| おでこがひんやりとした。 薄く瞳を開くと「あ、」と目の前から声がした。 「颯斗くん?」 マスク越しにくぐもった声でが目の前の彼の名を口にした。 「すみません、さん。起こしてしまいましたか」 心底申し訳なさそうな声でそういわれた。 「ううん」と返すの頬に触れた颯斗は「やはりまだ熱いですね」と呟く。 「何かおなかに入れますか?」 「ううん、ごめん。ちょっとムリ」 季節の変わり目の気温の変動に体が付いていかず、せっかくの休みに風で寝込んでしまった。 今日はいつも忙しい颯斗と一緒に散歩に出る約束をしていたのに... 「じゃあ、せめて水を飲んでください。熱が高いので水分は摂った方がいいはずです」 その通りだと思ったは頷いた。 「待っててくださいね」 そう言って颯斗は一度部屋を出る。 今何時だろう... 首を巡らせて部屋に掛けている時計を見た。 3時...?! 熱で朦朧としていた意識が一気に覚醒した。 それって、まだ夜中と言うことではないか! 颯斗はそんな夜中も自分の心配をして起きている。 戻ってきた颯斗は「さん、体を起こせますか?」と彼女を支える。 「颯斗くん、今、夜中よ」 「ええ、そうですよ。さ、水を...」 ゆっくりとコップを傾けて飲ませてくれた。本当にゆっくりと。が辛くないように様子を見ながら彼女のペースに合わせて水を口に含ませる。 「ありがとう」と言うを支えて横にする。 「何かほしいものはありませんか?」 「大丈夫。それよりも、颯斗くん、もうこの部屋を出て」 もうちょっと柔らかい言い方は出来ないものか... 自分の言葉に傷つき、さらに目の前の颯斗の悲しそうな表情を見てまた辛くなる。 「僕は、邪魔ですか?」 「違うの。颯斗くんに風邪を移したら大変だから」 「いっそのこと移してもらった方が良いです。風邪は誰かに移したら治ると言うではありませんか」 「絶対にいや」 の言葉に颯斗は俯く。 「では、せめてさんが寝付くまで傍に居させてください」 「風邪、移っちゃうよ」 そう言っては咳き込む。 颯斗は慌てて彼女の背を優しく撫ぜる。 「では、僕もマスクをします。だから、せめてさんが眠るまで」 懇願するような颯斗の言葉に「わたしが寝たらすぐに自分の部屋に戻ってよ」と返したに「はい」と颯斗は深く頷いた。 颯斗はすぐに戻ってきた。 本当にマスクをして戻ってきたのだ。 のベッドに腰かけて彼女の手を握る。 空いた手で彼女の頬を撫ぜる。 「ふふふ」とが笑う。 「どうしました?あ、くすぐったいですか?」 「ううん、気持ち良い。ホントは、凄く嬉しいの」 の言葉に「良かった」と颯斗は目を細める。 「颯斗くんの体温、安心する」 殆ど寝言に近い声音ではそう言って寝息を立て始めた。 との約束なので、もう部屋を出なくてはならない颯斗は少し寂しそう眉を顰めた。 マスクを外しての頬にキスをする。 唇にしようと一瞬躊躇ったが、それで風邪が移ったら彼女は凄く悲しい顔をするだろう。 そんな顔は見たくないので、今日は我慢だ。 「おやすみなさい、さん」 そっと彼女の髪を梳いて立ち上がり、部屋を後にする。 朝になったら彼女の元気な笑顔が見られますように... カーテンの隙間から見えた星にそう願いながら颯斗も自分の部屋に戻り眠ることにした。 |
やっと甘いの書けたよ!
甘いですよね?!
ありがとう、颯斗!!
桜風
11.03.16
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