| 「あれ、黒子くん?」 「さんのパートナーは僕のようですね」 それぞれ痛い視線を感じながらスタートした。 「さんは、こういうのは苦手じゃないんですか?」 「ん?うーんそうだね。あんま気になんない。黒子くんも?」 「はい、あまり怖いと思えないんです」 「じゃあ、さ。お互い怖がらせながら歩いてみる?」 が提案した。 お互い怖いと思わない者同士が歩くのなら、それは普通に夜の散歩だ。『肝試し』とはいえない。 「いいですよ」 と黒子がの挑戦を受けてたつ。 「じゃあ、先攻・後攻決める?」 「じゃんけんはどうでしょう」 黒子の提案には苦笑した。 「選択権、譲ります」 じゃんけんをすれば必ずが勝ってしまう。それは、何だかフェアではない。 だから、選択権を譲った。 「ですが...」 「わたし、じゃんけんメチャクチャ強いから」 「なら、なお更勝負したいです」 黒子の闘志が燃える。 「まあ、いいけど...」 本人の希望なら、とじゃんけんをしてが勝った。 「じゃあ、先攻」 「いいですよ。では、僕は後攻ですね」 そうして2人の百物語が始まる。 の話は情景描写がしっかりされていて、そのため、リアルに想像しやすく、さらにその表現力を増すような声のトーンで話をしている。 対して、黒子の場合は、元々国語が得意と言うこともあり、言葉の選択が上手でさらに、淡々と話すその話し方が中々の玄人だ。 2人は交互に自分の知っている怪談を話し、相手の反応を見る。 「中々やりますね...」 「黒子くんだって、結構エグイの持ってたじゃない」 2人はすっかり熱くなっていた。 「じゃあ、次はわたしの番ね」 そう言ってが取って置きの話を始める。 黒子はじっとその話に耳を傾けていた。 「ちょ、ちょっとぉー!」 そんな2人を遠巻きに部員達が見守る。 既にゴールをしたと言うのに2人は決着が着いていないと言って、先ほどから勝負をやめないのだ。 しかし、2人は話が上手いので思わず聞いてしまうが、内容が怪談ということで竦みあがっている状況だ。 「誰か、止めるのだよ!」 緑間が声を上げた。 「黄瀬、お前が行け」 「えー!いやっスよ!青峰っちそういうの平気そうじゃないスか!」 に嫌われるからイヤだとかそう言うのではなく、あそこに近付くだけでなんか呪われそうな気がするのだ。 「ばっか。紫原、お前いっそを小脇に抱えてどこかに連れ込め」 「えー、あそこいきたくないし。桃ちんは?」 「ムリムリムリムリー!」 結局2人を止めたのは、突然の雷雨で、慌てて屋根のあるところに逃げる途中、紫原がを小脇に抱え、青峰が黒子を誘導することで2人を引き離すことができた。 自然の恵みに感謝しつつ皆は就寝したが、本日耳にした怪談が脳裏に甦り、翌朝、殆どの者が寝不足に陥ったという、ある意味伝説の合宿となったのだった。 |
桜風
12.8.25
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