| が体育館の外での作業を済ませて片付けのためにバスケ部専用体育館へと向かった。 バスケ部は全国区であるため、専用の体育館があり、大抵は一軍が使用する。 「ちゃん」 タッタッタと軽快な足音が近付いてくる。 は体を右に一歩ずらした。 の真横で腕が空を掻く。 「何で避けるっスか」 「普通避けるでしょ」 「照れ屋っスね」 「...黄瀬くんのポジティブなところは心からソンケーするわ」 の言葉に黄瀬は照れた。 「それで、何か御用ですか?」 片づけをしながらが問う。 「そうだったったス。ちゃん、次の土曜の夜は、何か予定があるっスか?」 「次の土曜...」 (お母さんが出張の日か...) 「大丈夫、特に無いよ?」 の返事に「ホントっスか!」と黄瀬の目が輝いた。 「うん」 「さっき、みんなで話してたんスけど、学校の近くの神社でお祭があるらしいんス」 「そうなんだ。花火とか上がるのかな?」 が考えていると 「それは、ないみたいス。小ぢんまりした神社だから、せいぜいお祭を知らせる白い煙みたいなのが上がるくらいじゃないスか?」 「ああ、煙火ね」 の言葉に「えんか?」と黄瀬が首を傾げる。 しかし、その疑問は吹っ飛んだ。 「で、お祭りに行った後に、近くの河原で花火をしようって話もしてるっスよ」 「わかった。わたしも参加する。その日は部活ないよね」 「そうっス」 「じゃあ、時間とか分かったら教えて」 そして、祭りの日。 のことを考慮してくれたのか、まずは駅前での集合となった。 しかし、不思議なことに、黄瀬以外の誰も居ない。 「何で浴衣じゃないんスか...」 黄瀬の落胆具合を静かに見つめたは 「電車で着崩れるかもしれないじゃない」 と返した。 「そんなことが心配だったなら、オレが送り迎えしたっスよ」 「...黄瀬くんが送り迎えしてくれたら、何で着崩れの心配がなくなるの?」 心底不思議そうにが見上げてきた。 「そんなの」と言ってを囲むように彼女の顔の横に手をつく。 「こうやってオレが身を挺して守って...!」 「から離れるのだよ」 黄瀬は緑間に蹴っ飛ばされた。 「大丈夫か、」 「うん。容赦ないね」 緑間の仕打ちに悶えている黄瀬を見下ろしながらが呟く。 「手加減はしているのだよ」 「ウソっス!凄く痛いっスよ!!」 「それは悪かったな」 悪びれずに緑間が言う。 「ごめーん、遅くなっちゃった。というか、みんな早くない?」 やってきた桃井を指差して「ちゃん、アレ!」と黄瀬が訴えるがはスルーだ。 桃井は浴衣を着ている。 今回の祭りには黒子も来るそうだ。そのため、気合が入っている様子である。 ちなみに、桃井と一緒に青峰もやってきた。遅刻するかと思っていたが、そこは桃井が引っ張ってきたらしい。 「けど、緑間くんが時間に遅れるって珍しいね。桃井は浴衣だから歩きにくいだろうし、青峰くんはそれに付き合ってるんだからこうなるだろうけど」 が言うと緑間の眉間に皺が寄る。 「俺は時間少し前に来たのだよ」 「...はい、黄瀬くん。言い訳ドーゾ?」 が半眼で言うと 「ちゃんと少しでもデート気分を味わいたかったんス」 と小さくなって言う。 どうやら、には5分程度早めに待ち合わせ時間を教えていたらしい。5分という辺りが、何とも、彼の葛藤が見て取れる。 ちなみに、浴衣姿を自分が一番最初に見たかったと付け足していたが、そんなのには反応してやらない。 その後、赤司と紫原、そして桃井が心待ちにしていた黒子も本来の時間ぴったりにやってきて件の神社へと向かうことになった。 |
桜風
12.8.1
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