| ※ ヒロインとキャラは付き合っている設定で書いてます。(たぶん、高2秋くらいです。) 本体が本編に出てきた順番(黒→黄→青→緑→紫→赤)に書いていますので、 お目当てのキャラまでスクロールしてください。 |
| 黒子の場合 | |
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「もしもし?」 夜中に電話がかかってくるとはどうしたことだろうか。 は不思議に思いながら出てみた。 「すみません、起こしてしまいましたか?」 遠慮がちに問われては苦笑した。 「ううん、ちょっと今まで台所で夢中になってたから。これから慌てて寝るところ。どうかした?」 「いえ、何でも...」 「テツヤくんの性格から分析するに、何でもないならこんな時間に電話をせずに、どうしてもと言うならメールでしょ?」 の指摘に黒子は苦笑した。 「あの、今から逢えませんか?」 「い?!」 思わず声が漏れる。 部屋の壁掛け時計を見ても、枕元の目覚まし時計を見ても同じ時間で。 日付が変わったばかりで簡単に家を出ることは難しい。 「えっと、今?」 「すみません、やっぱりいいです」 黒子が謝罪する。 「うーん、ごめんね。外に出るのはやっぱりちょっと拙い時間だから。けど、電話になら付き合えるよ」 「でも、もう寝るんじゃ...」 黒子の指摘には笑った。 「いいよ。明日授業中に寝る。あ、お初だ」 「でも...」 「最悪、教科書全部記憶してるから明日の授業全部寝ててもテスト対策的には平気よ。わ、今初めて思った、便利ね、これ」 の言葉に黒子が思わず噴出した。 「さん、それは今更です」 「そうねー、これまで実感することなかったから。まあ、試験期間中の自由はありがたく満喫してたけど」 苦笑しては返す。 「それで、本当にどうしたの?」 「いえ、本当に会いたくなっただけなんです」 「明日も学校あるけど?」 「はい。ごめんなさい、本当に...」 そう言って黒子は電話を切ろうとした。 「テツヤくん」 電話から彼女が自分を呼ぶ。 「はい」 「ぎゅーーーー」 「はい?」 彼女の言葉の意味が分からず思わず問い返す。 「...やっぱだめか」 彼女は苦笑していた。 「あの、さん?」 「電話って、いつでも声が聞こえるけど、やっぱり実際逢わないと出来ないことがあるよね。ダメだったね」 先ほどの『ぎゅーーーー』が何を指しているのかそこでやっと理解した黒子は目を細める。 「でも、気持ちは伝わりました。さん、ありがとうございます」 「ほんと?!」 弾んだ声でが言う。 「でも、やっぱり『ぎゅーーーー』は欲しいので、明日学校でお願いします」 「え、要るの?」 は呆然と聞き返す。 「はい。ぜひ」 どうやら元気になったようだ。 は苦笑して、「善処します」とどこかの政治家のような約束の仕方をした。 「約束ですよ」 「善処します」 繰り返したに黒子は苦笑して「ありがとうございました。おやすみなさい」と言う。 「うん、おやすみ」 「今日も好きですよ」 黒子はそう言って通話を切る。 「わ、わー...」 はその場に撃沈した。 |
| 黄瀬の場合 | |
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「ちゃん!」 「...眠い。なんでしょーか」 「雷が凄いんス!」 「へー...はい、羊が一匹〜、羊が二匹〜」 「ちょ!何で突然羊を数え始めるんスか!」 電話の向こうでかなり大きな稲妻の音がした。 「おおー...いい感じに雷が落ちたんじゃない?」 「ちゃん、雷平気なんスか?!」 「外にいたらちょっと怖いけど、家の中なら気にならない。今、外にいるの?」 「寮っス!」 「じゃあ、同じ寮の人の部屋に転がりこんだら?追い出されるかもしれないけど」 の言葉に 「冷たいっス!」 と指摘されて彼女は困った。 「あのね、黄瀬くん」 「何スか?」 「今の時間を確認して」 「うう...」 自覚はあるらしい。 「じゃあ、雷が気にならなくなるには、どうしたらいいんですか」 が問うと 「話がしたいんス」 としょんぼりと黄瀬が言う。 「話?例えば...テーマは?」 「そうっスねー...オレはちゃんの好きなところを話すから、ちゃんはオレの好きなところを話してほしいっス!」 「わー、一方通行で会話にならなそうなテーマを...」 溜息混じりにが言うと 「じゃあ、オレからっスね!」 と黄瀬が張り切って話し始める。 「あの、黄瀬くん」 「まだ途中っスよ」 「え、まだあるの?てか、もう雷止んでる」 さっきまで黄瀬の背後で聞こえていた雷の音が止んでいるのだ。 「あ、ホントっスね。星も見えるっスよ」 「というわけで、いい子にお休みしてください」 「え!オレちゃんからオレの好きなところ聞いてないっスよ〜」 拗ねたように彼は訴えた。 彼は本当に人の良心に訴えるのが上手だ。は溜息を吐く。 「かっこいいところも、甘えたなところも、バスケをしてるときの自信家なところも、勉強が微妙にアレなところも、子供がちょっと苦手なところも..まあ、何と言うか...全部好きなので、もう眠らせてください。おやすみなさい」 「え!ちょっ...!待って!!今の録音したいからもっかい!!」 「おやすみなさーい」 通話が切れた電話を眺めながら「眠れなくなっちゃったじゃないっスかー..」と黄瀬は少しだけ情けない声を出した。 |
| 青峰の場合 | |
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寝るときはサイレントが基本のが、携帯のバイブレーションに起こされ、ディスプレイを確認して出ることにした。 『青峰くん』と表示してあった。 意外とこういうことに関して気遣いができる彼がこの時間に電話してくるのは、珍しいのだ。 「もしもーし」 「...」 暫く待ってみてたが、彼は何も話そうとしない。 「イタ電とかやめてもらえますかねー。今何時デスカ...今の時間を草木も眠る丑三つ時って言うんですよー。草木も眠ってる時間に起こされたわたしは、眠い。おやすみ」 通話を切ろうとすると 「あのさ」 と漸く彼が話を切り出した。 「はいはい」 「オレがバスケできなくなったらどーする?」 「...どこか痛めた?!」 一気に覚醒した。思わずベッドの上に正座する。 「あ、いや。そんなんじゃねーけど...」 歯切れ悪く返す彼には少し考え、 「あのさー。青峰くんと会ったのってわたしが転校したのがきっかけだけど、確かにバスケが無かったら今の関係は無いわけですよ」 と話し出した。 「うん」 「けど、この先、青峰くんがバスケができなくなったからと言って、過去はなくならないわけですよ」 「ああ」 「なので、どっちでもいいよー」 「は?!」 「いや、バスケだけが青峰くんの存在意義ではないだろうし。それが出来なくなっても青峰くんだろうし。バスケが無いからってわたしは青峰くんを否定しないので、安心して悪夢にうなされながら寝てください。さっきも言ったけど、わたしは眠い」 おそらく、そういう夢を見てしまったのだろう。 はそう推測してとりあえず、思っていることを話した。 電話の向こうで「はっ!」とどこか吹っ切れたような笑い声がした。 「」 「んー?」 「愛してるぜ」 「うん、おやすみー」 ぽてりとベッドに寝転んだは迷わず電源ボタンを押して眠りの淵へと沈んでいった。 |
| 緑間の場合 | |
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携帯が着信を告げるようにチカチカと光っていた。 手を伸ばして確認する。 「あれ...」呟いては通話ボタンを押した。 「もしもし」 「...すまない、夜中に」 相手は緑間だった。 「ううん、どうしたの?こんな時間に起きてるのって珍しいよね。試験勉強でもこんな時間までしないでしょ」 が言うと 「まあ、日ごろからしているからな」 と試験勉強についての返事があった。 「それで?」 が話を促す。 「あ、いや。すまない、無性にの声が聞きたくなったから...」 心から申し訳なさそうに彼が言う。 は苦笑した。 「わたしがいなくなる夢でも見た?」 彼女の指摘に緑間は息を飲む。 「どうして、わかったのだよ」 「いや、存在を確認したいってことは、たぶんそうなのかなって」 「夜中で、は寝ているだろうと思ったんだが。どうしても...本当にすまない」 「ううん、いいよ。安心できた?」 「いや」 意外にも否定された。 「安心できなかったの?」 が問い返すと 「そうだな」 と肯定される。 これは困った、と思っていると 「人と言うのは、本当に欲深いな」 と、ちょっと大きな話をされた。 「ん?」 「声を聞いたら、逢いたくなった。おそらく、逢ったら今度は触れたくなる。触れたら離したくなくなる。キリがないのだよ」 苦笑しながら緑間が言う。 も苦笑した。 「けど、まあ。せっかく逢いたくなっていることですし、明日の放課後ちょっとだけでも会えませんか?それとも離れがたくなるからやめる?」 からかうように言うと 「少し遅くなるが、大丈夫か?」 と前向きな返事があった。 「うん、明日なら大丈夫。あ、今日か。全体練習が終わったら連絡して。そっち行くから」 「誠凛のほうがの家に近いだろう。俺がそっちに行くのだよ」 緑間が言う。 「ううん、行く。...ダメ?」 そんな風に問われてだめと言えるはずなく、「わかったのだよ」と緑間が折れた。 「じゃあ、またあとでね」 『あとで』というには、少し先のことだが、その言葉がうれしくて「ああ」と緑間は頷いた。 「夜中にすまなかったのだよ」 「どうしたしまして。思わぬところでデートの約束できたし」 が笑って言う。 「おやすみ、」 「おやすみ」 |
| 紫原の場合 | |
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「もしも「泣かないで!」 言葉を遮ってそういわれては自身の携帯を耳から離してとりあえず睨んだ。 「ちん?!」 離した携帯から声が聞こえてあわてて耳に当てる。 「はいはい」 「泣いてない?」 「うん、泣いてない。というか、眠い...」 「良かった...」 「うん、だから眠い」 「あのね」 彼はめげない。というか、どうやらの話を聞いていない。 気が済むまで付き合うしかないと思ったはとりあえず眠気防止のために部屋の電気をつけた。 「わ、眩し...」 「なに?」 「ううん。それで、紫原くんは、わたしが泣いてると思って電話をしてくれたと言うことで現状は間違ってない?」 「うん。泣いてなかった?」 「うん、まだそんな予定は立ててなかったよ」 「けど、さっき泣いてたし」 は少し考える。 「あの、夢で泣いていたとかいう落ち?」 「夢?...夢だったんだ」 どうやらその落ちらしい。 「紫原くん、納得してくれた?電話切ってもいい??」 の言葉に紫原は頷きそうになって 「だめ」 という。 「えーと、何で?」 「せっかくちんと話ができるし」 「あの、眠いです」 「オレは眠くないよ。目が覚めた」 「そう...途中で落ちたらゴメンね。それで、何の話をするの?」 付き合うことにした。 「んー...そうだ!またまいう棒の新味が出たんだよ」 「それはまた素敵な情報を...というか、紫原くん。ちゃんと歯を磨いてる?」 「...磨いてる」 「今の間は何??」 の問いに「ちょっと寝てた」と嘘をつく。 「あのね、紫原くん。虫歯あったらやだよ」 が言う。 「何が?」 「虫歯は移るらしいから、やだよ。治すまでダメだからね」 もう一度嫌だと言う。 何が嫌なのかそこで気付いた紫原は「え!?」と声を上げた。 「...今度東京に帰ったとき、ちん、一緒に歯医者さん行って」 「秋田にも歯医者さんあるでしょ。治して帰ってきたほうが絶対に良いと思うよ」 「やだ。歯医者さん嫌い」 「心細いなら氷室さんにお願いして付いて来てもらうとか」 「ダメ!室ちん、毎日オレに歯磨き言ってるのに、歯医者さんで虫歯が見つかったら...」 電話の向こうでどうやら紫原は青くなっているようだ。 「というか、いつもちゃんと歯を磨いた結果、虫歯があるなら氷室さんだって怒らないでしょ」 「磨いてたらね」 「磨きなさい。今すぐ磨きなさい。虫歯がないことを証明されるまでお預けだからね!!」 「えー、ちん。酷いよー」 「ちゃんと歯を磨いて寝ること!おやすみ!!」 はそのまま通話を切って寝た。 |
| 赤司の場合 | |
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「はいはい。眠いんですけどー、なんでしょー」 バイブレーションに起こされた。 起きたからには一応確認してみたはさらに一応出てみた。 「君」 「はい」 「なんで僕の傍に居ないんだ...」 が暫く黙っていると「君」と少し不安そうに名を呼ばれる。 「うん、今だけはちょっとわたしも思ってる。どうかした?」 「ねえ、君。僕のこの両の目が視えなくなったら、どうする?」 不意に問われたその言葉には少し考え、 「だったら、たくさんの言葉を贈りましょう」 と言った。 「え?」 「見えない分、ちゃんと言葉で伝えるよ。空の色も、街の景色も。わたしの想いも」 の言葉に赤司は目を瞑る。 暗い、何も見えない世界でただひとつの光になると彼女が言う。 「そうか」 「うん、そうだよ」 「今、僕は君が見えない。君に触れられない。届くのは声だけだ」 「寂しくなったら電話をしてね。ただ、もうちょっと早い時間か遅い時間だと凄く助かる」 の言葉に赤司は苦笑した。 「そうだね、ごめん」 「でも、電話をしてくれてよかった。我慢しないでくれてありがとう」 赤司は目を瞑る。 「君も、何かあったら電話をしてくれ。他の誰でもない、僕を頼ってくれ」 「心得ております。とりあえず、今は凄く眠いんだけど...」 「ああ、うん。後でまた逢おう」 「ん?」 「夢の中で君に会いに行って、抱きしめるよ」 「あら、心待ちにしております」 「...やっぱりウチに転校しないのかい?」 「おやすみなさーい」 「ああ、おやすみ」 が通話を切るのを待って赤司も電源ボタンを押した。 |
桜風
12.10.21
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