帝光祭 2





スタンプラリーが始まり、は逃亡生活にピリオドを打った。

さすがにスタートすれば掴まることもないだろう。

黄瀬以外の知らない男子の何人かには声を掛けられたが、とりあえず、逃げた。

自分が本気を出せばこんなもんだ。


先ほど胃薬を持って桃井のクラスに行ってみた。

すると、彼女は不在で、さらに彼女はクレープを作る係から外れていたとのこと。

クラスとしては賢明な判断だろうが、それはそれで桃井は残念だったかもしれないとは思った。

そして、桃井の親友と言う女子生徒に捕まった。

客がさばけていなかったのだ。

焼く係の子の手際が悪いと言うのがどうも原因らしく、長く待たされている客の機嫌も悪いため藁にも縋る思いでに声をかけたらしい。

まあ、桃井に失礼な事を言ってしまったようだし、とそのお詫びの意味もこめて10分だけ手伝った。

客の殆どを捌く事が出来、桃井の親友は更に長い時間の手伝いを頼んできたが、そこまでの義理はないので断ってその場を去った。


「さて、次は...そういえば」

昨日、緑間が西洋占星術研究会になにやら頼み込まれていたのを思い出す。

そっちを冷やかしに行くのも面白いかもしれない。

は文化祭の模擬店の位置図を眺めて、西洋占星術研究会が使用している教室に向かった。

「桃井、何をするのだよ!」

緑間の声が聞こえる。

「ん?」

は足を向けた。

、パス!」

突然何か投げられて咄嗟に掴んだ。どうやらボールではないらしい。咄嗟にきちんと掴めたのがその証拠だ。

「てか、ほら貝?」

は自分が掴んだそれを見て首を傾げる。

!それを渡すのだよ」

さん、それは緑間君に渡さないでください!」

緑間と黒子に真逆のことを言われた。

、それを体育館に持っていって!すぐに追いつくから!!」

「んー、つまり。3人はこれが欲しいんだ?では、これと何を交換します?」

事情は良く分からないが、3人に吹っかけてみた。

「...テスト期間中の、掃除当番を代わるのだよ」

緑間が意外にも乗ってきた。

「あら、素敵」

は黒子を見た。

「...この間、さんが読んでみたいと言っていた古典。僕、先日古本屋で見つけて買ったんです。それを貸します」

「中々魅力的ね」

そして桃井を見た。

彼女は明日の部活は午後からだから、午前中に最近有名な行列のできる店のチーズケーキを買ってくると言う。

「...え、明日も部活だっけ?」

が声を漏らすと

「連絡が行っていなかったのか?」

緑間が首を傾げた。

「忘れてた...まあ、いいわ。んで、桃井。これを何処にもってくの?」

桃井が採用されたらしい。

!」

「体育館!クイズ研の第2問の回答場所!!私とテツ君が行くまでそれ守ってて」

「りょーかい」

そう言って窓枠にひょいと飛び乗る。

!」

「掃除当番よりも、古典よりも。今はチーズケーキな気分。では、後ほどー」

そう言って窓からひょいと飛び降りた。

!窓は降り口ではないのだよー!」

窓から飛び降りたに緑間が苦言を呈した。


「...何やってんの?」

体育館の隅っこで漫才を繰り広げているクラスメイトとチームメイトに声を掛ける。

ちゃん!」

弾んだ声で黄瀬が彼女の名を呼ぶ。

「お、。良いところに来た。黄瀬、お前怪我したことにしてと代われ!コイツの方が頭良いし、運動神経も悪くない」

「はあ?!ちゃんとペアを組んでトップでゴールするのはオレっすよ!!」

「...男同士とか、しょっぱいコンビだね」

真顔でが言う。

ちゃん、色々萎えるからやめて...」

ガクリとうな垂れて黄瀬が言う。

「いいんだよ。優勝すりゃ、パートナーなんてどーでもいい」

「ひどっ!」

「つか、も参加してたのか?」

ここにいるのならそう言うことなのだろう。

「え!誰っスか!緑間っちとか...はっ!赤司っち??まさかの紫原っちとか?!」

「え?いや。知らない人に誘われたりしたことはしたけど、全部お断りしたし...」

「良かったっス...」

彼女の言葉に黄瀬がホッと息を吐く。

「で、何でこんな体育館の隅っこで漫才をしてんの?お捻りいくら以上貰わなきゃクリアじゃないとか?」

「それだったら、どんなに良かったか...」

「へ?青峰っち。何か芸が出来るんスか?」

「黄瀬を脱がしゃ女子が金を出しそうじゃねーか」

「人でなしだね...」

青峰の言葉にが呟く。

「うるせー。オレらの課題はこれだよ」

「『ヒーロー参上』?え、これを借りてくるの?」

の言葉に「そうっス」と黄瀬がしょんぼりした。

「じゃあ、赤司くん借りてくれば?」

が言う。

「は?赤司??」

ちゃんにとって、赤司っちがヒーローってことっスか?!」

黄瀬がショックを受けたように言う。

「や、そうじゃなくて。ヒーローといえば何たら戦隊とか何たら仮面とかじゃないの?戦隊物だったら、レッドは確実に必要じゃない?で、ブルーとイエローがいるんだからとりあえず、3人の戦隊にすれば?世の中探せばありそうだしさ」

が言う。

ちゃん、やっぱり凄いっス!」

「赤司か...あいつ何処にいるんだ?」

「赤司っちなら、無双してるはずだから...今何処がトーナメントしてるっスかね...」

「あ、季節はずれのサンタさん」

赤司の居場所について相談している彼らの背後を見ながらが呟く。

「は?」「へ?」

2人は同時に振り返り、目を輝かせた。









桜風
12.12.12


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