| 誠凛高校バスケット部は、昨日、悲願のIH出場の切符を手にすることが出来た。 創部3年目にしての快挙でもある。 明日から試験期間に入る放課後。 試験期間前の最後の練習と言うこともあって、部員全員が居残り、自主練習をすることにしていた。 体育館の外にボールが転がっていく。 「お」 足元にそれが当たった彼は拾い上げた。 「あ、すんませ...」 降旗が言葉に詰まった。 「おー」と言って彼はボールを投げて寄越す。 受け取った降旗はギギギと振り返る。 「黒子ー」 「はい」 すぐ傍に居た黒子が返事をして降旗は驚きの声を上げた。 「青峰が来てる」 同じくIH出場を決めた桐皇学園のエースがなぜか体育館にやってきているのだ。 「あ、本当ですね。こんにちは」 「おう、テツ。は?全体練習は終わったんだろう?」 「今終わりました。さんは、たぶん片付けだと思います」 「は?この時間に終わるっつったのに」 青峰は眉間に皺を寄せて言う。 「全体練習がね」 不意に現れた声に「うお!」と声を漏らした。 「てか、時間丁度っておかしくない?遅刻魔のクセに」 「んだよ。お前がこの時間だっつったんだろう?久しぶりに会ったってのに何だよ、それ」 「あなた、何年バスケ部所属をしているの。練習が終わってからマネージャーは片づけを始めると言うのに...」 ふうやれやれと彼女は首をゆるく振った。 「うわっ!ムカつく。てか、1年のマネージャーにでもやらせりゃ良いだろう」 「はっ!全員逃げたよ」 が自棄になって言う。 確かに、マネージャー志望の子も入部した。 そして、IH予選前に全員いなくなった。 「根性ねーなー」 「否定しない。というわけで、わたしが片付けなきゃいけません」 の言葉に青峰の眉間に皺がよる。 「どんくらい係るんだよ」 「一応超特急するけど...」 「待てねー」 青峰が拗ねたように言った。 困ったなーと思っていたが「おーい、テツヤ2号」と愛犬を呼ぶ。 「わん!」 上機嫌にやってきたテツヤ2号に「待て。ステイ」と指示をした。 彼は大人しく、お座りをしてキリッとした表情でを見上げた。 「ほら、青峰くん。このテツヤ2号。こんなちっこい犬でも大人しく待てが出来るのよ。青峰くん、待てない?」 「犬と比較すんな...」 唸るように青峰が言う。 「そうかー。テツヤ2号の方がお利口さんか」 が言うと 「あと20分だけ待ってやらぁ」 と言った。 「じゃあ、テツヤ2号と根競べでもしてて」 そう言ってがいなくなる。 青峰はテツヤ2号の横にドカッと座った。 「一緒に練習します?」 「いい。20分でやめれるはずねーから。逆に待たせたらぜってー文句言われる」 黒子に誘われて青峰が答える。 「そんなことないとは思いますけどね」と黒子は苦笑して体育館に戻っていった。 「ちょちょちょ、黒子君!」 リコが手招きをしながら声を掛ける。 「はい?」 黒子は彼女の元に足を向けた。 「何で青峰君はを迎えに来てるの?」 「さあ?このあとデートでもするんじゃないですか?」 「デートぉ?!」 日向が声を上げる。 チラと体育館入り口の青峰を見た。不機嫌にテツヤ2号に声をかけているようだ。 「え、つまり。はあいつと付き合ってんの?」 「みたいですね。本人達からはっきりとは聞いていませんが、桃井さんが言ってました」 黒子が頷く。 「え、じゃあ。先輩ってもしかしたら桐皇のエースにウチの情報を渡してたりするんじゃ...」 今年入ってきた1年が言う。 「お前、あとでに土下座な?」 目が笑っていない笑顔で日向が言う。 「けど、考えられるんじゃないですか?」 「あらー...テスト明けの練習、あなた5倍ねー。あのね、私、あの子以上に選手の練習環境を整えるのに力を注ぐマネージャーを知らないわ」 こめかみに青筋を立たリコが笑顔で言う。 20分経った。 「はい、お待たせ」 息を切らせてがやってきた。 「時間ギリじゃん」 「制服に着替える時間を考慮していただけたらもうちょっとゆっくりして来れたんだけどね」 そう言って青峰を半眼で見た。 そして、「オッケ、テツヤ2号」と言って『待て』を解除した。 彼は20分ちゃんと『待て』をしていたのだ。 ビーフジャーキーを食べさせて、よしよしと頭を撫でる。 嬉しそうに尻尾を振るテツヤ2号に目を細めた。 そして隣に座っている青峰を見た。 「飴ならあるけど」 「いらねーよ」 「じゃあ...よしよし」 そう言って彼の頭を撫でる。 「...いくぞ」 これはあっても良かったらしい。文句を言われなかった。 は苦笑して「はいはい」と頷く。 「お先に失礼します」 「テツ、またなー」 「お疲れー」 「お疲れ様です」 2人は並んで体育館から遠ざかって行く。 「、『おっぱいバレー』って映画知ってるか?」 「久しぶりに会ったってのに、いきなり話題がおっぱいって自分オカシイとか思わないの?!」 そんな会話が聞こえて黒子は苦笑して、リコは呆れた表情を浮かべた。 「なに、アレ」 「中学のときから何となくあんな感じですよ、あの2人は」 だから、桃井から聞かなかったら分からなかったと思う。 まあ、これまでを好きだと公言していた彼らは青峰から直接「はオレのもんだ」宣言をされたらしい。 黄瀬が電話で訴えてきたのでそれも知っている。 「んでさ。その映画のDVDを今から借りて、ウチで見ようぜ」 そういいながら青峰はと手を繋いだ 「やだ。てか、テスト勉強しなよ。お宅は今日から試験期間でしょ」 半眼になってが言う。 「はあ?試験勉強なんてのは、マジメな人間するもんだろ」 「マジメになったらいかがかしらー」 「つか、お前本気で転校する気ねぇの?」 「ないよ。しつこいぞ」 が言うと青峰が溜息を吐く。 「だって、お前ひでーんだぞ」 「わたし?」 が首を傾げる。 「おう。地区予選が始まったらそれが終わるまで電話もメールもしないって。勿論会わないって...」 ちょっと拗ねたように青峰が言った。 本当に電話とメールを無視されるとは思っていなかった。 かなり傷ついた。 「寂しかった?」 そう言って下からが顔を覗きこむ。 「...おう」 そっぽを向いて青峰が言う。 は驚いて眉を上げて苦笑した。 「何だ、このやろー」 そう言っては青峰に抱きついた。 「お、おお?!」 驚いて青峰はたたらを踏んだが、体格差でそんなに体勢を崩すことは無かった。 「や、わたし愛されてますねー。幸せ者だ」 満面の笑みで青峰を見上げて言う。 「うっせ」 照れたように青峰が返した。 「でも、わたしも好きだよー」 「はっ!知ってるての!」 不敵に笑って言った青峰は、自分に抱きついているにキスをした。 |
桜風
13.2.6
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