| 「おはようございます、さん」 背後から声を掛けられては振り返った。 「おはよう、黒子くん」 火神がいるときは黒子は彼と一緒なので、火神で彼の居場所がわかるのだが、今はロスに短期留学をしているため、火神は不在だ。 よって、いつも以上に驚かれることが多いと黒子は少し零していた。 「さんが髪を下ろしてるのって珍しいですね」 そんなに長くも無いが大抵結っている。邪魔なのだとよくは零していた。 「うーん、まあ。冬だし。いっかなーって。あはははー」 (赤司くんのせいだ...!) 昨日、駅まで送ってくれた赤司は自分の首を指差しながら 「君、君は僕のお気に入りだからね」 と言った。 彼に『お気に入り』と言われることは度々あったが、首を指して言うことの意味が分からず、新幹線のシートに座って鏡を取り出し、見て思わず声を上げそうになった。 あの時、目が覚めたときに赤司の顔が近かったのはこういうことだったのだ。 「さん、昨日はどうしたんですか?」 は苦笑する。 「ま、追々」 土日は以前訪れた温泉旅館近くの体育館を借りて練習をしている。 リコの父親の車に乗ってとリコは現場に行くのだが、昨日一昨日の練習にが来なかった。 基本、今はリコの父親がトレーナーをしてくれているのでリコはマネージャーのような仕事もしてくれる。 がいなくても回るようになっている。 時々リコが選手達を思いやり、に倣って野菜ジュースを作ろうとするので、いたほうが選手達の精神安定剤になるが... その日の休憩時間、はリコのクラスを訪れた。 「さっき体育だったから、カントクはまだ戻ってねぇぞ」 日向に言われて「わかりました」とが頷いた。 「メールしときゃいいんじゃねぇの?それとも、今すぐの用事だったんか?」 日向の言葉にはポンと手を叩く。 「その手がありました」 「お前、本当に携帯に興味ねぇんだな...女子高生といえば、メールの早打ちだろうが」 ガクッと肩を落として日向が言う。 「打つのは早いです。ただ、伝達手段のツールとしてわたしの中に浮かんでこないだけです」 そう言っては「ありがとうございました」と頭を下げた。 「が来たことは一応話しとくからな」 日向に言われて「お願いします」と返しては1年教室棟へと戻っていった。 昼休憩にリコはと共に視聴覚室に向かった。 使用許可はリコが取った。生徒会副会長の権限はそれなりにあるのだ。 に見せられたDVDにリコは絶句した。 「京都に行ったの?!」 「はい。練習試合するって聞いてたので」 先週の金曜日にが土日の部活を休みたいといったのはそういう理由だあったのだ。 家の事情かな、と思っていたがそうではなかったらしい。 「はー...で、赤司君は出た?」 「第4Qからです」 「入ってるの?」 リコは自分の頭を指差して言う。 「何とか、というのが正直なところです。そもそも出るとは思っていなかったので」 「そっか。けど、いいデータとって来てくれたわね。相手は何処の学校だっけ?」 「大学だそうですよ」 そう言ってが口にした学校名にリコは唖然とした。 「え、何?本当に?」 「はい、一応。ほら、ユニフォーム」 モニタを指差したに促されてリコが見る。 「そ、そうね...」 「そんなに強いところなんですか?」 「って、実はバスケにさほど興味ない?」 リコに問われて躊躇いがちに頷く。 「強い学校には興味ないです。わたしは、選手達がプレイに集中できる環境を整えるのにはどうしたらいいのかとか考える方が性に合ってるんですよね」 「けど、情報は結構持ってない?」 リコの言葉には苦笑した。 「そりゃ、中学時代に情報収集のエキスパートが近くにいましたから。彼女が持って帰ったデータの整理を手伝っていましたし」 「あ、そか」 浮かんだ顔にちょっとムカついたが、確かに身近に物凄いのがいたのだ。 「え、ちょっと待って」 「古いデータで良かったら、ここに全部入ってますよ」 そう言っては自分の頭を指差した。 「...早く言えー!」 リコの怒号は廊下にまで響いたと言う。 |
桜風
12.10.10
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