| ウィンターカップが始まり、開会式終了後、赤司に呼び出されたキセキの世代は会場の外に揃っていた。ちなみに、は会場入り口まで火神を迎えに行っている。 黒子のお目付け役として共にその場に居る降旗はコクリと唾を飲む。 やがて遅れてやってきた赤司が降旗を見て部外者の退場を願ったがそこに姿を現したのは火神だった。 「つれないことを言うなよ」 そう言ってその場から去ることを拒んだ火神をじっと見ていた赤司がふいに緑間にはさみを貸すように言う。前髪を切りたいと言うのだ。 ちなみに、彼がはさみを持っていたのは、勿論、本日のおは朝占いで、かに座のラッキーアイテムがはさみだったからだ。 怪訝に思いながらも赤司にはさみを貸すと、赤司ははさみをそのまま火神に向かって繰り出した。 しかし、火神にはさみが触れる寸でのところで赤司の腕が跳ね上げられる。 「はあい、赤司くん。刃物を人に向けてはいけませんってどこかの誰かから習ったこと無い?」 赤司の腕を下から払って跳ね上げたのはだった。 「やあ、君。元気そうだね」 「お陰さまで」と赤司に言葉を返して火神に向き直る。 「火神くん、勝手にどこかに行くのは..紫原くん、降ろそうか」 火神に説教をしているとどんどん彼の背が自分より低くなっている。 つまり、紫原に持ち上げられているのだ。 「やだー。ちん、約束のシフォンケーキは?今日は..甘い匂いしないよ?」 くんくんと匂いを嗅いで紫原が言う。 「最近、お菓子作る時間が無いから。あと、シフォンケーキは約束してない」 が素っ気無く返すと、ぶーと拗ねた紫原は無言でをパクリと噛んだ。 「予告なしっ?!痛いーー!!」 が声を上げる。 「紫原、を離せ!」 「紫原っち!ちゃんが潰れるっス!!」 緑間と黄瀬が彼女を離すように促すが、紫原はを抱え込んで離そうとしない。 「敦、君を離せ」 「...やだ。ちんはオレが貰うし」 「「「はあ?!」」」 黄瀬と緑間、そしてが声をあげる。赤司が目を眇めた。 「敦、どういうつもりだ」 「赤ちんの命令でも、これはヤダ」 「何言ってんスか!ちゃんはオレのものっスよ!」 「どっちも何言ってんの!!」 黄瀬が参戦し、が声を上げる。 「そうだ、は俺の嫁だ」 「緑間くんもちょっと黙ってて!」 見事に収拾がつかなくなりそうなこの現場をどうしようとは頭をフル回転させる。 1回戦が桐皇戦だから、できればカロリーを無駄に消費したくない。 (だから、面倒なことは考えたくないのに...) この場を有耶無耶にして逃げ出す方法を考えるが、人数が多すぎて良い案が浮かばない。 「んじゃーさ。こうしようぜ」 そう言って提案したのは青峰だった。 「優勝したやつがを貰う。オレも欲しいし。どうせ優勝はオレらの中から出るだろ?」 「待て!」 がすぐに抗議の声を上げた。 「さんはものではありません!!」 黒子も声を上げた。 「青峰、お前がそんなことを言えるのか?」 緑間が青峰を睨む。 「ああ?!」 理由は分からないが、喧嘩を売られたことが分かった青峰が睨み返す。 (やっぱ何かあったんスね、青峰っちと..ちゃん) 緑間と青峰の会話に黄瀬が考えを巡らせる。 「...大輝にしては良い案を出したな」 2人の言い合いは気にしないらしい赤司が言い、 「オレにしてはってどういう意味だよ」 青峰が噛み付く。 「いやいや、全然良い案じゃない。わたしの意見が全く入ってない!!」 がなおも主張するが、赤司はちらとを見て黙殺した。 「わー、無視ですかー。あと、紫原くん、重い」 を抱え込み、彼女の頭に顎を乗せている紫原にが言う。 「ちんがちっさいだけだし」 「わたしは、並みだ!」 「安心しろ、。ウチは、学ランとセーラーなのだよ」 「いやいや。もうこの際そういうの、どうでもいいよ」 が緑間の言葉に突っ込みを入れる。 「とりあえず、この大会で得るものが決まった」 そう言って前髪を切り終わった赤司が背を向ける。 「君、僕は僕に逆らうヤツは親でも殺す。覚えておくといい」 「おいおい、呼び出しておいて何も無いのかよ」 青峰が言う。 「確認できたから良い。では、君。年明けには、京都だ」 「さんは渡しません!」 黒子が宣言する。 赤司はちらと振り返り、何も言わずに会場へと戻って行った。 「...やっぱ、黒子っち」 黄瀬はポツリと呟く。 これまでの疑念が確信に変わった。 は盛大な溜息をついている。 「じゃ、ちゃん。オレも先に行くっス。神奈川、良いところっスよ。ちゃんちからも通えるし、悪くないと思うけどなー」 黄瀬はそう言ってその場を離れ、 「桃っちには、残念なお知らせっスね」 ひとりごちながら会場へと足を向けた。 |
桜風
12.10.14
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