| 「はぁ...」 彼女は悩ましげな溜息をつく。 「はぁ...」 彼は悩ましげな溜息をつく。 「「何で、白組...」」 2人の声が重なった。 「あ、この新味結構いける。ちんにあげよー」 その隣でのんびり菓子を食べてるクラスメイトを黄瀬はじとっと見つめた。 「紫原っち。今日は、そのちゃんとは敵同士っスよ」 「そうよ。テツ君だって...」 「「はぁ...」」 またしても2人は深い溜息を吐いた。 本日快晴。運動会日和と言うものである。 帝光中学にも運動会なる行事はあり、紅白に分かれて競うというオーソドックスなものである。 障害物競走、騎馬戦、玉入れ...ベタなものは全部入っていると思う。 「けど、リレーだけ味方じゃん」 「それって、クラブ対抗のでしょ?」 桃井が指摘した。 紅白に分かれるのはクラスごとで、黄瀬、紫原、桃井、赤司が赤組。対して、、青峰、緑間、黒子が白組である。 昼休憩を挟んでクラブ対抗リレーもある。そのときだけ、団結することができるのだ。 今は、敵同士。 今朝、登校時にに会った。 今日は朝練を禁止されていたので、普通の時間の登校だったのだ。 「ちゃん!」 弾んだ声で黄瀬が名を呼ぶと彼女は乗っていた自転車を止めて振り返って苦笑する。 「おはよ」 「はよっス。ジャージ登校って楽っスね」 黄瀬が言うと「うん、自転車漕ぎやすい」と彼女が笑う。 「黄瀬くんとこは、桃井と一緒で赤だよね」 「そうっスよ」 「赤司くんと..紫原くんも」 「あ、そうか。赤司っちも一緒っスね」 黄瀬が頷いた。 「そうかー、今日は敵同士だね」 何気なく彼女は笑いながらそういい、黄瀬は複雑そうに笑った。 「よー、。敵と話をするな、敵と」 タッタッタと駆けてきた青峰が言う。 「おはよ」 「はよっス」 「おう。ほら、行くぞ。乗れ」 「は?え?!」 自転車を押していたら無理矢理サドルに跨らされて後ろから青峰が押していく。 「ちょ、青峰っち!危ないっスよ!!」 朝練が無くて体力が有り余っている彼は、そのままの自転車を押しながら猛然と走っていった。 「おはよー、きーちゃん」 「はよっス。桃っち、置いてけぼりっスね」 「うん。見つけた途端、青峰君走ってくんだもん」 プリプリと拗ねながら彼女が言う。 「黒子っちもちゃんと同じ白組っスもんねー」 「うん...」 「まるで俺も桃っちもロミオとジュリエットっスね」 黄瀬が笑って言うと「そうねー」と桃井も苦笑した。 競技が始まる。 熱心に応援している人もいるが、基本的にみんなのんびり構えている。 「そういえば、桃っちは黒子っちと何か進展はあったんスか?」 「まだー。夏にデート誘って、一緒に出かけてくれたんだけど...きーちゃんは?」 「こっちはもっと手ごわいっス」 黄瀬は苦笑した。 デートすら誘えない。警戒されるようになってしまったのだ。まあ、自業自得というヤツでもあるが... 「聞いてみてもいいっスか?」 黄瀬が言う。 「なに?」 「桃っちは、黒子っちの何処が好きなんスか?」 「え?!」 ぽっと赤くなる。 「あー、きっかけとか」 「な、何よ。突然」 頬を両手で包みながら桃井が言う。 「あー、いや。こういう話が出来る人って、オレいないんスわ」 「青峰君とか...」 「おっぱいの大きさの話にしかなんないっス」 真顔で黄瀬が返す。 「...そうかも」 桃井は苦笑した。 「やっぱり、お似合いですよね」 白組テントから赤組テントの黄瀬と桃井が見える。仲良く2人は話をしているようだ。 桃井がなにやら照れ始めた。 黒子の呟きが耳に入っても赤組テントを見た。 「あー、ホントだ。隣に座ってる紫原くん、見事な空気だ」 の言葉に青峰が噴出す。 「あいつ菓子さえあれば満足だしな」 「というか、学校行事の中で菓子を食うとは...」 緑間が呆れている。 指摘されてと黒子はぽんと手を叩いた。 全く違和感が無かったのは、部活の試合の行き帰りとかそういうときもずっと菓子を持っているからだ。 だが、今は授業中と置き換えて考えるべきだった。 「あいつ、ホントマイペースだな」 青峰が苦笑した。 「更にその上を行くマイペースさんは?」 「今の競技に出ているはずだぞ?」 「あれ、もう終わってる」 既に次のプログラムに移行していた。 「赤司くん、いつ走ったのかな?」 「さあ?黄瀬君だったら女の子達が騒ぐから絶対見逃さないんですけどね」 「あー、そーかもなー」 「五月蝿くてかなわないのだよ」 競技出場者の呼び出しのアナウンスが掛かった。 「おっと」 が立ち上がる。 「さんもですか?」 黒子も立った。 「おー、お前ら確かに得意そうだな」 「頑張ってくるのだよ」 「いってきまーす」「いってきます」 2人は揃って入場門に向かった。 |
桜風
12.10.13
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