| のクラスの出し物、お化け屋敷に行くまで高尾が色んな出店を冷やかしながら歩いたため、荷物は増えるし時間が掛かった。 「高尾くん、相当楽しそうだね」 が苦笑する。 「...そうだな」 高尾のお陰でとのんびり校内を歩くことになった。 (もしかしたら、高尾はそのために色んな店を冷やかしているのだろうか...) 少し、感謝しそうになって思いとどまった。 「真ちゃん、見て見て」 彼が本気で楽しんでいるのが分かったからだ。 「仲がいいね」 がこっそり声をかけてくる。 「...別に、普通なのだよ」 そういいながら、緑間は眼鏡のブリッジを上げる。 (照れてる) クスリと笑って高尾が落ち着くのを待った。 ******* 「黒子っち、ちゃんまだっスか?」 「というか、黄瀬君とどこかに行った筈なんですけど」 何で黄瀬君だけいるんですか、と言外に黒子が問う。 「女の子達に追いかけられてはぐれちゃったんスよ...」 ぶーっと膨れて黄瀬が言う。 「で、ここにいたらちゃんが戻ってくると思った。そんな寸法っス」 (まあ、間違いではないだろうけど...) 「てか、黒子っちは今日はずっと当番なんスか?」 「いいえ。ただ、当番の人が来ないので...」 「それ、サボられてないっスか?」 「そうかもしれません」 黒子が頷く。 「...それでいいんスか?」 「昨日、一通り回りましたから...さんと」 昨日は一般の立ち入りは禁止されており、内部だけが対象となっていた。 「ちゃんと?!黒子っち、ズルイっスよー!」 ぶうぶうと文句を言う。 「...暇っスねー。客引きでもして来てあげるっスよ?」 「いいです。現場が混乱するのが目に見えていますから。黄瀬君のところは、文化祭はないんですか?」 「あったっスよ。ただ、部外者立ち入り禁止っスからイマイチ盛り上がらなかったんスよねー」 頬杖をついて言う。 (だから、さんは誘われていなかったのか...) 黒子は、凄く納得した。 そうでなければ文化祭の招待を口実にまたしても黄瀬がやって来そうなものだ。 「黄瀬君は、本当にさんが好きですね」 思わず呆れながら零れた感想に「当然っス!」と黄瀬は不敵に笑う。 「黒子っちには好きな人とかいないんスか?暇だからこっそり教えて欲しいっス」 「暇つぶしに聞かないでください」 「え。その反応は、いるんスか?!」 黄瀬の目が輝く。 ******** 「まあ、いると思ったけど...」 がいう。 黄瀬は本当に目立つ。 やっとのクラスまでやってきた。 「あ、ホントだ。黄瀬と黒子じゃん」 愉快そうにそういった高尾の隣で、物凄く嫌そうに緑間が眉間に皺を寄せている。 「どうする?」 「ここまで来たんだし。お化け屋敷は体験してこうぜ、真ちゃん」 「...そうだな」 溜息混じりに同意した緑間がスタスタと歩き出す。 「何処まで暇なのだ、黄瀬」 「あ、緑間っちも来てたんスか?高尾も...いつも一緒っスねー」 「うるさいのだよ」 「黒子くん、もしかしてずっと受付?交替の時間とっくに過ぎてるのに」 「いいんです。昨日、楽しみましたから」 黒子の言葉にが「ホントに?」と聞き返す。 「はい。ところで、緑間君と高尾君は、入るんですか?」 「ああ」 緑間が頷く。 「では、どうぞ」 黒子が入り口を案内し、その間にがインカムで中に連絡を入れる。 「他校男子2名。ひとりは眼鏡なんでやりすぎ注意。さっきのイケメン、半泣きだったし。手加減して」 (『半泣き』ってオレのことっスか?!) 「はーい」 返事を聞いてインカムをおく。 「黄瀬くん、ここで何やってたの?」 「ちゃんの帰りを待ってたっス」 「...それはそれは...」 どう反応しようかと悩んでいると、「そういえば」と黄瀬が話題を持ち出す。 「知ってたっスか?黒子っち、好きな人がいるって」 「黄瀬くんって案外そういう話、好きよね」 が呆れながら返す。 「あ、あれ?興味ないんスか?」 「そういうの根掘り葉掘り聞くのもねー...あ、でも。赤司くんにそんな話があったら聞いてみたいかも」 「...なんで赤司っち」 「だって、赤司くんに好かれた子って、凄く大変そうじゃない?」 (大変そうだったっスよ...) むくれながら黄瀬が思う。 恋愛かどうかまでは分からないが、少なくともは赤司の『トクベツ』だった。 『君』という呼び名がそれを表している。敬称の『君』がついている。 それに、彼の行動の端々にそういうものも感じた。 ただ、本人に全く届いていなかっただけだ。届かせる気があったのかどうかはわからないが... (ちゃんって、何だかんだで『キセキの世代』のお気に入りっスもんねー) そこまで思ってふと黄瀬の頭に浮かんだ説がある。 「おおー、緑間くんってば中々いい悲鳴じゃない」 外まで響く中の声に笑いながら言うに「さん、悪役っぽいですよ」と案内を終えた黒子が突っ込んでいる。 (もしかして、黒子っちの...) 「何ですか、黄瀬君」 じっと自分を見ている黄瀬の視線に気付いた黒子が問う。 「や、何でもないっスわ」 慌てて誤魔化した。 数分後。 「、文化祭でこれはやりすぎなのだよ...」 青い顔をして緑間がいい、 「これ、企画を遊園地とかに売り込んでみたら?誰、これを考えたの...」 とやっぱり引きつった顔をしながら高尾が言った。 『普通コース』も充分怖かった。 2人の反応を見て と黒子はハイタッチをした。何を隠そう、この企画にはこの2人も加わっていたのだった。 「黄瀬、良くひとりで出口に辿り着けたな...」 緑間が黄瀬を尊敬した初めての瞬間だった。 |
桜風
12.9.19
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