| 台風が近付いているというニュースを朝の番組で聞いていたが、結構風も強くなってきた。 (ホントに台風がくるんスねー) 明日の朝まで台風が居座ったりしたら電車のダイヤが乱れたりと色々と大変そうだ。 空を見上げると雲が走っている。 「おはようございます」 声を掛けられて黄瀬が振り返ると黒子がいた。 「はよっス」 「天気、帰るまでに持つといいですね」 そう言いながら彼は空を見上げた。 「どうっスかねー。雨は来る気もするっスけど...」 「よー」 正門前で青峰が背後から肩を組んできた。 「はよっス」 「おはようございます」 黄瀬と黒子はそれぞれ挨拶を返してクラブ棟へと向かった。 クラブ棟は男女それぞれ建物は違うが、隣同士に建っている。 朝練は結構何処の部活もしていて、クラブ棟にはそこそこ人がいた。 「おはよー」 声をかけてきたのは紫原で皆は口々に挨拶を返す。 不意に強く風が吹いた。 「白!」 青峰がすぐに言う。 「へ?」 思わず目を瞑った黄瀬が聞き返すと、 「あっちの、女子。白だったぜー。顔に似合わず、意外と清純派だな」 と青峰がにやっと笑う。 「...何を見たんですか、青峰君」 半眼になって黒子が言う。 「ばっか!これはな、イタズラな風の精霊からオレたち健全な男子への贈り物だ。受け取らずにどうするんだ」 「しかもリボンがついてて可愛かった」 「紫原っち?!」 彼もしっかりイタズラな風の精霊の贈り物を受け取っていたらしい。 「紫原君まで...」 黒子が溜息をつく。 部室に入り、着替えて体育館へと向かった。 朝練が終わり、ストレッチをしながら 「黄瀬って、すんげーエロいパンツよりもシンプルなのが好きだな」 と青峰が言う。 「何決め付けてんスか...」 黄瀬が返した。 「え、じゃあ。エロい方がいいんだ?」 「青峰っちがいう『エロいパンツ』ってどんなのっスか?」 黄瀬が問う。 「んー、紐?」 「あー、嫌いじゃないっスね」 黒子は冷ややかな視線を彼らの背中に突き立てていた。 「オレはヒラヒラなのが好きー」 聞かれてもいないのに紫原が参加した。 「レースみたいなのっスか?」 「うん。色は、白」 「じゃあ、さっきのは結構いい線行ってたってことだよな?」 青峰の言葉に「そーだねー」と紫原は頷いた。 「緑間っちは意外と激しくエロいのが好きそうっスよね」 なにやら自分の名前が耳に届いてしまった緑間が振り返った。 「何か言ったか?」 「緑間って、どんなパンツ好き?」 「は?!」 不意に問われた内容が『パンツ』で緑間は当然のことならがすぐには順応できなかった。 「あ、朝から何の話をしているのだよ...」 動揺が隠せないらしく、少しどもっている。 「や、今そんな話してんだよ。お前、結構激しくエロいのが好きそうだなって」 「別に、フツーなのだよ」 「普通って人によって違うっスよね。あ、そういえば。最近ボクサータイプのパンツが流行ってるらしいっスよ」 「げっ、女にもか?夢がねぇーーーー!」 「うるさいぞ、青峰」 少し離れた場所でストレッチをしていた赤司が冷ややかに注意した。 「うわ、オレだけ」 そう言って首を竦める。 「そういや、テツは?」 「僕を巻き込まないでください」 こちらも冷ややかな声音で返された。 「つれねーなー。そういや、Tバックってどんなやつがどんなときに穿いてんだろうな。あれには相当な夢があると思うけどなー」 青峰が言う。 「スリットの深いスカートとか、あと下着のラインが出やすいパンツ..ズボンを穿くときにそれを選ぶ人がいるって聞いたことがあるっスね」 「お前、意外と詳しいな、黄瀬」 「撮影の待ち時間とかに、女性モデルさんが衣装さんと話してたりするから、聞いたことがあるんスよ」 「今、初めてお前がモデルってことを思い出したぜ」 「酷いっス!」 「赤司は?」 (青峰っちって意外と怖いもの知らずっスよね...) 着替え終わり、クラブ棟から校舎へ向かいながら青峰が問う。 「何の話だ?」 「パンツ」 「...は?」 当然、赤司は聞き返した。 青峰は、イタズラな風の精霊の贈り物の話をする。 「たぶん、今日の贈り物は大量だぞー」 「バカか」 これまで聞いた中で最も冷たい赤司の声音に皆は震え上がる。 「てか、ひとの事ばっかりで青峰っちは?」 気を取り直して黄瀬が聞いた。 「オレ?やっぱ、パンツよりも中身だろう」 「それを言ったらこれまでの話がなくなっちゃうじゃないっスか。誰だってそうっスよ」 黄瀬が声を上げる。 「そ、そろそろその話はやめたらどうなのだよ」 校舎に近付くほどに女子生徒の人数も増える。緑間が止めに入った。 離れて移動してもいいが、殆ど一緒に行動しているので緑間も間違いなくひと括りにされる。 「けど、嫌いなのはあるなー」 「嫌いなのっスか?」 「そう。キャラクター物とかはなー。小学生のガキならまだしも、中学にもなってそりゃねーだろ。あと、パンツが見えないようにしてるヤツ。パンツの上に短パン穿いてるとか。ねーわー、あれ」 青峰がそういった途端、ゴォッと風が吹いた。 かなり強く、女子の悲鳴が上がったりもした。 「あれ、あの2人。丁度オレの嫌いなやつだ。クマのキャラクターと、スカートの中の短パン」 青峰が指差した。 途端、黄瀬はダッシュでその場を離れる。 「へ?おい、黄瀬」 「青峰くん、おっはよー!」 辞書が飛んできた。 「うお!」 何とか避けたが、クマと短パンの主、桃井とがにこりと微笑んでいる。 こめかみに青筋を立てながら。 「あ、えっと。お前ら、超こえー...」 そう言って青峰は反転してダッシュした。 「預ける!」 桃井に通学鞄を渡しても駆け出した。 「、ガンバレー!」 桃井は心からを応援した。 「バカだな、青峰」 「青峰君はバカですね」 「峰ちん、追いつかれるかなー」 「あー、危なかったス...」 「お前も青峰と同罪だと思うが...」 少し離れたとことでマネージャーに追いかけられているエースを眺め、それぞれが呟いた。 |
桜風
12.8.31
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