| 日が暮れた河川敷。 周囲で仲睦まじい男女が愛を語らっている中、重い溜息を吐いたの隣で「お、あたりだ!」と達海が呟いた。 「ねえ、あたしの話、聞いてる?」 「。見てみろよ、あたりだって」 そう言って先ほどまで食べていたアイスの棒を見せる。 「あー、よかったねー」 「何だよ、感動が薄いなぁ...」 「達海...人にアイスを奢らせて話を聞かないってのはどんな料簡よ」 「だってつまんないんだもん」 ズバッと言う達海には溜息を吐いた。 「知ってるからアイス奢ったんじゃない」 「てか、はどうしたいんだよ」 思ってもいなかったか切り返しには言葉に詰まった。 「何、テキトーな慰めで良いならアイス分くらい何とか捻出するけど?」 達海の言葉に「それはイヤだ」とが言う。 「だろーねー」 アイスの棒を銜えながら達海が空を見上げた。 「...もがきたい」 「んじゃ、そうすれば?」 「でも、失敗はヤだ」 の言葉に「ふーん」と興味なさそうに達海が呟く。 「って、負けるつもりでいるんだ?」 「は?」 「最初から負けるつもりで勝負事に臨めば、そりゃ負けるよ」 当然だろう、と達海が言う。 「物凄く頑張って、勝つつもりで挑んでやっと勝てるんじゃないの?なあ、勝負事で何が一番面白いか知ってるか?」 「勝つこと」 それくらいなら分かる。 「最も面白いのは、弱いやつが強いやつをやっつけるとき。そう思わねぇ?ジャイアントキリングって言うんだってさ。大番狂わせ」 それは、確かに一番胸がスカッとする。 「勝負するならそれくらいやんないと」 そう言ってニヒーと笑う。 確かにそうかも... 「ありがと」 「アイス分は働かなきゃはウルサイし」 達海の言葉にこれ見よがしに盛大な溜息を吐いてやった。 ***** 「達海」 クラブハウスに入ろうとしたら声を掛けられた。 「えーと、誰?」 「やっぱアンタってヤツはー!」 そう言っては近所のコンビニで購入したアイスが入っている袋を投げつけた。 上手にキャッチした達海が袋の中身を見て「おー、か」と思い出す。 「アンタはあたしイコールアイスか!」 「久しぶりー」 「無視か!!」 突然やってきた女性がぎゃんぎゃん騒いでいる。 選手達は監督を訪ねてきた見知らぬ彼女に興味津々と言った表情だ。それなりに仲が良いのだろう。何かを投げつけられる程度の仲であることは今証明された。 「今、何やってんの?」 アイスを銜えて達海が問う。 「これ」と言って肩に掛けている商売道具を見せた。 「カメラ..って雑誌のカメラマン?」 「あと、これ」 そう言って背負っていたバッグから本を取り出した。 「『、写真集』。ヌード?脱いだの??」 「...パーとグー。どっちが良い?」 利き手を開いたり握ったりしながら言うに「どっちもヤダ」と達海が返した。 「アンタが10年姿をくらませていたうちに、やっといいのが撮れてこうして本になったの」 「ふーん...」 そう言いながらぱらぱらとページをめくる。そこに収められている写真に写っている人は皆生き生きとした表情をしている。 芸術への関心がない達海でもあとでゆっくり見ようと思うようなものだ。 「せっかく日本に帰って来たんだし、今度飲もうよ。ペナントレースって夏休みあるの?」 「それ、野球」 達海の指摘に「そうだっけ?」と肩を竦めるに達海も肩を竦める。 「ま、あたしこれからまた海外だから」 「高飛び?何したんだよー」 「夏に1回帰ってくるつもりだし。そのときアンタのスケジュールが空いてたら、どう?」 達海の言葉は黙殺してが言う。 「んー、の奢りな」 「ご飯は達海の奢りで、アイスはあたしの奢りって事で」 にこりと笑っては背を向けてクラブハウスを後にする。 「なんだよー」と文句を言っている達海を振り返り、 「達海、ジャイアントキリング起こしちゃいな!」 とが声を張る。 「トーゼン」 そう言いながら拳を前に突き出し、親指を立てて達海は笑った。 |
物凄く盲点だった。
今朝、布団の中でうごうごしながら本日の創作のことを考えていたら、
『弱いやつが強いヤツに勝つ』ってタッツが言ったセリフを思い出しました(うろ覚えだけど)。
何でこんな素敵なタイトルがあるのに気付かなかったんだろう...!
慌てて飛び起き、朝ご飯を食べ、図書館に行き、創作しました。
寝起きに考えてた内容のほうが勢いはあったと思う。うーん、時間を置いて書くと変わるものですね。
しかし、タッツ2本目になるとは...
話は、ちょっと分かりにくいかもしれないけど前半は20代くらい?で、後半は35のときです。
けど、『ジャイアントキリング』のテーマで、タッツ以外の話を考えてみようと思ったけど無理だった。
これはタッツしかないと思った。
まあ、ツイッターでタッツの中の人が『ジャイアントキリング起こそうぜ!』って言っていた
その文字が頭に浮かんだから、他キャラではムリになったんですけどねー。
桜風
11.03.26
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