| 準決勝当日。 リコは緊張しながら集合場所でを待っていた。 連絡が無いから来ると思っている。それでも、昨日のことを引き摺っていたら... (私がちゃんとフォローしなきゃ..!) 「おはようございます」 いつもとそんなに変わらない様子でが挨拶をしていた。 「お、おはよう!」 (これは、どっち...!?) 「おー、昨日大丈夫だったか?」 日向が問う。 (日向君!) リコが睨む。しかし、 「ああ、ご心配をおかけしました」 と軽く返ってきた。 (え、どっち?どっちなの?!) リコが悶々と考えていると「よーっす!」と小金井がの肩をポンと叩いた。 「あ、おはようございます」 「昨日、が帰ってから大変だったんだぜ。紫原が、な?」 そう言って火神を見た。彼も事情を知っているのでにどう接していいかと悩んでいるところだった。 「え、あ。そうっすね」 火神が相槌を打った。 「もう、大丈夫だから」 はまっすぐと火神の目を見てそう言い、振り返ってリコを見た。 「ご心配おかけしています」 現在進行形の言葉。 冷静な証拠だろう。 リコは安堵の息を吐いた。 しかし、一晩で持ち直したその精神力は賞賛に値する。 「おはようございます、さん。昨日は、えっと...どうしたんですか?」 聞いていいものかと悩んだが黒子が問う。 「あー、うん。何か、疲れてて。しかも黄瀬くんの試合見てても前半が全然頭に入らなかったからどうしていいかパニクっちゃってたのよ」 (よくもまあ、こんなスラスラと...) 自分で自分に呆れながらは創作した言い訳を口にする。 「そうですか...無理はしないでくださいね」 黒子は納得したように返す。 会場に入ると、はきょろきょろとしていた。 「さん、どうしたんですか?」 「紫原くん、いないかなー...」 黒子の問いに、は返す。 「紫原君、ですか?」 「うん、昨日ちょっと八つ当たりめいたことをしちゃったから。お詫びしようと思って」 (お詫びしたらまた「いただきます」されると思うんですけど...) そう思ったが、がお詫びをしたいと言っているのだから邪魔をすることは出来ない。 「いたぞ」 少し前を歩いている火神が教えてくれた。 「ちょっと抜ける」 「すぐ戻れよ。カントクのゲンコはいてぇぞ」 火神の言葉に軽く手を上げては駆けて行った。 「紫原くん!」 「あ、ちん!」 そう言って手を伸ばして紫原は途中で止めた。 「紫原くん?」 いつもとちょっと反応が違う紫原には首を傾げた。 「昨日、ちんは何で泣いてたの?オレが「いただきます」するのイヤだから?」 「あ、うん。それはイヤ」 はっきりと返されて紫原は沈む。 「けど、昨日のは、疲れてたのと、ちょっと上手く行かないことがあって、それで紫原くんに八つ当たりしちゃった自分がイヤになって...ごめんね」 紫原の隣に立つ氷室がに向かって心配そうに視線を向けている。 「だから、昨日の八つ当たりのお詫び。簡単なのしか作れなかった」 「貰っていいの?」 「うん。氷室さんと分けて食べてね」 の言葉に紫原は氷室を見下ろした。 「室ちんは要らないよね」 「いや。アツシがいつも褒めているからな。食べてみたい」 むー、と膨れながらも1個あげた。 は苦笑し、氷室は「ありがとう」と紫原とに言う。 不意にの携帯が震えた。 「わ、カントクだ...」 見る前に宣言し、やっぱりカントクから「とっとと来い」という内容のメールだった。 「じゃあ、紫原くん、氷室さん。また」 「んー、ばいばーい」 「またね」 お互い軽く手を上げ、は控え室に走っていった。 |
桜風
12.11.7
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