| 最寄のバス停に行って時刻表を確認した。 年末に掛かるので良い時間のがないかと思ったが、あと数分でバスが来ることが判明した。 バス停でバスを待っていると通行人に二度見されたり、黄瀬に気付いた女の子達が「きゃー」と声を漏らしたりと、飽きない。 は俯いたまま立っていた。 ベンチがそこに在るのだから、座ったら良いと勧めれたが、 「今座ったら確実に寝る」 と言って頑なに断っているのだ。 が立っているのに座れない、と先ほど試合を終わらせたばかりのこの集団の中では小柄な赤司と黒子も立ったままだった。 間もなくバスが来て乗り込む。 買い物帰りの人が結構いて、座れそうにない。 乗客たちは物珍しそうに彼らを見上げていた。 「、大丈夫か?」 「...ん」 短く声を漏らして頷いた。 (本当に大丈夫なのか?) 偶々隣になった緑間がそう思っていると突然がガクッと崩れた。 「!」 咄嗟に手を伸ばして彼女の体を支える。 「どうしたの、みどりん」 緑間に桃井が声を掛ける。 「が寝てしまったのだよ」 片腕で支えるのに何の苦もない。が、この姿勢ではが辛そうだ。 「おー、こっちもだ」 と青峰が苦笑した。 黒子は青峰に寄りかかって眠ってしまったようだ。 「え、どこのバス停で降りたらいいのか誰か聞いてる?」 桃井が慌てる。 「そういえば、聞いてないな」 赤司が呟くと 「オレが知ってるから大丈夫っスよ」 と黄瀬が言う。 「黄瀬ちん、すごい」 「お前のストーカー行為も役に立つな」 「人聞きが悪いっスよ、青峰っち!」 黄瀬が反論した。 「あらあら」 緑間の前の席のおばあさんが笑った。 「すみません、騒がしくして」 「妹さん、寝ちゃったのね」 緑間は絶句。他の者たちは笑いを堪えるのに必死だ。 「あ、いや。妹では...」 「私、次のバス停で降りるから、妹さんどうぞ」 そう言って席を譲ってくれた。 「あ、ありがとう..ございます」 素直に礼が言いにくい。 それでもそれが親切心から来ているものなのは分かるので反発もしづらい。 「ばーちゃん、ありがとな。おい、緑間。を窓際に押し込め。隣にテツを座らせる」 「あ、ああ」 2人掛けの座席だったのでを窓際に座らせて黒子を通路側に座らせた。黒子が小柄だから出来たことだ。 「バス降りるときに起こすの?」 桃井が問う。少しかわいそうな気がする。 「オレと紫原が運べばいいだろ」 青峰が面倒くさそうにいう。 「えー...オレ、ちんならいいよ」 「お前んがでかいんだからお前がテツだろうが、普通」 「いいけど...」 拗ねながらも紫原は黒子を引き受けることを了承した。 「あ、次のバス停っスよー」 黄瀬がそう言って降車を告げるブザーを押す。 紫原が黒子を背負い、青峰がを背負った。 まとめて運賃を払ってバスを降りる。 バス停は分かったが、家が分からない。 「こっちっス」 「黄瀬...」 赤司が何か言いたそうにしたが、その言葉を飲んだ。 と黒子の荷物は黄瀬が持ち歩いている。 迷うことなくの家に着いた。 「大きいな...」 赤司が見上げて言う。 「お父さんが大きい人だから」 桃井が言った。 彼女だけがこの中で唯一父親との面識がある。 インターホンを押してみた。 数秒待っても反応が無い。 皆は顔を見合わせた。 「もう1回押してみよう」 赤司がいい、桃井が押した。 やはり反応が無い。 「どーする?」 「留守なら、ちゃんが鍵を持ってるだろうからそれで開けて入るっスか?」 一応、家の人、つまりがいるのだから全員揃っての不法侵入にはならないだろう。 皆がここに来たのも、が了承したから来たのだし。 「じゃあ、そうしようか」 桃井が言って黄瀬が持っているの荷物を預かった。 家の鍵につけていたキーホルダーは中学のときから変わっていなかったからすぐに分かった。 門を開けて家のドアの鍵も開ける。 バタバタと足音が玄関に向かってきた。 |
桜風
12.11.19
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