| 控え室のドアを開けて「ただいまー」とが言うと「おかえりー」とリコに抱擁された。 「ど、どうしたんですか?!」 「赤司君が返してくれなかったらどうしようかと思ってたのー」 ぎゅーと徐々に力を込められる。 「く、苦しい..デス」 ペチペチとリコの腕を叩くと解放してもらえた。 「ドリンクは、もう作っておきますね」 そう言ってがテキパキと準備を始めた。 次の試合を控えている彼らはスタンドでの観戦はしない。 だが、はスタンドに行かなくては録画が出来ない。 だから、実質、皆と別行動になる。 録画後にスタンドから降りてマネージャーの仕事ができるかどうかも微妙だから、やっておいて大丈夫なことはやっておきたい。 「何では一人しかいないのかしら」 リコが呟く。 「カントク!」 日向がたしなめた。 「あ、ごめん。えっと、そういう意味じゃなくて...」 リコが慌てるとは苦笑して見せた。 「わたしが2人もいたら、両方とも相手に任せて何もしませんよ」 ((((...そうかも)))) 皆はすっかり納得してしまった。 「さて、それでは。また」 軽く手を挙げてが控え室を出て行った。 「、本当に大丈夫かな」 伊月が心配する。 「洛山ってどんなチームなんですか?」 降旗が問う。 本当は次の対戦相手に集中しなくてはいけないが、と前置きをして日向が説明した。 無冠の五将が3人いて、キセキの世代のキャプテンがいるチーム。 全国大会の常連校で、勿論、ウィンターカップにも最多出場だ。 その話を聞いた降旗達はコクリと喉を鳴らした。 「あら、ちゃんだわ」 スタンドにの姿を見つけて実渕は軽く手を振る。 彼女は困ったように笑っていた。 「玲央」 赤司が集中しろとたしなめた。 「だって、ちゃん見つけちゃったんだもん」 ヒラヒラとまた手を振る。 赤司は溜息をついてそして、スタンドを見上げて目を眇める。 挑発的なその表情には、正直困った。 というか、どうやらの希望通りに赤司はスタメンらしい。 だが、本当に持つのかどうかが不安でもある。 「持たせる...!」 自分にそう言い聞かせて深呼吸をする。 「ちょっと真ちゃん。ちゃんってば洛山とも仲良しみたいじゃん。もうオレきらーい」 「だから、何度も言っているが。お前がを嫌いだろうと関係ないのだよ」 そう言って緑間はチラとを見上げた。 何故彼女はスタンドにいるのだろうか。 誠凛は控え室にいるだろう。 そして、試合を見るなら、下で見るはずだ。 彼女だけ別行動をしている意味が分からない。録画をするならそれらしいものが傍にあるだろうが、そうでもなさそうだ。 (いや、何をしているのだよ...) 緑間は首を振った。 が気になることは気になる。 だが、今は目の前の敵だ。 彼には、これまでただの一度も勝てた例がない。 (今度こそ、勝つ...!) 赤司は昔、敗北を知らないと言っていた。 だから、その敗北を今日味わわせる。苦くて、辛い味を... |
桜風
12.11.12
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