ちゃん、酷いっス!」 「どっちがー!」 黄瀬との声だ。 「ほら、絶対に来てると思って...」 高尾が言葉を途中で止めた。 何と、自分の頭上を女子が飛び越えてきたのだ。 廊下の窓から彼女は向かいの大木に飛び移った。 どやどやと結構な人数を思わせる気配を連れて「ちゃーん」という声は遠ざかっていった。 高尾が大木を見上げようとすると緑間に頭を抑えられ、地面しか見られない。 「真ちゃん...」 (首が痛ぇ) 「、早く降りてくるのだよ」 若干焦った声音で緑間が言う。 「わお、緑間くんたちも来たの?久しぶりー」 「いいから、早く降りるのだよ。挨拶は後でいい」 (あー、なるほど) 「ちゃん、パンツ見えてるんじゃない?」 「高尾!」 「見えてないよ。そのための短パン穿いてるもん」 「いいから、」 「じゃあ、上。ブラとか見えてるとか」 「高尾!!」 下着を着ていたら下着が見えるだけだろうが、着ていなければ姿勢によっては見えなくもない。それが、セーラー服だ。 「へ?わっ...」 慌ててセーラー服の裾を押さえたはバランスを崩した。 「!」 足を滑らせた彼女を緑間が何とか受け止めた。ホッと息を吐く。 「わ、緑間くん。大丈夫?ごめん、腕とか...」 そんなの反応に、緑間は盛大な溜息をついた。 「自分の心配をしろ。あと、2階の窓から飛び出してくるものではないのだよ。昔から全く...」 緑間が軽く説教する。 「は、はい...」 お姫様抱っこをされた状態では頷いた。 (昔から?!何やってんの、この子...) 高尾は素直に驚き、呆れたが、気を取り直して 「おー、真ちゃんカッコイイ!」 と相棒をからかう。 からかう高尾の声で緑間はハッとなり、をそっと降ろした。 「ごめんね」 「大丈夫なのだよ」 「んで、何でちゃんは2階の窓から飛び出してきたの?黄瀬の声が聞こえた気がしたけど」 「ああ、それは...」 の説明によると、お化け屋敷のお詫びも兼ねてボタン付けをし、先輩達のクラスを冷やかしていると黄瀬が黄瀬とバレてしまい、女の子達に追いかけられる羽目に陥ったらしい。 しかし、黄瀬がを巻き込んで逃げ出したため、一緒に走っていたのだが、さすがにそれに付き合うのもどうかと思い、独自のルート(2階の窓)から逃げることにしたのだとか。 「てことは、ちゃんのとこは..これ?」 プログラムをに示した。 「そう、それ」 「...そんなに怖いの?」 「オバケ役の女子率によると思う。黄瀬くんは『イケメンコース』だったから、確実に」 そう言っては遠い眼をした。 「そのイケメンコースって何?」 「女子が触り放題」 「...それは、セクハラなのだよ」 「別名、そうだね」 は苦笑した。 「行ってみる?」 「え、俺も『イケメンコース』?」 「ご希望なら」 高尾の言葉には笑う。 「や、普通コースで」 「緑間くんもいい?」 「ああ、行くのだよ」 を先頭に高尾と緑間がお化け屋敷を目指した。 |
桜風
12.9.19
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