Rising sun





「ね、。明日時間ある?」

帰る支度をしているとラスティに突然声をかけられた。

「えーと。明日のいつのこと?」

そう確認をすると「んー...日が昇る前かな?」という返事があった。

「具体的に何時?」

「今の時期だと...」

そう言いながら腕時計を見ている。何か計算でもしているのだろうか。

「4時?」

「早いよ」

「でも、これがギリギリ。に見せたいものがあるんだ」

何だろう、と思いつつは戸惑いながら頷いた。



予告どおり、ラスティは午前4時に迎えに来て彼の運転する車で海岸へと向かった。


「凄い、きれい...」

目の前に広がる海が白く輝く。それもすぐに別の色に変わる。

空の色が紫から茜色に移ろい、やがて青くなる。それに従うように海の色も変わる。

「ありがとう」

振り返ってここまで連れて来てくれたラスティにお礼を言った。

「プラントの海って人工的だけど、地球の再現率は高いらしいよ。海はさ、いつもこうやってたくさんの顔を見せてくれてるんだ。勿論、雨のときとか曇りのとき。季節によっても色々だけど。
けど、がまた笑ってくれたから連れて来た甲斐があったよ」

は一瞬怯んだ表情をした。

「うん。だって、ここ最近笑ってなかったでしょう?」

「笑ってたでしょう?」

そうやって頑張ってきたのに...

「作り笑いなら、うん。けど、ってばここ最近笑ってなかったでしょう?そりゃ、が笑っててくれたら俺だって嬉しいけど、ムリに笑うことはないんだよ」

そう言ってラスティが笑顔を浮かべる。それは少し困っているようにも見えた。

「泣きたいときは泣いても言いし、愚痴とかそういうのは吐いちゃった方が良いと思う。がここに来たいって言ったら俺はいつでも連れてきてあげる。辛いことがあるかもだけど、そのときは俺に辛いって言って。ムリをしなくて良いんだよ。
元気になるのに時間が掛かっても全然良いから。いつか、きちんと笑えるときに笑ってくれたら良いから。また笑えるようになったら笑ってくれたら、俺はそれで充分」

首を傾げてラスティはにこりと笑った。

「何で、そんな事言うの...」

「あ、でも。泣くんだったら俺の前でね?涙を拭うのは俺の役ね」

そう言ってラスティはを抱きしめる。

「そんでもって、が泣いている間は俺がこうして君を抱きしめる。ひとりだったら心細いかもだけど、俺がちゃんと傍にいるのがわかって安心しない?」

じわりと目頭が熱くなる。

「泣いちゃうぞ」

「どうぞ」

促されては声を上げて泣いた。

何が原因か、今はもう分からない。たくさん、たくさん泣きたいことがあって、それを我慢して。それを全部ひっくるめて泣いた。

全然可愛くない泣き方だけど、ラスティはずっとを抱きしめて優しく背擦り続ける。


わんわん泣いた後もはずっとラスティにしがみついていた。

ここまで豪快に泣くと、今度は恥ずかしくなってくるのだ。

しかし、こうして蝉よろしくラスティにしがみつき続けることは出来ない。

「ねえ、

ラスティが名を呼ぶ。

「なに?」

「もしかして、恥ずかしいの?」

「そういうの、指摘しないでよ!」

「そっか。じゃあさ」

そう言ってラスティは少し強引にを引き剥がしてキスをした。角度を変えて何度も長い時間、執拗なくらい。

やがてゆっくりと唇が離れた。それでも吐息がかかる距離にラスティの顔がある。

「どう?」

「どうって、何よ」

今度はこれまた別の恥ずかしさというやつだ。

「うん、泣いた恥ずかしさはなくなったかなって」

しれっというラスティを前には言葉につまる。

そんな様子のにラスティはクスリと笑い「スキあり!」そう言って再びの唇を啄ばんだ。






最初別キャラで海での話を書き始め、「お?これはラスティっぽいぞ」と変更し。
プラントの海って人工物だけど良かったのかよ?と脳内のわたしがわたしに突っ込みました。
けど、この軽さと言うかテンションはラスティなんだよ〜〜〜。
というわけで、朝も早くから海辺でラブラブしている二人です。
仲良きことは美しき哉。


桜風
11.04.02


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