コイビトカッコカリ 3
八月に入って日差しはさらに強くなり、夕方になっても汗を掻くほどの高い気温が続く。
「そういえば、は今日午後休み取るんだっけ?」
この会社で有給休暇を取ろうと思ったら半日か一日の単位になる。
「そう」
「どっか行くの?」
「うん! 行くの」
少し興奮気味に返すと話を振ってきた都成は興味なさそうに「へー、よかったね」と相槌を打った。
黄瀬くんとは会場入口で待ち合わせとなっている。一緒に行こうと言われたが、万全の態勢で臨みたい。
昼休憩のチャイムが鳴り、私は帰宅した。
通勤の格好で観戦なんてできるはずもなく、バッグも大きいから邪魔になる。靴はスニーカーに履き替えて服は半袖パーカーとジーンズ。時計はスポーツウォッチに変えて日が傾くのを待って家を出た。
キャップを被っているといってもやはり日差しはまだ強く、日傘にすればよかったかなと思ったけれど、日傘は邪魔になると選択肢から外したのを思い出す。本当はグッズも買いたかったのだけれど、黄瀬くんに聞いたら関係者席で全力の応援は難しいだろうと言われて後日通販を利用することにする。
会場に近づくと気候による熱気と違うそれを肌で感じて私の気分も高揚する。
わくわく、ふわふわした気持ちで黄瀬くんとの待ち合わせ場所についた。彼は、今日は仕事を休んでいる。有給休暇というものだ。試用期間の新入社員でも有給休暇を取得することはできる。
キョロキョロと周囲を見渡したが、どうも黄瀬くんの姿が見えない。とりあえずスマートフォンで到着したと連絡をするとすぐ行くと返事がある。ここらへんにいるのかと思ってまたキョロキョロしたが、その姿は見えない。
会場周辺は背の高い人が多い。もしかしたらバスケ経験者がそのままバスケファンとしてこの試合を楽しもうと集まっているのかもしれない。普段は黄瀬くんの背の高さは目印になるけれど、こうなるとちょっと探すのが大変そうだ。
「」
声を掛けられて見上げると、黄瀬くんがいた。彼もいつもとは全く違う服装で、印象も随分と変わる。やっぱりスポーツマンだ。彼の纏うシトラスの爽やかな香りは、スポーツマンにぴったりな気がした。
「お待たせ。随分気合が入ってるね」
「そう?」
「うん。スポーティな服も良く似合ってるね。じゃあ行こうか。入口が一般と違うんだって」
黄瀬くんに手を引かれながら混雑した入口の隣、『関係者受付』と書いてある受付の前に立つ。そのまま黄瀬くんがスマートフォン画面を見せると受付の人は会場内の座席表を見せながら席を案内してくれた。
「紙のチケットじゃないんだね」
「後でスクショ送るよ」
チケットは記念に取っておきたかったなと思っていると黄瀬くんが見透かしたように言う。
「感謝します」
「どういたしまして。は好きな選手とかいるの?」
「青峰選手」
食い気味に返すと黄瀬くんは「え?」と問い返してきた。
「同じ年なんだって」
「そうだね」
どこか気を落とした様子の黄瀬くんに「どうかした?」と問うと「ちょっと、思うところがあって」とごにょごにょと言われる。
確かに、同じ年で、しかも世界で活躍している人というのはちょっと思うところがあるかもしれない。ましてや、自分が昔選手として評価されていた競技だ。
「ここだね」と黄瀬くんが席を確認し、着席した。コートからは少し距離があるけど、全体を見渡せて観戦しやすそうだ。
「はバスケ観戦良くするの?」
「プロの試合だったら、テレビではたまに見てるけど、会場まで来るのって初めて」
「プロ以外は?」
「高校時代、予選をたくさん」
「なるほど」と彼は頷き、帽子を取る。コートでは選手がウォーミングアップをしているところだった。みんな身体が大きい。規格外のはずの黄瀬くんがあそこに混ざっても違和感がない。
暫くたって派手な演出と共に選手の入場が始まった。こういうところはエンターテイメント性があって面白い。
スキール音や選手たちの声、ドリブルするボールの音。
そうだったそうだったと思い出す。こんな迫力はなかったけど、私もコートに立ってプレイしていた。もう十年近くも前だ。あの時のように身体は動かないし、体力もないけど楽しかった思い出はある。
隣に座る黄瀬くんも随分と楽しんだようで、こんなに興奮している彼を見たのは初めてだ。それはそれで面白いものを見せてもらった気持ちになる。
どうやら、NBA選抜は主力選手の殆どが来ておらず、日本代表が勝利した。普段NBAでプレイしている青峰選手も今回は日本代表での出場だったため、私は大満足だ。後日通販では彼のユニフォームも購入しよう。
人の波が落ち着いて私たちも会場を後にした。この後一緒に夕飯を食べようと話をしていると黄瀬くんのスマートフォンに着信があったらしく、「ちょっと待ってて」と私に言って電話に応答する。
通話をしながら会場入口に戻っていく彼を待っていたのはかわいらしい女性だった。
ああ、そうか。これは邪魔をしてはいけないし勘違いされるのも厳禁だ。どこか寂しく感じたが、黄瀬くんには先に帰るとメッセージを送って帰宅するため最寄りの地下鉄の入口に向かった。電車を待っていると着信があり、黄瀬くんから「今どこ?」と聞かれた。
「地下鉄のホームだけど」
「もしかして、急いで帰らなきゃいけなかった?」
「そういうわけではないけれど、恋人に勘違いされて修羅場は困るでしょ」
「……よーしわかった。どの入口から降りた? 今度こそ、そこから動かないで」
何がわかったのかわからないけど、会場から一番近い入口から降りたと答えると通話が切れた。
一本電車を見送ると黄瀬くんがやって来た。
「まず、あの子は青峰っちのマネジメントをしている人。中学からの友達で桃井さつきさん」
「はぁ……。え、青峰っち?!」
「青峰選手は、中学時代からの友達」
「なんて?」
「今回のは、の家にいるときに桃っちからチケットが用意できそうって連絡があって、も行きたいって言うから二枚確保を頼んだの。試合前はマネジメントで忙しかったみたいだから碌にお礼を言えてなくて、さっき時間が取れるって言うからお礼を言いに戻った。恋人じゃない。いい? 恋人じゃない」
「私もお礼を言わなきゃいけなかったんじゃん」
「それはいいよ、俺が頼んだことだから。とりあえず、誤解は解けた?」
「大変早とちりしました」
「はい。流石に俺だって恋人がいるなら女の子と遊びに行かないよ」
「そうなの?」
「そうなの」
これは、なんだか彼にとても失礼なことをしたようで、申し訳なくて「ごめんね」と謝る。
「もういいよ、誤解が解けたみたいだし」
それから、ご飯を食べに行こうと仕切り直してチェーン展開をしている居酒屋に行った。
翌朝、今日が土曜日で良かったと心底思った。目が覚めたのはお昼前で、身体が重い。遅い時間に唐揚げなど油ものを存分に食べたせいか、胃が重い。どうしてか筋肉痛まである。
スマートフォンを見るとランプが明滅していて重い腕を伸ばした。
一時間くらい前に黄瀬くんから着信があり、そのあとメッセージが入っていた。起きたら電話が欲しいとある。
電話を掛けるとすぐに応答があり、名乗った後「今大丈夫?」というと「大丈夫?」と逆に問い返された。
「身体が重い。あの時間の唐揚げは危険ということがわかった」
「あー……、じゃあ今日は無理か」
「何が?」
「高校の頃バスケしてた友達と久々にバスケしようって話になって。青峰っちも来るって言ってたからどうかなと思ったんだけど」
「私、部外者だけど」
「たぶん、だいぶ混沌としたメンバーで集まるし、誰も気にしないと思う。実際、結局誰が集まるのかわかんないし」
「行きたい。何時にどこに行けばいい?」
「あとでメッセージを送るよ。けど、無理ならそう連絡くれればいいからね」
「色紙持ってってもいいと思う?」
「色紙? あ、ああ……。まあ、桃っちも来るはずだから確認して」
通話を切って間もなく黄瀬くんから時間と待ち合わせ場所が送られてきた。
午後になり、体調も多少マシになって出かける支度をする。少し早いけど、色紙を購入していかなければならない。
今日は日傘をさして移動した。公立体育館の小アリーナを借りているらしく、待ち合わせはその体育館のエントランスだった。行ってみると大きな人もそうでもない人もいる。
「こんにちは」と背後から声を掛けられて短い悲鳴を上げて振り返る。
「あ、ごめんなさい」と申し訳なさそうにするのは、昨日見た桃井さんだ。
「こんにちは」
「きーちゃんの彼女さんですよね」と言われて「違います」と答えた。『きーちゃん』はきっと黄瀬くんの事だ。でも、彼女ではない。
「え、でも。昨日……」
「小学校が一緒で、昔住んでいたマンションも一緒だったんです。今は、縁があって同僚ですね。今日は、黄瀬くんが声を掛けてくれたので、ノコノコやってきました」
「あー、そうだったんですか。ごめんなさい、勘違いして」
「黄瀬くんから待ち合わせ場所がここだってメッセージをもらって来たんですけど、部外者、大丈夫でした?」
「それは全然」
「おいさつき、それが言ってた黄瀬の女?」
「ちょっと、青峰君!」と言って桃井さんは青峰選手の背中を押して向こうに行った。その後、青峰選手が「マジか! 黄瀬ダッセー!」と笑い始める。
何事かと思って振り返ると、スマートフォンに着信があった。見ると黄瀬くんで応答すると「、今どこ? 今日来れそう?」と聞かれた。
「メッセージで送ってもらった待ち合わせ場所にいるよ。体育館のエントランス」と返すと「え、俺体育館の待ち合わせ場所送った?!」と言われて彼が自分の思っていない待ち合わせ場所を指定してしまったのだとわかった。色々と気を使ってくれているから、全く知らない人たちの中に一人放り込むようなことはしないと思っていたのに、今回の待ち合わせ場所がここだったから少し驚いていたのだ。
「五分……、三分で行くから」と彼は通話を切った。
それから間もなく、黄瀬くんが汗だくになって走ってきた。
「、大丈夫? 嫌な事言ったりされたりしなかった? 具体的には青峰っちに」
「するかよバカ」と青峰選手にお尻を蹴られて「痛いな、もう」と黄瀬くんが抗議している。
「んじゃ、始めるか」と青峰選手が言って「もう揃ってるんスか?」と黄瀬くんが言う。
「今日、仕事が終わってから来るって言ってた人たちもいるから」と桃井さんが声をかけると集まっていた人たちは更衣室に向かった。
「じゃあ、私たちは先にコートに向かいましょう」と桃井さんに促されて彼女に続いた。
集まった人数は十人を超えていたため、二チームに分かれてプレイする。昨日見た試合よりも近くで見ることができて迫力に圧倒される。とはいえ、プロのプレイとそうでない人たちのプレイだから見ごたえと言う意味では少し物足りない。何より、プロのバスケはエンターテイメント性も求められているようで、観客を沸かすためのパフォーマンスもよく目にする。
「やっぱ、みんな身体が重そうだなー」と桃井さんが苦笑する。
「ここにいる人たち、みんな同じ年なんですか?」
「一つ二つ上だったり下だったりはあるけど、同世代ですよ。きーちゃんと青峰君と、あの眼鏡の大きな人、みどりんとあのすっごい大きい人、むっくん。あと、まだ来てないテツ君と赤司君が中学校が一緒だったチームメイト。高校は皆バラバラになったんですけどね。また一緒にバスケするようになるとは思わなかったなぁ……」
目を細めて言う桃井さんの思い出には彼らの姿がある。なんだかちょっと羨ましい。
「会社でのきーちゃんってどんな感じですか?」
不意に話を振られて驚く。気配りの人なんだな、と思いながらどこまで話していいかわからないものの黄瀬くんの話をする。彼女は聞き上手だった。二人で話に盛り上がっていると「あぶねぇ!」と声が聞こえて視線を向けるとボールが迫ってきていた。咄嗟に桃井さんの腕を引いて頭を庇い、ボールは腕に当てて軌道を変えた。あまりの衝撃に腕が痺れてしまったし、当たったところは真っ赤になってボールの凸凹が転写されている。アラサーがどんなに本気でプレイしてもこんなことになるほどの流れ玉になるなんて思えない。この人たち、ちょっとおかしくない?
「大丈夫ですか? 無理やり引っ張ったからどこか捻ったりしてません?」
「私は大丈夫ですけど、その腕、内出血になってますよ」
まあ、痛いしねぇ……。
「ちょっと冷やしてきます」と立ち上がると「、大丈夫? じゃないよね、これ!」と黄瀬くんが慌てる。
「大丈夫だよ。ちょっと冷やしてくる」
「一緒に行こうか?」
「歩けるから大丈夫。どうぞ続けて」
アリーナのドアを開けてエントランスに出てそのまま近くのコンビニに向かう。確か、来る途中に見た。
コンビニへの道すがら、すれ違った人に既視感を覚える。たぶん、知り合いではなく、メディアを通じて目にしたことがある人だ。どんな有名人だろう。黄瀬くんのような華やかさはないから芸能人ではないのかもしれない。
冷却材の代わりに飲むタイプのアイスを購入し、大きなペットボトルのアミノ酸ドリンク四本と紙コップを購入した。
ちょっとこれは一人で持てるものではないと思いながらも、誰もいないから私一人で持つしかない状況でよたよたと歩いていると「大丈夫ですか」と声を掛けられて驚く。「お手伝いしましょうか?」と続けられて断った。あまり嫌な感じがしないからお願いしてもいいかなと思ったが、彼と同じ方向に行くとは限らない。私が勝手にやっていることだから迷惑をかけるわけにはいかない。
「!」と黄瀬くんが駆けてきた。
「黄瀬君」と私に声をかけた人が彼の名を呼ぶ。
「黒子っち! え、なんでと一緒にいるんスか? 知り合い?」
「いいえ。体育館に向かっているとペンギンのように歩いている人がいたので、お手伝いを申し出ましたが、断られました」
「すみません、せっかく親切に声をかけていただいたのに」
「いいえ、僕のほうこそ驚かせてしまってすみません」
「えー、と。とりあえず、。それは俺が持つ。先に腕冷やして」
黄瀬くんに渡した買い物袋の中からアイスを取り出してハンカチに包み、腕の赤くなった箇所に宛てた。
「がなかなか戻ってこなかったから桃っちにトイレを見に行ってもらってもいないし、心配したんだかんね」
「夏の水道水にあまり期待できないなって思ったから。来る途中にコンビニがあったし」
「何があったんですか?」
黒子くんの問いに黄瀬くんがしどろもどろに答える。
「ボールが飛んでくるかもしれないところで話し込んでたこっちが悪いよ」
「いえ、これは黄瀬君たちが気を付けるべきことです。女性の身体に傷をつけるなんて」
「傷って程じゃないですよ。内出血。いつかきれいになります」
随分と紳士な人だなと感心する。あと、黄瀬くんは彼が苦手なのだろうか。
体育館に戻ると桃井さんが駆けてきた。コンビニまで足を延ばしたと話すと「声をかけてくれたらよかったのに」と言われた。確かに、コンビニまで足を延ばすことを言っておけばこんな大事にならなかったと反省する。
彼女に謝罪して黄瀬くんが持ってくれたドリンクを飲むよう皆を促した。水分補給はしていたかもしれないが、身体を冷やせていないと思う。
「夏の体育館は熱中症生産地ですからね」
冷たい飲み物を飲む彼らと距離を置いて、もう冷たくなくなったアイスを飲んだ。このアイス、温くなったら全然美味しくない。持って帰って冷凍庫で冷やしてから飲めばよかった。
「大丈夫? あのペットボトル一本取ってこようか?」
黄瀬くんが声をかけてきた。私が眉間に皺を寄せながらアイスを飲んでいるのに気づいたらしい。
「大丈夫。あ、ねえ。あの人誰? さっきコンビニに行く途中すれ違ったんだけど、見たことある気がするのに思い出せなくてモヤってる」
先程体育館の外で見た人がいたのだ。
「あー、赤司っち? たぶん、プロ棋士だからテレビで見たことがあるんじゃないかな。タイトルたくさん持ってるみたいだし」
「将棋指してる人なの?」
「見たことがあるって言うなら、多分それだと思う。電車の中で見たとかそういうんだったらそこまで印象に残らないだろうし」
何ともバラエティに富んだ同級生たちだ。
それから彼らはまた二時間程バスケに興じた。二時間なんて普通に遊ぶレベルではないと思う。多くが同じ年だと聞いているけれど、彼らが規格外なのか私が体力がなさすぎなのかわからなくなる。
施設を借りている時間が迫っているため、片づけをして施設に鍵を返す。
「この後、みんなでご飯食べようって話をしてるんですけど、さんもどうですか?」
桃井さんに声を掛けられたが、申し訳ないけど断った。まだ胃の調子が悪いし、何ならさっきのアイスでさらに調子を崩したと思う。胃もたれがすごい。
「残念」
「声をかけてくれてありがとうございます」
「、サインは?」
着替え終わった黄瀬くんが声をかけてきた。
「いや、言えてない」
タイミングが掴めずに色紙は白紙のまま持って帰ることにした。
「貸して。ペンも」と黄瀬くんが手を出したから鞄から色紙とサインペンを取り出して渡す。
「桃っち、青峰っちのサイン貰っていいでしょ?」
「いいよ」
桃井さんの返事を聞いた黄瀬くんは「青峰っちー」と言いながら彼に向かっていく。
「まさか、青峰君のファンなんですか?」
「はい」と頷くと「これからも応援よろしくお願いします」と手を取られた。
「。はい、貰って来たよ」
「ありがとう。末代までの家宝にする」
「どーいたしまして。けど、明日早速捨ててもいいよ」
どこか投げやりな黄瀬くんが少しだけ気になるけど、それよりもこの色紙を素手で持っていいのかとか、どこに飾ろうかとかそっちを考えるのに忙しい。
「、この後みんなでご飯行くんだけど、行くでしょ?」
「ううん、さっきのアイスでまたしても胃もたれになったから今日は遠慮しておく。じゃあねー」
両手で色紙を掲げながら歩いていると躓いた。
「俺、後で合流するから先に行ってて」と黄瀬くんが桃井さんに言う。
「大丈夫だって、ちょっと躓いただけなんだから」
ふわふわした気持ちで黄瀬くんに大丈夫と言ってみたが、ガクンと何やら足を踏み外した感覚がある。
「あー、もう。どの口が言ってんの」
黄瀬くんに腕を掴まれていなかったら側溝に足を取られてこけていた。
「ほら、それはいったん鞄に仕舞って」
手に持っていた色紙を私の鞄に入れてそのまま私の鞄を持って黄瀬くんが私の手を引いて歩き出す。
さっきまで運動していたからか、彼の手はとても温かく、少し熱いくらいの熱を持っていた。
青峰選手のサイン色紙は玄関を開けてすぐ見える場所に飾った。部屋に飾ると少し気恥ずかしく思ってしまったのだ。しかし、玄関を開けてすぐはキッチンでもあるため、油が跳ねたりして汚れないよう、サランラップに包む。芸能人のサインを壁に飾っているどこかのラーメン屋さんのような雰囲気に違和感を覚え、今度額を買ってこようと心に決めた。
桜風
22.7.17
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