| 今日は丸一日オフだった。 昼間は息子が幼稚園に行って留守のため、と共に出かけて久々にゆっくりした時間を過ごした気分だった。 幼稚園から帰ってきた息子と公園に行き、少し相手をして帰宅した。 公園で遊んでいる子供を見ることくらいはできる。 何かあったら必ず大きな声を出すこと、と何度も言い含めており、息子もそれを了承している。 息子が遊んでいる間は公園のベンチで読書に耽った。 そして、今日はもうちょっと子供の面倒でも見ようかと思い立った。 「圭一を風呂に入れてくるよ」 赤司のその言葉には少なからず驚いた。 「え、大丈夫?」 「大丈夫だよ。さあ、僕と一緒に風呂に入ろう」 赤司にそう言われて息子は喜び、着替えの準備を済ませてそのままバスルームに向かった。 「本当に大丈夫?」 が再び問う。 「大丈夫だよ」 そんなに信用がないのかと少しむっとしながらも赤司はそう返した。 子供を風呂に入れるくらいできる。 赤ん坊ならまだしも、言葉が通じる幼児なのだ。大丈夫。 そう思って風呂に入った。 息子はすでに体を洗う準備に入っていた。 「一人でできるかい?」 「せなかが...」 「じゃあ、そこは僕が手伝おう」 ほら、大丈夫だ。 ついでに息子の髪も洗ってやり、湯船にざぶんと2人で浸かった。 そして、間もなく赤司が湯船から上がろうとする。 「パパ、だめだよ」 「ん?」 「100数えてないよ」 「...え?」 「今ね、10だったから、11からね」 正直、長風呂は得意ではない。だから、早く出たいのだが... 「パパ?」 首を傾げて息子が呼ぶ。 「そうだね」 赤司はそう言って湯船に戻った。 「ママー、出たよー」 素っ裸の息子がリビングに駆け込んできた。 「はいはい」 そう言って準備しておいたバスタオルで息子の体を拭いてやる。 「はい、できた!」 ぽん、と彼のお尻を叩くと彼は下着を置いているソファに向かって駆けて行った。 「ところで、征十郎さんは?」 遅いな、と思いながら問うと、 「パパ、もうちょっと入ってるって」 と息子が言う。 は静かに立ち上がり、冷蔵庫に入れている水をコップに注いでそれを持ったままバスルームに向かった。 「征十郎さん?」 「君」 少し弱々しい声音。 「開けるよ」 そう言ってバスルームの扉を開いた。 ぐったりと湯船のふちに持たれている赤司が視線だけをに向けた。 「長風呂苦手って言ってたじゃない」 そう言いながら持ってきたコップを渡す。 「仕方ないじゃないか。子供が100数えるっていうんだ。付き合ってもいいかなって思うだろう」 そう言いながらありがたく冷えた水をのんだ。 一気飲みして、少しだけ顔に生気が戻ってきている。 「もう一杯いる?」 「...いや、出てからにするよ」 そう言って赤司はの手を借りて取り敢えず、脱衣所まで出てきた。 冬であるため、普段はヒーターをつけている脱衣所のそれは電気が落ちていた。 「ああ、消したよ」 赤司の疑問を察したがそう返す。 「じゃあ、先に戻ってるからね」 そう言ってが脱衣所を出ると、息子がそこに立っていた。 「パパ、なにかあったの?」 「ううん、何もないって」 そっとの脚の間から脱衣所の中を覗くと、寝間着を着ている父の姿がある。 「どうかしたのかい?」 そう問う父の表情はいつものかっこいいそれで、 「なんでもない」 とぶんぶんと首を横に振る。 (わー、凄い見栄っ張り) は心の中で呟き、クスリと笑う。 「君」 それを見かしたかのように赤司が彼女の名を呼んだ。 肩を竦めたは足元の息子に対して、 「はーい。じゃ、夕ご飯食べようか。お箸出すの手伝って」 と声をかけて、 「うん!」 と彼は元気に返事をする。 夕飯を口にする頃には赤司も回復しており、いつも通り多少小食ではあるが、食事を共にした。 「ねえ、パパ」 「何だい?」 「また一緒にお風呂入ろうね」 満面の笑みで、さらに目を輝かせてそういう息子を無碍にすることができなかった赤司は 「そうだね」 と頷いた。 ぶっと噴き出したはじろりと赤司に睨まれ、コホンと咳払いをしてごまかしたのだった。 |
桜風
13.12.5
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