| カシャーンと窓ガラスが割れる音がした。 「あーいーつーはー...」 低い声で唸る藤真を苦笑しながら同級生達が見守る。 此処は体育館だ。と、言ってもバスケ部専用の体育館。学校の授業では使わない。 「すみませーん」 なんとも明るい声である。ひょこっと顔を覗かせたのはというこの学校のある意味名物女子だ。 「!」 「あ、藤真。ごめんごめん」 飽くまでも軽い謝罪に藤真は手に持っていたソフトボールを体育館の外に投げてそのままにヘッドロックを掛ける。 「痛い、痛いよ、藤真!!」 ぺちぺちと藤真の腕を叩くが、高校生ともなれば男女の体格差は歴然としており、相手がバスケ部ならなお更だ。全く効かないようである。 ちなみに、はソフトボール部で、バスケ部専用体育館の窓ガラスを割る常連である。 「お前、ファール打ちすぎだろう。っつうか、そんだけの飛距離を何で前に向けないんだよ!!」 ヘッドロックは継続中である。 「知らないよ、球が勝手に横に逃げちゃうんだから!!」 普通のファールでは体育館の窓は割れない。 彼らも物好きなことにチャレンジをしてみたが、ここまで大きなファールは中々打てずに唸ったものだ。 「藤真、そろそろ...」 この2人のじゃれあいは既に名物となっている。 藤真は手加減しないし、それに対しては適応している。 「いたた」と頭を擦りながらは止めに入ってくれたクラスメートを見上げた。 「ありがとう、花形」 「ああ。けど、毎度窓を割られるのは...」 「うん、ごめん!」 爽やかな謝罪。 藤真はこれ見よがしに溜息をついて、花形は苦笑を返す。 「てか、んところは今、部員足りないんだよな?」 たしか、5人と聞いた。 「うん、最低あと5人。入学式、何も知らない子達を5人程たらし込まなきゃ」 「5人?」 「あたしが来年度で引退だから。10ひく1で9でしょう?」 自分が居なくなった後も存続してもらいたい。 そう思っているようだ。 藤真は苦笑する。そういうの考え方は嫌いじゃない。 「入りゃ良いけどな」 「うん...あ!良いコト思いついた!!」 そう言って藤真を見上げる。 同じバスケット部の同級生の背が文句なしに高いので、178あっても藤真は小さく見える。 しかし、一般的には高い方なのだ。 「何だ?」 が目を輝かせて藤真を見ている。 「ね、あたしに貸しを作りたくない?」 「はあ?!」 嫌な予感しかしない。 「ソフトボール部って、女子しか入れないの」 「絶対イヤだ、却下だ」 の言いたい事を瞬時に察した藤真がそう返した。 「どうした?」と事態が飲み込めない花形が聞くと「良くぞ聞いてくれました!」とが胸を張る。 「藤真、そのビボーは何のためにあるの?!」 「知るか、母ちゃんに聞け!」 「こうやって、困っている同級生のために一肌脱ぐためにあるんじゃない!」 「ねえよ!」 「女装、してみようか?」 「ふざけんな!!」 「けど、藤真は結構でかいからなぁ...」 人差し指を顎に当てて思案し始めたに「そのまま諦めろ!」と藤真がいう。 「ま、身長178センチの女子が世の中に居ないとかそういうのまず無いし。運動部だったら『体格が良いな、この先輩』くらいで済むか」 「済むかよ!てか、絶対にしないぞ。女装なんて」 必死だなぁ... 周囲は暖かい視線を藤真に向けている。 その目の前には、うんうんと頷くの姿。 花形はポンと藤真の方に手を置いた。 「がこうなると納得するまで付き合うしかないだろうな...」 「イヤだ...」 うな垂れてそう言う藤真。 その数週間後、強豪翔陽高校男子バスケ部キャプテン兼監督の彼が女装をしたかどうかは翔陽高校のトップシークレットであり、けれども細々と語り継がれる伝説になった。 |
スラダンでドタバタといえば、藤真となってしまってるわたしの脳内。
そして、藤真が出るのに花形が出ないとかありえないと思ってしまうわたしの脳内(笑)
いや、ドタバタしすぎて止める人が居ないと止まらないのです...
あの空気の読めなさそうな花形が必要なのです。
桜風
11.03.17
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