| は窓際を陣取ってしとしとと降る雨を恨めしげに見上げている。 君たちまで吊り下げたと言うのに、この『生憎の天気』とは何事か! 2つ並んでいる頭上のてるてる坊主も時々睨みながら心の中で文句を垂れる。 「」 名前を呼ばれて振り返るとマグカップを手にした仙道が苦笑していた。 「ほら、コーヒー淹れたから。ちょっとはこっちに来て俺の相手をしようとか思わない?」 首を傾げて言う仙道に「そだね」とやっぱり少しご機嫌斜めの声を出しながらテーブルについた。 「せっかく準備万端だったのに」 「また今度で良いじゃないか」 宥めた仙道をキッと睨み、「彰がお出かけ前日に準備万端ってのは本当に珍しいっての、わかってる?」と言う。 『準備万端』というのは自分のことだったのか、と仙道か首を竦めてコーヒーを一口飲んだ。 「あーあ、せっかく...」 しょんぼりしているを見るとどうにかしてあげたい気にもなるが、残念ながら自分には天候を自由に操作する能力はない。 コーヒーを全部飲み終わった頃にはも諦めがついたのか、溜息を漏らすものの愚痴は口にしなくなった。 部屋に置いてある雑誌をパラパラと捲っていたが、ふと立ち上がった。 テレビを見ていた仙道はじっと彼女の行動を見守る。 「よいしょ」と椅子を運び、窓際に向かっている。 「俺がするよ?」 背の高さなら自信はある。 「んー、いい。自分の片付けだし」 そう言いながら椅子の上に乗った。 仙道はたまらずの傍に早足で向かった。落ちたら危ないではないか。 彼女は窓に吊り下げているてるてる坊主を不器用に外していた。足元が少し不安定だから難しいのかもしれない。 仙道なら椅子がなくても目線も近いので外しやすいのだが... 「俺に言ってくれればやるのに」と言う仙道のことばに目を丸くしては振り返った。 「...俺、そんなに意地悪な彼氏じゃないんだけど」 何でそんなに驚いてるの... 仙道が言うと 「じゃ、なくて。彰の声が下から聞こえるって新鮮だったから」 とが笑う。 椅子に乗っているの方が随分と仙道よりも背は高いが、いつもよりは身長差がない。 2つもぶら下げていたてるてる坊主の両方を外したのを待って仙道はを抱っこする。 「うん、いつもより抱っこしやすい」 「だから、それやめてっていてるじゃない」 子ども扱いされているみたいであまり好きではない。 そっとをおろした仙道はそのまま彼女にキスをする。 それに応じていたはふと、今自分達がカーテンも引いてない窓際に立っていることを思い出した。 窓の外に視線を向けて思わず仙道を突き飛ばす。 「酷いなー」 「見て、彰。虹が出てる!!」 は窓を開けて指差した。 外の視線が気になったのではなく、虹を見つけてはしゃいだようだ。 「虹と俺のどっちが良いんだよー」 「虹はすぐに消えるけど、彰は消えないもの」 そう言って窓から身を乗り出して虹を眺めるに覆いかぶさるように仙道も窓の外を眺める。 「ああ、本当だ。虹ってやっぱり珍しいよね」 「ちょっと、重いんですけどー」 「俺より虹を取った罰です」 そんなに体重はかけていないが、身動きはとりにくいだろうとは思う。 「心が狭いよ。ねえ、散歩に行こう?」 首を巡らせて見上げてくるにキスをして「はいはい、準備万端ですよー」と仙道は彼女を解放した。 「よし!君たち、任務ご苦労!」 今外したてるてる坊主にそう言い放ったは足早に玄関に向かう。 「君たち、もう少し雨を降らせていても良かったんだぞ」 仙道はの外したてるてる坊主にそう言い、「はやくー!」という彼女の待つ玄関にゆっくりと向かった。 |
雨上がりで、ちょっとこう..前向きになるような話になるはずだったんですけどねー...
少し生憎の天気を我慢したらその先には、少し珍しい虹を見ることが出来るかもしれません。
確か太陽の光と、大気の水蒸気がどうのこうのってのが必要なんですよね、虹って。
覚えてないやー...
桜風
11.03.28
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