| 学校からの遅い帰り道、不知火はひとつ下の女の子、を見かけた。 彼女は肩を落として俯いている。 「?」 声を掛けられたは思わず顔を上げてそして驚いたように目を丸くした。 不知火も負けじと目を丸くする。 「どうした、こんな時間に。母ちゃんたち心配してるんじゃないのか?」と驚いた内容には触れずに声を掛けた。 彼女は静かに首を横に振る。 「あ。なあ、ほら。今日は満月だぞ」 不知火の言葉につられるようには顔を上げた。 本当に月が輝いていて、しかも明るい。 「その分、ちょっと星が見えにくいな」 と同じく空を見上げている不知火の声に苦笑の色が混じる。 「そうですね」 不知火はを見下ろした。彼女の頬には涙の跡がある。 突然不知火の手が頬を包んだ。 は驚いたが不知火の手によって顔を動かせない。 「あの、一樹さん?」 「んー?」 そう言って不知火はの頬をみょーんと伸ばす。 「ははっ、おもしれー顔」 「お..女の子に対してそれは無いと思います!」 の抗議に「悪かった」と笑いながら返す不知火には、到底反省の色など見えない。 「なあ、」 「なんですか」 不知火が呼ぶ自分の名前が優しくて、どきりとしたが、先ほど笑われたことの不快感の方が勝り、はそっぽを向いて憮然と返す。 「悪かったって。な、ほら。空を見上げたら月が輝いてる。月が見えないときは、星が輝いている。空が雲に覆われて月も星も見えない日があるかもしれないけど、それは見えないだけでちゃんと月も星もお前を見守ってくれているんだ」 が不知火を見上げると「それに」と彼は笑った。 「には俺がいる」 虚をつかれたは目を丸くした。 「泣きたかったら俺の傍で泣け。いくらでも泣かせてやる。笑いたかったら俺の傍にいろ。絶対に笑わせてやる」 自信満々の不知火の表情。 それだけの自信は、どうやったら身につくのだろうか。 「だから、大丈夫だ。いくらでも挫けろ、躓け、こけろ。ちゃんと俺が支えるし、起こしてやる」 おおよそ応援しているような言葉に聞こえない。 しかし、彼の『大丈夫』には凄く力を感じる。本当に大丈夫な気がしてきた。 「一樹さんって凄いですね」 「そうか?けど。さっき泣きたかったら俺の傍で泣けって言ったけどな、できれば、笑っていてほしいと俺は思ってるんだぜ。けど、それが出来ないときは思い切り泣いて良いからな」 不知火は、ぽんとの頭に手を乗せて撫でる。 こくりと頷いたに「いい子だ」と頷き空を見上げた。先ほどと変わらず、月は静かに輝いていた。 |
ぬいぬいの『大丈夫』って本人が心から言ってるもんだから物凄く力強く聞こえると思うんですよね。
ところで、こんなに短い話とは思っていなかったので自分で驚いています。
ヒロインと不知火は恋人未満ですが、あの人、たくさんの人を守ろうとするから
曖昧な関係でもこれくらいのことは言いそうです。
何度も申し上げておりますが、冬は未プレイですので
実物と私の抱くイメージにギャップはあるかもしれません。
桜風
11.03.21
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