| てくてく歩いて適当な場所を見つけた。あまり人が通らない階段だ。 は途中で温かい缶コーヒーを買っている。 「寒くないかい?」 「ジャージを着るの忘れてたからね」 ストンと座ったを赤司が後ろから抱きしめるようにして座った。 「重いよ」 「『ありがとう、お兄様。温かいです』と言えばいいのに」 「やだ」 はそう言って缶コーヒーのプルトップを上げた。 「んで、何?」 こくりと一口コーヒーを飲む。 「灰崎」 ビクリとの体が震えた。 「涼太はブザマな試合をしたな」 「勝ったからいいじゃない」 肩を竦めてが言う。 「あんなもんで。僕だったら」 「あら、灰崎くん相手だったら試合に出てくれたの?」 からかうようにが言うと、赤司は親指で彼女の唇をなぞる。 「殺してたさ」 「わー、灰崎くん命拾いー」 「本当は、涼太もかなり殺したい」 「ダメ」 「火神も」 「やめて」 赤司が言うと本当にやりそうだ。 「だから、僕のところに来いと言っている。僕は君を傷つけさせない」 「わたしは人形じゃない。赤司くんのとなりでただニコニコしてるだけとか、絶対にヤダ。それに、生きてたら、傷つくことはたくさんあるよ」 「僕ならそれから守れる」 きっぱりという赤司には苦笑した。 「自分の身は自分で守る」 「だが、守れなかった。昨日、君は傷つけられただろう?」 「そうね。傷つくことを未然に防ぐことは出来なかった。だから、今、何とか折り合いのつくところを見つけた。もういいじゃん、気持ちのいい話じゃないんだよ?」 そう言ってが赤司に体重を掛ける。 「でも、そうね。中学のときは..赤司くんに守ってもらってたみたいね」 「君は僕のものだからね」 赤司はそれを主張するように彼女を抱きしめた。 「ところで、折り合いって?」 赤司は話を続けた。 「...躾のなってない犬に噛まれた」 半眼になって彼女が言う。 「なるほど。言いえて妙だ」 「はい、この話はもうお終い!」 が言うと赤司は溜息をもって返事とした。 「ねー、アップの時間そろそろじゃないの?」 が言う。 コーヒーも飲み終わった。 「君は、僕の試合を録画するのかい?」 そう言って赤司はの頭をぽんぽんと軽く叩く。 「そうよ。だから、試合に出てね」 「さあ?どうなるだろうな」 赤司は愉快そうに笑った。 「相手は緑間くんだよ?」 が言うと 「ウチにもかなりやり手のSGがいるからね」 と余裕をみせる。 「でも、無冠」 とが言うと 「そっちも無冠が敦に勝ったじゃないか」 と返されてぐぅと唸った。 「君がウチに来ることを約束するなら、今日も明日もスタメンで出ていいけど?」 からかうように赤司が言う。 「なによ。それじゃあ賭けの意味が無いじゃない」 「どの道、君は1月からは洛山の生徒だ」 自信たっぷりに赤司が言う。 「残念でしたー。黒子くんが守ってくれるって約束してくれてるもん」 が言うと赤司は心底不愉快そうに眉を顰めた。 「全く。テツヤまで君が誰のものかをわかっていないとはな」 「わたしはわたしのものだよ」 がいうと赤司は彼女の首筋に唇を寄せた。 「あ、ばか。またやったか!」 「分かっていないようだから、分かりやすいように印をつけたんだ。君は僕のものだよ」 「...あー、もう。ホントに」 は盛大な溜息と共に零した。 「さて、」と赤司が立ち上がる。 「送っていこう」 そう言ってを立たせる。 「いいよ、アップに行きなって。そして、今日の試合はスタメンで出るといいよ」 の言葉にクツクツと喉の奥で笑う。 「君、僕が最初からずっと出て、それを君が情報処理できたとしよう。今日明日、もう君は使い物にならないと思うよ」 「意地でも持たせるよ。じゃあね」 はそう言って駆けて行く。 小さくなっていくの背に向かって赤司は腕を伸ばした。 丁度手の中に納まる大きさになったとき、ぐっと握る。 「あと少し...」 あと少しで彼女を手にすることが出来る... |
桜風
12.11.11
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